占いに行ってきたのでバーナム効果について語るよ!

 別に占いにいくつもりはなく占いに行ったんですよ。たいへん楽しいラーメンのこといろいろ知れるし食べれる博物館的なところに行って、行ったら通路の隅で占いをやっていたのでやったんです。


 占いは好き。超好き。なぜかというと、私についてまるで知っているかのように話してくれるので自己肯定感があがるから。ふむふむなるほどねおっけー!とやって自然にすべてを忘れる。


 なので占いで言われたことについてここで書いておくことにより、未来のわたしが今のわたしに感謝するって寸法なの。はて。わたしはこのような文章で日記を書いていたのでしょうか。一生思い出せない。


 占いについて、信じる、信じない? みたいな質問をされることがありますが、私はそもそも占いに対して信じる信じないということを考えたことがない。妖怪にたいして信じる信じない? って言われるのと同じ気持ちを抱くだけである。


 信じるとか信じないとかじゃなくないっすか!? どういうこと!? と思っている。なにを持って信じるというのか、なにをもって信じないというのかが全然わからない。そこにあるのは相手から投げかけられた言葉だけなので、信じるとか信じないとかはよくわからない。


 わーあたってる! という感情が信じるということならば信じるし、うわー全然あたってない! という感情が信じないということであるのならば、信じていない。だからわたしは100%占いを信じているし、100%信じていない。どんな言葉を与えられても結局は自分との対話でしかない。


 こんな風に言っているが、占いをちゃんと受けたことは一回しかない。それは中華街でやったのであり、占いがやりたい! と思っていったのだけど、別に占ってほしいことがあるわけでもなかった。とりあえず小説の仕事がうまく行くかを聞いたが、結婚運のことしか話されなかったのでシンプルに地獄に堕ちてしまえと思ったのだった。


 ひどくない? 恋愛・結婚のことは一切必要ありませんので他のことだけで、といったのに恋愛結婚のことを重点的に言われた。まぁ、そのときの恨みつらみは今回とは関係ないのでやめておきます。


 今回もとくに占ってほしいことがあるわけではなく、漠然に強く「占ってほしい!」という気持ちがあるだだった。一緒にいた友人が先に占われて、横でふんふんと相槌を打って楽しんだ。


 とっても当たっているように思った。そうそう! そういうところがあるんだよね! わかるわかる! って感じ。とくにこういうことが向いていらっしゃるので、今の道はいいと思いますよ、みたいな感じで話が進められる。基本占いというのは相手のことを思ってなんかいい感じに肯定する、という作業だと思っているので、とても丁寧な仕事だ、いいぞ、と思いながら聞いていた。


 途中で、向いている職業を「〇〇がいいですね」って言われて、私は友人がどんな人格診断をしてもその職業だけはやめなさい、と釘をさされているのを知っているのでそれがめちゃくちゃ面白かった。


 占いの流れ、まず占って欲しいことを聞かれ、生年月日を書いて、そのあとに今なんの職業をしているのかを聞かれる。そうして四柱推命的なものとか、あとなんかいろいろと、爪の形を見て、手相を見て、お話をしながら、金運、適職、恋愛、結婚、みたいな各項目について占い師さんが話してくれるのである。


 おそらく、生年月日で易的ななにか、占いに明るくないので、なにかとしかいえないが、分厚いなにかを用いて、なんかの文字「巳」とか「乙」とか書いたりして数字も「40」とか「8」とか書いたりして何かを導き出している。それがおそらく、なにかこう、基本の? 運勢とか? なんかそんなのが出てくるなにかなのでしょう。


 で、おそらくはそのなにかはバーナム効果の源であり、どれも万人に当てはまるようなことなのだろう。人生に谷のない人はいないし、人の目が気にならない人はいないし、飽き性じゃない人もいないし、凝り性じゃない人もいないのである。


