応援コメント

第9話 信じて、前を向いて」への応援コメント


  • 編集済

    読ませていただきました。

    初めに「デブオタ」読んでいました。「異形の翼」「雨に歌う協奏曲」好きです(実は僕自身もそっち系が半ば専門なので。浪漫であろうと、震電や高射砲塔に一度惹かれるのは宿痾でしょう。亡き佐藤御大の影響もかなりありますが)。

    では、本作の感想を書かせていただきます。
    大前提として……作者様には一定以上の文才があります。自主企画参加作が120程度ありますが、その中でも明らかに上位です。
    それを考慮し、また書籍化を目指されていると信じ、少しだけ辛口で書かせていただきます。

    大きな問題は二点。

    ・題材のニッチさ(間口の狭さ)
    ・その調理方法

    かと思われます。
    そもそも論ですが……軍事用語がいきなり出て来る作品に対する間口は狭いです。ガガガの「飛空士」や電撃の「86」が有名どころと思いますが、あの作品において戦闘機と多脚戦車はあくまでもアクセント。根本にあるのは古典的な「ボーイ・ミーツ・ガール」「身分差の恋」だと認識しています(※「飛空士」は古典映画)。悲しいかな、王虎で「おお……!」となる人間は、世の中において極めて少ないのです(漫画において、それを成功させたのは「ドリフターズ」。ですが、あの水準を小説でやるのは至難でしょう)。この時点で不利。
    題材のニッチさ=読む人の少なさに直結します。書籍化する際、編集様はそこを大変気にされるのです。初巻が売れない=『九割八分、戦死。2巻からの盛り返しはまずない』の原則は冷厳(※あくまでも実感です)で、今秋に僕も新作を出すのですが……デビュー当初では絶対に通らなかった、と思います。
    作者様が、昨今の「チート」系作品に違和感を持たれているのには共感しますが、市場において「分かり易さ」は恐ろしく強いカードでもあります。そして、現在のラノベ市場は1巻打ち切りはざら。2巻打ち切りが7割を超える死戦場です。出版社も商売である以上、赤字を垂れ流しにするわけにはいかない、という世知辛い現実が横たわっていることを脳の片隅に置いて、作品を書いてください。
    因みに、初代編集様はこう仰っていました。

    「商業で書きたいものを書くなら、売れてから書け」

    僕も書きたいものはたくさんあるんですが、未だに殆ど企画通せません。面白いからといって、市場で売れるかは分からないんです。

    次に題材の調理方法です。
    仮にこの作品が「書籍化」され、シリーズ物が計画されるとして、この作品の根底は何になるんでしょうか?(※重ねて書きますが、出版社も商売なので、赤字になり易い単巻出版はラノベではあまりないです)。広い意味で捉えるならば「ボーイ・ミーツ・ガール」+「チート物へのアンチテーゼ」でしょうか? じゃあ、それを市場に訴える際の訴求性は? 目新しさは「王虎」になるのでしょうけど、前述したように軍事用語はニッチが過ぎます。
    (※極端な話をしますと「騎射」ですら結構危うい)。

    個人としては、この作品に対する評価は決して低くありません。むしろ好きです。しかしそれを踏まえても、この作品をシリーズ化するのは困難だと思います。

    僕自身も新米であり、毎巻薄氷な身なのですが……どうか「書籍化」を目指さないでください。
    そうではなく初めから、

    「書籍化した作品を、四ヶ月刊行しながら最後まで書ききる」

    ことを目指してください。この業界「書籍化するのが目標!」だけでは、とてもじゃないですが生き残れません。
    また、応募レーベルの検討を。
    作者様の書き味からして、ガガガ文庫、メディアワークス文庫向き。最近だと、電撃文庫向きだと、昔から勝手に思っております(逆に言うと、web小説には不利。市場とwebは明確に別の戦場です)。レーベルによって売れ筋は大きく異なるので、研究をなさってください。
    泣ける純愛系で一作、如何ですか?

    長々と書いてしまい、申し訳ありませんでした。
    何時か、KADOKAWAの新年会でお会いして「ようこそ、地獄へ!」と言えるのを楽しみにしております。

    それまで、僕も生き残れるよう頑張りたいと思います。

    作者からの返信

    超のつく凄いプロ作家が丁寧かつ親身に手厳しいコメントを書いて下さったのか(冷汗)ありがとうございます。

    ううむ、やっぱり難しいですかぁ…(がっくし)
    言ってることは全て納得のゆく説明なので、ぐぅの音も出ない。
    カクヨムから「山本五十子の決断」出てたし、ガルパン人気根強いし、LA軍さんの「ドイツ軍召喚ッ」とかも書籍化されたし……テンプレなんか書くの嫌だから異世界を戦車で救うお話でワンチャンあるんじゃないかと思ったんですが、やっぱり駄目ですか(涙)
    自分、戦車が好きなので、せっかくいいものが書けたと思っても需要がないところに全力投球して読まれない拾われないというのは辛いですね。

    前作の「デブオタ」がアイドル小説というまったく需要のないジャンルだったので、いいものが書けたとどんなに自負してもどこからも拾ってもらえなかったという結果に終わりました。「異世界ならどんな話でも読んでもらえる」と聞きつけて苦心惨憺書いたのが「どんな話でもと言ったな、あれはウソだ」だったとは。異世界にミリタリー混ぜたら読まれない、そもそも著名作家以外はテンプレしか読まれないと思い知らされました。

    それでも受賞も書籍化もほとんどが異世界ものだから、今度はテンプレにある程度迎合した魔法少女ものも書いてみましたが、もっと酷い結果になってしまいました。
    完全に迷走してしまい、途方に暮れてる中で昔の知り合いはほとんど書籍化したり受賞したりで遠い人になってしまったのが苦しくて「もう何を書いても駄目だ」な絶望感と「また置いてけぼりにされる」焦燥感で、今では何をどう書いたらいいのか何もおもいつかなくなってしまいました。毎日ため息ばっかりついています。

    お礼を言うつもりが愚痴になってすみません。せっかく御多忙な中で寸暇を割いて書いて下さった貴重なアドバイス、読み返してどこかに拾ってもらえるような話を考えたいと思います。
    読んでいて自分を見直すための、黄金にも等しい素晴らしいご意見を幾つもいただいたと思い、本当に感謝しています。いま、何度も読み直してこれからどうすべきか考えています。

    辛くてお礼ちゃんと言えなくてすみません。いつかお会いできる機会があったらお詫びも兼ねて九州の旨酒を一杯、奢らせて下さい……
    このたびは、本当にありがとうございました。

  • テツオはどうして、チート能力を持たなかったんでしょう。持たないからこそ、ティーガーと共鳴したのでしょうけど……。
    姫様が元気を取り戻してよかったです。これで魔族たちにも明るさが戻りますね(^^

    作者からの返信

    丁寧なご感想、ありがとうございます。テツオはチートハーレムを堪能したいと思ってこの異世界へやって来た訳ではなくチートは何一つ持ち合わせていません。ただ、その悲しい境遇から彼は弱い者へ手を差し伸べる労わりの心を持っています。そして、それがこの話のキーポイントとなります…