第10話 盟友

玄関ドアが開いた。

ロビーの奥の受け付けに紳士が立っている。

黒崎代表だ!

「待ってたぜ。お前の来るのを。知っていたんだ」

深くえぐられた傷を想起させる極限のルックス。

間違いなく黒崎義夫だった。カッコいいと強烈に思うルーディー。

大きくて、ビルの内と外と同じように頑丈そうなエレベーターへと案内された。

2人で乗り込んだ。ドキドキする。この人があの黒崎代表。

「君は私が国に依頼して製造してもらった、対キラーロボ戦士だ。キラーロボとはキラーズの首領。……ロボットだ。

外国のロボット会社が戦闘用に開発したロボット。

キラーロボは自我に目覚め、破壊を繰り返してきた。

君の元型だった私の盟友ルーディーとともに私も戦った。

君の元型と家族は自動車事故とされたが、実はキラーロボによって事故をよそって殺されていたんだ」

呆然とし、ノドが極端にカラカラに乾いていた。

恐ろしい事実が次々と明かされる。

「君の戦闘能力は世界トップクラス。キラーロボを倒すのは君しかいない。マシーンに人が勝てるわけがないが、君にはその力がある。生まれつきの戦闘の天才だ」

最上階を過ぎ、屋上へ。

ジェット戦闘ヘリコプターが1機、飛び立とうとヘリポートでスタンバイしてる。

中に人がいる。

「ノズ!」

ノズはヘルメットごしにルーディーにしか見せない、いつもの笑顔を見せ、スイッチを操作してヘリのプロペラを回転させた。


「ルーディー、説明は不要だ。私のだ」

と、傷だらけのデッドメタルのバットを手渡す黒崎。

黒崎がデッドメタルを創設し、キラーズとの闘争に明け暮れた歴史がイメージとなって現れる。


「行ってこい。世界のために。キラーロボはキラーズ全員を集めて八丈島を襲っている。基地化しようとしている。住民が大勢殺された。デッドメタルの応援部隊は全員殺された。行ってくれ。ノズと2人で大暴れしてこい」


ノズとルーディーを乗せたヘリはノズの操縦で離陸し、八丈島へと向かった。下界の東京市街は起伏のあるベルベットのように見える艶やかな未来都市だった。


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