 お話をすることで相手の人となりを探り、適切なことばでバーナム効果を引き出す、そういった大変な技術が占いには必要なのだ。すごいぜ。楽しいぜ、占い! と思いながら聞いていた。金運を心配していた友人は、これからいろんなところからお金が入るから心配はいらない、ということだった。


 さて、私の番である。


 聞くことが思いつかずまとまらなかったので、とりあえず「私は売れるか?」ということを聞いた。小説を書いているということを人にいうのは大変に恥ずかしいことなので、めちゃくちゃどもってもぞもぞしてしまった。で、それは職業なの? と聞かれたので普段は書店員と大学生をやっています、と答えた。


 ふむふむ、と占い師はいろんな漢字をメモしたり、易的な本をぱらぱらしながら色んな数字を書きつけた。私は早く褒めてもらいたくて仕方がなかった。で、友人のときは色々話をしてから爪をみたり、手相をみたりしていたのが、いきなり爪をみせろという。


 ううん。となんか妙な唸り声をあげられる。手相を見せろという。うううん。となにか変な唸り声をあげられる。そんな反応はさっきしていませんでしたが? と思っていたら、大学に行ったらその先になにがあるのか、と聞かれる。


「頑張ったら卒業できます!」

「ふぅん」


 なんなんだ、と思う。今思い返してみると、これはバーナムへのいいパスをだしたのかもしれない。占い師は口を開いた。


「小説については、才能がないとはいわないけれど、あなたは営業をしないので、いま相談してもらったように売れるかどうか、というと今のままがずっと続くという感じですね」


 なるほど? ぜんぜん褒めが足りないが? でもこの一歩手前で営業とかはしていないのか、という質問があったような気がする。私が「営業??」という感じて、そういうのはまぁ、あんまり、と言ったので、そこが増強されて返ってきたのだろう。


「SNSでの宣伝とか、自分からこういうことができます、やらせてください、ということをせずに、向こうからいずれ仕事がくるとか、認めてもらえるとか思っているので、売れるのは難しいわね」


 なるほど? ぜんぜん褒めてくれないじゃん? と思う。

 営業なんて誰だって嫌じゃないすか? と今の私は思うが、さっきの私は「そうなんですよ!」となった。ご覧、これがバーナム効果だよ。楽しいね。


 自分の書いたものを自分で宣伝するなんて無理じゃないすか? 普通に考えて無理なんだが。めっちゃ面白いジャーン! ってなる秒数と、は? なにが面白いんだ死んだほうがいいのでは? と思う秒数は一緒なので、ツイッターを開いて「めっちゃ天才な話かけちゃったしもりもり宣伝するぞー!」のときと、ツイット文章を書いている途中の「私の分際でこのようなことをいうなどおこがましい貝になればいいのに」の移り変わりに自分がついていけず、もうやめよう……となって結局はバッテンボタンを押してしまうのである。


 占い師いわく、バッテンボタンを押すな! ということらしい。

 これは宣伝に限らずすべての物事に対して、途中で気が変わって別のことをしはじめてしまう人間性なので、ひとつのことを続けられない。マラソン選手ではなく、短距離の選手でもない、障害物競走をしたがる、と言われるので「そうです!!!」と大声で答えたら「それがだめなの!」とわりと強めに言われ、だめなの!? と衝撃を受けた。


 だって、障害物、乗り越えて、いいじゃん、えらいじゃん、と私は思った。いろんなタイプの障害物があって、越えていった方が、飽きなくていいじゃないですか。そんな、同じ作業ずっと続けるのなんてただの苦行ではないか。というのは大抵の人が思っていることではないですか?


