第3話 妹の命と取引


「だから俺は、妹のためにお前ら魔族を倒しに来たんだ。お前らより俺達、人間の方がよっぽど利己的で悪魔に近いのかもな。」

日もすっかり暮れ、焚き火の炎が勇者の横顔をゆらゆらと照らし出す。

時折、焚き火にくべた小枝がぱきりと爆ぜる。焚き火の側には近くの川で捕ったイワメと呼ばれる川魚を串に刺し、塩を振って火で焼いている。

我々の軍が持ち込んだ食料はほとんどが戦闘や同胞の屍によって口に入れることは叶わない状態だったのだ。

戦闘の被害のない積み荷から布を取り出し、ウィリアムは話をしながらも私の全身に至る傷口に応急処置を行った。太ももの枝が刺さり穴が空いた傷はふさがりきらなかったため、今も横たわったまま起き上がる事は出来ないが致命傷になり得る損傷にはウィリアムは治癒魔法を使っていた。

瓶が割れずに残っていた回復ポーションのおかげで失った血液も最低限は補えたようで目眩や貧血も治まってきた。

命の取り合いをしていた相手に対する行動とは到底思えないが、彼からすれば手負いの私などいつ急襲しようとも返り討ちに出来ると思っているのだろう。もっとも私にウィリアムと争う意思など無いに等しいのだが。

だが甲斐甲斐しく処置をする間、彼の手は私の体を気遣う雰囲気が、隠そうとしても漂っていた。ウィリアムが本当に冷たいだけの人間ならば残っていた魔力のほとんどを私へ回復魔法に使わないだろう。本来のウィリアムは心根のやさしいヒトなのがわかる。

「お前ら魔族にも家族がいる事はいくつかの村を遠くから見てわかっていたが、わざと考えないようにしていた。」

だが、私の今際の言葉が自分の境遇と重なってひどく堪えたらしい。もし自分がこの魔族の森で息絶えてしまったとしたら、妹はどれだけ辛い目に遭うのだろうか。今も体調が急変せず無事でいる保証もない。自分が魔族を斃すたびに、妹が助かる事だけを考え、妹を守るためだと自分に言い聞かせて出来るだけ余計な事を考えないようにしていたそうだ。

私の妹も同じように人質として捕らえられていたとしたら、私は彼のように正気を保てていただろうか。

想像をするだけで怒りと、悲しみで叫び出しそうになる。似て無くもない境遇だったが、私は運がよかっただけなのだ。一つでもボタンを掛け違えていれば私も彼と同じ状況になり得ていただろう。

「一つ、確認をしたい。」

「なんだ。」

疲れ切った表情でたき火の炎を見つめるウィリアムに声をかける。

その表情は儚く、先ほどまで私の命を絶とうとしていた人物とは同じに見えなかった。

ただ、彼もたった一人の生き物として、家族や自分を守りたいのだ。

「魔王様の討伐はお前自身の意思ではないのだな?」

「ああ、俺は妹が無事なら、妹とまた生きていけるならば、魔王なんかどうでもいいんだ。それだけが俺の幸せだ。生活を脅かされるから排除する、それだけだ。」

ああ、わかるとも。どんなにこの手が血にまみれ、多くの命を奪おうとも、たった一人の幸せを掴むための手段なのだな。愛おしい妹が笑ってくれるならば。ただそれだけを胸に抱き願っているのだ。

「ならば取引をしないか。」

「取引、だと?」

持ちかけた提案にウィリアムはいぶかしげに眉を上げ横たわる私を見つめる。私は目をそらさずに小さく頷く。

「私がお前の妹の命を助ける。そうすればお前はこれ以上魔族を倒す必要がなくなるんだろう。」

「…。もし、助けられなかった場合は?」

一瞬の驚きの後、ぎりりと私を射殺さんばかりに睨み付ける。至極まっとうな反応だ。

妹を助ける、だから見逃してくれ。普通であれば現実はそんなに甘く簡単ではない。ヒトの知識のほとんどを網羅している賢者でさえ分からないと言った薬すら見つかっていないのだ。鵜呑みに出来る話ではないだろう。だが、私には確証があった。

