第63話 Darkness

Rito



「Rito、久しぶり


お前最近どうしてる?」


「学校とバイトの往復だよ」


「たまには息抜きに遊びに行かねぇか」


「あぁ、いいけど」





「今回は可愛い子だよ、写真見る?」


「遊びに行くって合コンじゃねぇか


俺もうそういうのは卒業したんだよ」


「何だよ


好きな子でもできたのかよ」





「好きな子なんかいね.....


いねぇよ」


「一瞬間があったぞ」 


一瞬Reiちゃんのことが頭をよぎった


ただ好きなのかはっきりしないことと


もう会うことはないから


好きな子という分類に当てはまるんだろうか





「写真だけでも見てみろよ」


確かに、可愛い


恋愛自体を諦めたわけではない





Rei


「Rei、久しぶり!


最近学校で見ないから心配してたんだよ」


「久しぶり


英文科の授業は必須項目だけ受けて


あとは心理学の授業受けてるの」


「だから、英文科の授業で


見かけなかったんだー


そういえばReiにちょっとしたニュース!」


「何?」


「実はこの前、学食でお昼食べてたら


河原先輩と彼女喧嘩してたの


ここ最近ちょこちょこ喧嘩してるの


見かけるから


そのうち別れるよ、あの二人」


「そうなの?」


「Rei、河原先輩のこと好きだったよね


今、先輩に近づいたら


Rei、付き合えるかもよ」





えっ、確かに河原先輩のことは好きだった


今はもう


いや、そんな状況を聞いたら


正直心が揺らぐ


 



Haru


カチャカチャ


新しいゲームの製作がはじまって


また忙しい日々が続く


家に仕事を持ち帰り


一日のほとんどを


パソコンと向き合う日々  


あんなにパソコンがほしいと


思っていた日々が嘘のようだ





カチャカチャ


一通のメールが


Reincarnation様


えっ、この書き出しは.....





お久しぶりです


あれからいかがお過ごしですか?


前回の依頼で最後の予定でしたが


もう一度お力をお貸しいただきたく


メールを致しました


あなたなら今回も楽々とやってのける


でしょう


内容ですが


ある政治家に賄賂の疑いがあると


小耳にはさみました


はっきりとした証拠をつかみたいのです


証拠はあればあるほどいいです


今回は証拠1件につき50万円


お支払い致します


もし3件証拠をあげていただければ


150万円お支払い致します


では今回もいいお返事お待ちしています


Storm





やっぱりStormだ




150万.....


バイトの労力を考えると


この報酬はかなり魅力的だ


両親がいなくなった今


まとまったお金は必要だ


学費を払うことができる





Reila


「Reila、久しぶり


そういえば、この前の新人コンクール


Nanaちゃんが入賞したね


先生からも目をかけられてて


彼女だけ特別扱いされてる感じ」





「一緒にいて嫌になることない?」


ドキン


ついこの前Nanaの絵をダメにしてしまった


ことを思い出す





「Nanaは確かに才能があるから


すごいと思ってる」


「えー、そうなの?


そういえばこの前Nanaちゃん


Reilaちゃんの悪口言ってたよ」


「えっ」





Rito


彼女を作ることを諦めたわけではない


でもただノリで合コンして


また遊んで


そんなことを繰り返しても何の意味もない


本当に必要な出会いは探さなくても


時期が来たら、自然と出会うはず





「悪い、俺やっぱり合コンはもういいや」


「何だよ」


「ただ飲みにいくだけならいつでも誘って」





そう、これでいいんだ


俺を試しているんだ、闇が


もう同じことは繰り返さない





Rei


「河原先輩と彼女、確かに喧嘩は


したのかもしれないけど


今すぐ別れるとは思わないな


先輩には幸せになってもらいたい


それに別れる時は自然に別れるだろうし


先輩と強引に付き合えたとしても


なんか違う気がするから」


「せっかくReiのために教えてあげたのに」





そう、これでいいの


これはきっと闇だから


邪魔をしてまで


先輩と付き合いたいわけではないから





Haru


カチャカチャ


Storm様


お久しぶりです


頼ってくださってありがとうございます


ですが依頼をお受けすることはできません


前回のが最後です


Storm様の幸せを願っています


今までありがとうございました


木塚





そう、俺の名前は木塚


もう同じことは繰り返さない


これは闇の仕業だ


さぁ、仕事をしよう





Reila


Nanaが私の悪口


いや、あんなに酷いことをしたんだから


言われても仕方ない





でもNanaが


あのNanaが言うはずがない


あんなに酷いことをした私に


また絵を描くことをすすめてくれて


友達に戻ろうとも言ってくれた


そんな彼女を一瞬でも疑いそうになった


私の心に問題がある


もう闇には振り回されない

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