 でも家に帰った私が考えるには、マラソン選手ですね、と言われればこんな年になるまで文章を書くということを毎日毎日飽きずに続けているという意味ではマラソン選手だし、調子がのっている時に文章を書くのとか、あとはエッセイ書いているときとかは短距離選手の気分だし、結局はこれもバーナムなのであった。すげーよな。バーナム。オールラウンダー選手だぜ。


 そしてなぜか占い師は「大学は辞めないでこのままだらだら続けるでしょうね」と言う。私は大学の進退については一切聞いていないし、辞めるなんてことは思っていなかった。しかし「なにか理由があって大学に言っているわけではないので」と言われて「そうなんです!!!」となったが、これも家に帰った私から言わせてもらうと、最初に大学のゴールを聞かれて「卒業できます!」と答えたから、そんなことを言われたのだと思う。理由のある人は「卒業」とかいう誰でも言えるものではなく、わかんないけどなんか具体的な、大学で自分が得たいことを述べるのだろう。


 いつ辞めるのかそれが問題だ、と大学を辞めるのがさも良いことという風に話を進められて、ちょっと悲しかった。自分のやっていることが間違っているといわれているような、というか実質そうなんだけど、うん。そんな感じだった。


 あと小説については「申し訳ないけど、突飛な発想ができる人ではないので、SFなんていうのはとても無理です。独創的なものを作り出すことは向いていないので、過去のものを寄せ集めるようなものとか、身の回りのこととか、現実のちいさなことを書くのがいいですね」と言われた。そのときは「そうなんですよ!」と強く思った。私の中で私は突飛な発想ができないでおなじみなので。でも家に帰った私から言わせると、普通にショックです。


 SFを書きたいと強く思っているわけではないし、現実のちいさなことを書くのがいやとも思っていないけど、なんというか、基本的に最初に「才能がないとはいわないけれど」と言ったわりに、占い師は全体的に小説を書くのは向いていない、とうなりながらオブラートに包んで言っているのである。普通に傷つきます!


 信じる信じないという次元でなく、普通にその言葉が悲しくないすか? 向いてないことをし続けている自分、かわいそうじゃん! って思っちゃう。まぁ、向いてようが向いてなかろうが書くしかできないのでなにも変わりはないのですが、普通に嘘で褒めてほしかったんですが???


 でもノンフィクションがいいとは言われた。あとは記事のまとめサイトとか、そういう切り貼りする能力が高いのでいいと思うと言われた。ノンフィクションはともかく記事のまとめサイトで文章を書いて暮らすくらいならもう二度と文章なんて書かなくてもいいです。


 あとは、なんでも出来てしまうから、それが仇となり結局なにもなすことができない、みたいなことを言われた。それはそう。私は天才なので技術的にはなんでも人並みにできる! でも脳が壊れているので大体のことがなにもかも人並みにできない!


 ともかく飽き性ですぐ別のことをやりたがるということを言いたいようであった。それはそう。でもそれは、全部の人類がそうではないのですか? すぐいろんなことに興味が湧きますね、と言われて、いいえ、ひとつのことにしか興味はありません! って答える人、いるか、いるな。だからこれは会話で導き出した答えだな。


 それから、自律神経がやばいね、夜眠れなくて、朝が起きられないね。と言われる。これも「そうなんです!」となったが、現代社会に生きていて、自律神経が狂ってない人間なんているのか。日本なんて全員睡眠不足なんじゃないのか。でも占い師がそれはそれは悲しく「ちゃんと眠れればね……」とつぶやくき、それさえできればすべてが好転するのにね、という物言いだったので、家に帰った今のわたしは部屋でひとり淋しく「そうなんです……」と呟き返している。


 占い師は聞きたくもないのにすぐ恋人は? と聞いてくるし今回は「彼氏は?」と聞いてきたので完全にアウトである。関係ないけど、このあとに鉄道模型博物館に言ったときも、おじさんが「次は彼氏と来なよ!」って言ってきてシンプルに死んでくれと思ってしまった。ごめんな、あんなに色々教えてくれて優しくしてくれたのに、死を願ってしまって、ほんとうにごめんな、でもその感性どうかしてるぜ。


 で、結婚はしたくないので、特に考えてないので、と避けても、かってに恋愛結婚運を語ってくる。占い師とはそういう生き物なのだ。なぜそれにはバーナム効果を使わないのだ??? わたしが望んでいないことくらい明白ではないか??