「それはない。」

「何故言い切れる?!」

きっぱりと言い切った私をウィリアムは怒鳴りつける。

ウィリアムの瞳に揺らめく炎は怒りによるものか、渇望して止まない妹の未来を手に入れる事が出来るかも知れない希望の動揺か。もしくはただのたき火の炎が反射しているだけなのか。そんなウィリアムの瞳をそらさずにまっすぐ見据える。

「私の魔角には万病を治す魔力が込められている。生命力を与える、と言った方がわかりやすいか。おそらくお前の探し求めている薬の材料だ。」

万病を治す、という言葉にウィリアムがはっとした表情をした。

ウィリアムの脳裏に浮かんだ予想を後押しするように、私はこの『片角』についての説明を語り始めることにした。



私の妹であるメイリアスは生まれつき内包する魔力が少なく、それに伴い体も弱かった。

家の周りを歩く程度は可能だったが、重労働など走ることはままならなかった。

それでも、メイリアスはいつでも穏やかな笑顔を絶やさない、優しい子だった。

母は妹を産んで数年後に魔物の襲撃を受け、私と妹を庇い喰われてしまった。メイリアスは母親を亡くした私の心の支えだった。――そう、ウィリアムと同じ、唯一の家族だ。

父親の事を尋ねると、母は「遠くに行ってしまったの。」と複雑そうな笑顔を浮かべそれ以上のことを口にしなかった。幼い私たち姉妹は母の言っていた『遠く』が二度と戻れない場所、と予想した。

妹と二人で各地の小さな村を転々としながら生活をしていたときもあったが、幼い妹を守る方法はそう多くなかった。身体の弱い妹の治療費を得るためには安定した収入が必要になり、魔王軍へ志願し、魔王城の城下町へ移り住んだ。魔王軍の訓練は想像を絶するような過酷さであったが、実力を付けて戦歴を上げればそのまま業務評価に反映されるシステムは純粋にやりがいがあった。

私が地道な訓練で力を付け、魔王軍の小隊長に任命されてすぐの頃だった。魔族の町で恐ろしい流行病が蔓延した。

とある魔物がまき散らした病で、魔力の弱っている老人や幼子が真っ先にかかり、手の施しようのない早さで容態は悪化し、健常な者にも伝染していく。健康なものには症状が発症しないが病菌のキャリアとなり無自覚に他の村や町に感染者を増やしていくのだ。魔力の少ない者の致死性は高く、運の良いほんの一握りの人数が生き残る。しかし生き残ったものの内、大多数は後遺症に悩まされることになった。

夜になると町の外れで山積みになった屍肉を魔物が囓る音が響き、屍肉に飽きた魔物がいつ町へ住民を襲いに来るか気が気でなく睡眠もろくに取ることが出来なかった。

そして体の弱いメイリアスが罹患するのに時間はいらなかった。

発症して3日も経たない内に、華奢な体はさらに痩せ細り、高熱にうなされ、食事もままならず、一瞬目を離した間にも息を引き取りそうな病状だった。

荒く細い呼吸を繰り返すメイリアスの手を握りしめながら、母との多くない会話を思い出していた。

絶対に他人に口外してはいけないと、幼い私にきつく前置きをしたあと、母はゆっくりと私が正しく理解できるよう話し出した。母親の一族は魔族の中でも特殊な力を持っていた。自分の生命力を魔角に宿らせ、その角を煎じて飲ませることで、あらゆる病を治癒する力を持つ。その特殊性から魔物や同じ魔族からも命を狙われることが少なくなかった。

