第10話

「この運動に参加しようと先生に相談したら、何人かのグループで文通するならいいって言うのよ」

「だから?」

「オダチンも、アッチャンも、一応話しに乗ってくれたんだけど…」

「良かったじゃない」

「でもみんなが言うには、みっちゃんが参加してくれないとヤダって…」

「どうして?」

「あなたさ、身体の大きなお兄ちゃん居たわよね」

「兄貴が何の関係があるの?」

「文通が嫌で辞める時に、もしモメたら頼りになるからじゃない」

「ちょっと、勘弁してよ!」

「ねっ、お願い」

「無理よ。手紙書くなんて苦手だし、だいたい手紙書くなんて時間ないし…」

「ねっ、このとおりだから」


 アオキャンは額の前で手を合わせる。


「いくら親友のアオキャンのお願いでも、こればっかりは、ダメ!」

「そう…ならバラすわよ」

「何を?」

「ミミズ事件、あなたの家族にバラすからね。いいの?」


 しまった。墓場まで持っていくはずの秘密を、この親友にだけは喋ってしまったのだ。絶句するミチエ。


「ねえ、いいでしょ。それにエリート大学生と知り合う絶好のチャンスだと思わない?」


 アオキャンはまったく『文通運動』をはき違えている。

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