 でも勝手に占われたので書いておく。ともかく私はお金が入ってくるのかを聞きたかったのだけど、最初から「配偶者からお金が入ってきますね」しか言われなかった。なんだそれは、どういことなんだよ、それは私の人生に望みがないということじゃんか、寄生虫になれっていってるようなもんじゃないか、とまた殺意を抱いてしまったので気を取り直した。


 2024年に結婚運がとってもいいので、いいご縁があればいい、みたいなことであった。興味ないというか、絶対に結婚したくない! と思っているわけではなく、強い力で結婚のいいところだけを甘受したい、誰にも結婚したと思われたくないし、結婚した人間になりたくないし、淋しさを感じず一人で暮らしながら、みんなで一緒に楽しく暮らしたい! と思っているだけである。むりなんだ、そんなことは。むりなんだよ、パトラッシュ、元気か????


 さまざまな人と接する仕事が向いているし、大学も通信じゃなく通って人間と会った方がいいし、一人の時間が必要なわけじゃないから結婚も向いている、だけど人間と接しているとすべてのことを受け止めてしまい、とんでもなく人に気を使うので体を壊します、みたいなことをいわれ「どうしろと!?」と思った。


 あとツイッターに書いたけれど「人をいい気分にするのが大変に向いているので、人と接する仕事、それも人が次々変わっていくような、人を気持ちよくさせるような仕事」と占い師がいうので「(風俗嬢ですね!!!)」と元気よく思ったら「カウンセラーとか」と続いて、なるほどね!! って思った。


 あと2028年に、すべてのことがひっくり返ります、と言われてノストラダムスかよ、と思った。なんかひっくり返るんですって、すべてを捨てて家を変えるとか、なんか180度違うことをはじめるとか、わかりませんけれど、みたいなことを言われてめっちゃ怖いじゃん、それまでに貯金全部使ってしぬしかないのか、と思った。


 あとそうそう、パソコンを使って書いてるのか? って言われてそうです、と答え、文字は書かないのか、と言われたので、文字も書きますよ、と言ったらそれはいい、花押をおすとさらにいい、と言われたので、書家だったのか、と思った。思ったら「ペン字とか習字とかどうですか?」と言われた。どうですか、といわれたら「いいですね!」としか答えようがない。人に気を使っちゃう性格なんで☆ 


 やっぱり私のやるべきことは習字なのかもしれない。今年の頭に墨をくるくるして習字をしたのは正しかったのかもしれない、と家に帰った私は今思いましたが。これは「すぐ別のことをしたがる」を誘導してませんが、占い師よ。末恐ろしいぜ。


 知的好奇心が旺盛で、何かをしていると別のこと気にかかり、それを初めてしまう、それがよくない、とずっと言われたのでした。そんなだから配偶者は私のころころ変わる話題に、うんうん、とか、それは知ってるよ、こうだよね、みたいに話をあわせてくれる人がいい、と言っていた。そのあとに「あとはオタク」と端的に言われたので、オタク、と頭の中で繰り返した。オタクはいいよな。オタクは好きだぜ。


 そんなこんなで、占い師は友人に対しては基本的に褒めと肯定ときどきそれはやめたほうがいいわ、の忠告であったが、私に対しては基本的に、それがいけない、という口調であり、今思い返してみてもなにか褒められた記憶が一切ない。言い方なんだろうけど、基本的になんでも出来るから、と褒めてもらったふうなことを言ったあとにもすぐ「長所であり短所ね」という言葉を差し込んでくるので、ぜんぜん褒められた気がしなかった。これもバーナム効果なのか??


 総評としては、私の望む占い出なかったので、今度また別の占いにいーこお! っていう感じです。そうなのそうなの! っていうのを当ててくれるので楽しいですが、やっぱり褒められたいじゃん! ねえ!


 そんなこんなで、未来のわたしははちゃめちゃに売れに売れて、占いってバーナム効果だよな! みたいな感じに生きててくれると嬉しいです。それじゃあまたねー!誤字脱字はチェックしていない!

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