私は母と同じように魔角の力を引き継いだが、妹は生まれつき角の力が弱かったため、体も強くなかったのだ。一族に産まれる子供は通常の魔族よりも魔力量の多い魔角の持ち主がほとんどであったが一定の確率で生まれる力の弱い者の場合、長く生きることはなかった。

魔角の力は魔力と生命力に相当する。角を片方でも失えば、総魔力量が半減する。

魔族にとって魔力は命綱だ。魔力は生きるために魔物と戦う力の源だ。魔角を使いメイリアスを助けたことで魔力が減って魔物の討伐へ行っても倒せなくなることもでてくるかもしれない。

だが、目の前で死にかけているたった一人の妹が居る。このまま妹を救えずに、私一人が生き延びる選択肢は、存在しなかった。

妹は私の魔角の力で後遺症は残ったが、なんとか一命を取り留めた。

その当時すでに魔物討伐軍で次期将軍クラスとまで実力を認められていた私は、魔力量が大幅に減少したことを魔王に呼び出され、問われた。

秘匿とされた一族の魔角の力のこと。体の弱い妹のこと。嘘をつくことは反逆を意味していた為、全てを話した。

魔力量が減れば他の者より戦闘スキルが高くともこのまま軍に残ることは出来ない。魔物討伐の戦力にならない者を使い続けるほど軍は愚かではないだろう。妹と共にどこか山深くで母の一族のように隠れ住むしかないとクビを切られる覚悟を決めた。

だが、そんな私に王は予想外の言葉を発したのだ。

『お前の一族に関しては数年前から秘密裏に保護している。万が一手出しをしたものは極刑にしている。今後お前の妹は私の客人として王宮に部屋を与え保護しよう。お前の魔力半減は、そうだな病の後遺症としてまわりには隠しておこうか。これからも私の元で励め。』

王の客人。これほどまでに名誉なことはあるだろうか。

妹が何処よりも安全な場所で過ごすことが出来る。それが何より嬉しかった。

その恩を返すため、私は今まで以上に王の力になることを望み、ついには王の左腕として認められる程になった。



「一つ、疑問がある。」

ウィリアムに視線を向け、無言で先を促す。

「お前の話では、魔物は魔族に害をなすのか?俺は魔物は魔族の使いと聞いたが?」

やはりヒト族からは勘違いされていたか。もしくは事実がねじ曲がって伝わっている可能性もありうる。魔物に関する使者を送ったが徒労であったか。

「違う。魔物にとって己以外のすべては食料としてしか見ていない。事実、今でも魔族の村では魔物に襲われて喰われている。」

魔族は人と同じで交配をして子孫を残すが、魔物は違う。その命が果てるまで他者の血肉を食らい尽くすだけだ。

地下の奥深くに魔力澱みと呼ばれる場所がある。魔力澱みの近くの地表では動植物が栄えるが、毒を含んだ魔力澱みからは魔物が生まれ出る。

魔物は生物のように繁殖することがなく、澱みの魔力が消えるか澱みの毒性が浄化されない限り魔物は定期的に生まれ続ける。

そして毒性の含まれる魔力の強い土地にヒトが住むことは出来ないため、毒性にまだ耐性のある魔族の居るところに魔物が発生する状態となっていた。

過去の勇者達がウィリアムと同じ事を言って攻め入って来た為、魔王はヒト達に魔物が生まれる原理などの研究を記し、その文書を持った非武装の使者を遣ったが、使者が帰ることはなかった。

「昔、魔族が魔物を使い人を皆殺しに来るという恐ろしい文書を持ってやって来た、ってのが俺の聞いた話だ。その、使者は無抵抗のまま見せしめに殺されたらしい。」

ウィリアムは眉を寄せ小さくすまない、と呟いた。

やはり、そうであったか。使者に志願した者も死を覚悟の上だった。おそらくヒト族は聞き入れないだろうと。だからといって事実を伝えない言い訳にならない。たった一人でもいいから誰かに届くのなら死も本望だと言っていた。意志の強い誇り高き者だったからどんな拷問を受けてもヒト族を恨む言葉など口にしなかっただろう。

「ウィリアムが気に病むことはない。彼が最期まで職務を全うしたことが判ってよかった。」

気にするな、と微笑んでやると、ウィリアムはなぜ笑えるんだと呟き、そっと視線を下に背ける。

「俺は、お前と話していると、なんというか、居心地が悪い。」

膝の上で組んだ両手に力を込めながら、ウィリアムは歯切れの悪い言葉を口にする。

何故?ウィリアムはウィリアムのやるべき事を、やらざるを得ないことをしただけだろう。

使者の件に関してはウィリアムは全く関与していないはずだ。

「だとしても、さっきまで俺はお前の仲間を、俺たちはお前達の家族や仲間を殺したんだぞ。」

ヒトの中では魔族とヒトは敵対していると、幼い頃から言われていたそうだ。魔族は魔物を使い人間を殺し、搾取し、平和を壊そうとしていると。

だが、ウィリアムが実際に見た魔族は小さな村でヒト族と同じように穏やかで平和に過ごす魔族ばかりだった。彼らは悪だと村を襲撃すれば、泣き叫ぶ子供を庇う母親らしき魔族。年老いた魔族を支えながら逃げ惑う魔族。そこには人と変わらない姿があった。

武装をした魔族は必ず最初に「ここは危ないので迷い人ならばヒトの村近くまで送り届ける」と申し出たそうだ。最初の頃はウィリアムに対する侮辱かと思っていたが、魔族に出会うたびに怪我はないか、迷い人か、と心配されたそうだ。

そんな魔族を剣で切り伏せながらウィリアムは勇者とは何なのか、自分の行っていることは本当に正しいのか自問自答を繰り返した。だが、そのたびに捕らえられている妹を思い出した。ウィリアムが最低限守りたいもの、命をかけて守るもの、それが妹だ。

妹の事以外を考えないよう、自分の心に蓋をして、斃してきた魔族にだって守りたい家族が居るというのに、ウィリアムは一方的に魔族を殺してきた。己のことしか考えていなかったウィリアムを私が責めない事が理解できないらしい。

「魔族がヒトより力が強く長生きなのは、生き残りのためだと言われている。我々は毎日、魔物に大量に食い殺されているんだ。」

ヒトが思っているよりも、魔族は魔物の脅威に常にさらされている。

魔族が住みよい場所は魔物にとっても発生のしやすい魔力澱みが多い上に、魔物が食べるのは他の生物の肉だ。魔物からしてみれば魔族の村は食料が豊富にある場所でしかない。

魔物に食らい尽くされて滅んだ村は数え上げればキリがない。食料がなくなった場合は魔物同士共食いをすることは珍しくないらしい。今も何処かで魔物に喰われ死んでいく魔族がいるはずだ。そんな日常を送っていれば魔族の生死観はヒト族と大きくかけ離れる。私のように子供の目の前で両親が魔物に喰われる事など、珍しくないのだ。

残った者が生き、産み増やすこと。いつどんな死に方をしても後悔のないよう生きる事。それが魔族の共通意識だった。

魔物から襲撃をされても子孫が残せるように、寿命は必然的に永くなり子供を残しやすくなった。沢山の魔力を取り込み、魔物と戦えるような力を持った。

ヒトの恐れる魔族の力は、実のところ魔物に対抗する生存戦略であり、魔族にとっての問題、敵という意味では魔物の対処に重きを置いていた。

「魔王様の考えでは、ヒトは魔物から守るものとされている。」

私の言葉にすぐにウィリアムは武装した魔族の発言の真意を理解したようだ。彼らは心の底から、ヒトが一人で魔物の出る森を歩いていることを心配したのだ。

魔族ですら手こずることのある魔物をヒトが斃すことはそう容易くない。

ヒトの町に魔物が迷い込み一昼夜にして何千人ものヒトが喰われたと言う話は魔族にも伝わっていた。

その報告を聞いたときの王は、魔族の村が滅んだときと同じくらい、いや恐らくそれよりも心を痛めておられた。

そのたびに魔物討伐軍は境界に近く、ヒトが住む村がある森の巡回を強化し、一匹でも多くの魔物を斃すようにしていた。だが、それでも斃しきれず逃げる魔物を追い掛けヒト族の村の近くまで行くことがあった。たとえヒト族に魔物共々殺されようとも、巡回の強化に反対する魔族はいなかった。

「だから、村の近くに魔族と魔物が一緒にいたのか。アイツらは、あの魔族達は俺たちの村を、守って。だから傷だらけで。」

ウィリアムの中でヒト族と魔族と魔物に対する認識が全て覆され、今まで経験し、自分の目で見てきた事実の全てが繋がったようだ。

魔物や魔族が傷を負っていたとはいえ、ウィリアムは一人で全てを斃していたという。討伐軍の魔族も決して弱い訳ではない。

私ですら一人で魔族と魔物を斃せといわれ、戦闘をしたとしたら無傷で済まない。そんな戦いを長年していたのだからやはり私の力ではウィリアムを食い止めることは出来なかったのだ。

ウィリアムの住んでいた村は恐らく魔力澱みに近い場所にあったのだろう。その濃い魔力の影響をウィリアムが受けている可能性が高い。ヒトにも関わらずウィリアムの規格外の強さは魔力澱みの影響が要因の一つとして考えられる。

「討伐軍に入った者とその家族は、その時点でいつ死んでも構わない覚悟でいる。自分の息の根を止めた相手が魔物であろうとも、ヒトであろうとも。だから」

ただ静かに涙を流すウィリアムにそのあとの言葉をかけることが出来なかった。

自分の村を襲いに来ていたと思っていた魔族が魔物から守ってくれていた。

自分が村を、妹を守ろうと思っていた同じ気持ちで、違う種族で会話をしたこともない魔族が守ろうとしてくれていた。魔王を筆頭に出会ってきた全ての魔族軍がだ。

深い感謝と、殺してしまった謝罪と後悔と、ウィリアムが行ってきた数々への罪悪感。そのすべてが涙のひと滴に内包されている。

「お前の名前、なんていうんだ。」

一際大きくたき火の薪が音を立てて割れる。ウィリアムは涙を拭い、私を見つめる。

その瞳は今まで見てきたウィリアムの何より力強く、己の意思を持っていた。

「ウォルフラム、という。気軽にフラムと呼んでくれ。」

「お前の角で、シェゼルは、妹は助かるんだな?」

確かめるように私をまっすぐ見つめるウィリアムに小さく頷く。

「嘘はつかない。魔族の生命力だ。ヒトにとっては膨大なエネルギーになるだろう。」

お互いに視線を外さずに、見つめ合う。お前を信じる。私を信じてくれ。妹を思う気持ちは同じはずだ。

「ウォルフラム、手を。」

ウィリアムの言葉に力の入らない包帯が巻かれた右腕をなんとか持ち上げ差し出すと、ウィリアムは両手で私の手をつかんだ。

「取引を受けさせてくれ。その上で俺に出来ることはあるか?」

知らなかったとはいえ魔族に守られていた命を、恩を返したいと、ウィリアムは握った私の手に力を入れる。

ああ、我が王よ。あなたの望んだヒトとの友好は夢物語ではなかった。

魔族とヒトはあまりに永い時、遠回りをしてお互いに傷つけ合っていたが、今ウィリアムと私は手を取り合うことが出来たのです。ただの一個人同士のやり取りは何よりも、大きな第一歩となり得ただろうに。

それが何よりも嬉しく、そして直接伝えることが出来ないことが何よりも悔しい。

私と妹を守ってくれた心優しき王の力に、私は少しでもなれただろうか。

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