第54話 Each of the life
Reila's life
Nana「Reila久しぶり、元気?」
Reila「うん.....」
Nanaとはあのコンクールの件以来
連絡をとっていなかった
というより、とれなかった
Nana「そんなよそよそしくしないでよ」
Reila「ごめんね、ほんとに」
Nana「もうそのことはいいってば
私、Reilaとまた友達に戻りたい」
Nana.....
Nana「Reilaとなんとなく
気まずくなってから
他の子と仲良くしたりもしてたけど
なんか違うんだよねぇ
やっぱり私の友達はReilaだなって」
Reila「Nana.....」
Nana「だからまた前みたいに
買い物行ったり
うちでご飯食べたりしよ」
Reila「また友達だと思ってくれるの?」
Nana「もちろん!」
Nanaありがとう
ほんとにありがとう
Reila「こんな私だけど
これからもよろしくね」
Nana「うん、こちらこそ
Reilaそういえばまた新人絵画コンクール
あるって知ってる?」
ドキン
Reila「うん....知ってる
学校の廊下に貼ってあったね」
Nana「参加しない?」
Reila「えっ
私もうコンクールは.....」
Nana「もしかしてもう参加しないつもり
だったの?
Reila、Reilaは絵を描くべき人だよ
それに画家になるには
新人コンクールは
登竜門みたいなもんなんだから」
Reila「うん」
Nana「今度こそ正々堂々と勝負だよ
それにReilaも参加しないと
私張り合いがない」
Reila「うん」
Nana「締め切りは3か月後
お互い全力で頑張ろ」
Reila「分かった、参加する」
Nana「良かった
テーマは幻だったね」
Reila「幻かぁ
なんか抽象的で難しいなぁ」
まさかまたコンクールに参加する日が
来るなんて
もう参加するつもりはなかったから
Nanaありがとう
あなたは絵だけじゃなくて
心まで美しい
いつか私もそんな人になりたいな
Haru's life
カチャカチャ
カチャカチャ
最近ようやく平和な日常を取り戻した
あれ以来Stormと名乗る男からは
連絡はきていない
不正を暴いて
はじめはいいことをしてる気分だった
報酬も良かったし
だが最後の依頼のあと
不正が発覚した後に
横領していた男性は自殺を図った
幸い未遂ですんだが
もしかしたら
今頃亡くなっていたかもしれない
後味が悪い
もともとやっていたバイトは順調だった
会社からプログラミングの能力が買われて
今新しく発売するゲームの
制作に携わっている
卒業後に就職しないかとも言われている
俺はもともと集団に属することが
得意ではない
だから卒業後も
どこかに所属するということは
考えていなかった
ただ弟たちの学費や家計のことを考えると
この3次元の世界では
無難に就職を選ぶのが
賢明なのかもしれない
20才の誕生日を終えて半年が過ぎた
今の俺の数値は
頭脳 1350
精神 430
特殊能力 700
唯一特殊能力だけが全く変わっていない
なんでだ
仕事も順調だし
好きなこと得意なことを伸ばしたら
能力レベルも加速するんじゃないのか?
それからもう一つの難題
精神のレベルの上げ方が分からない
頭脳の上げ方は分かるが
精神は内面だ
ボランティアでもすれば
レベルも上がるのか
そこの解決策がまだ俺の中で浮かばない
仕方ない
得意の頭を使うしかない
最近また京都が気になっている
修学旅行以来行っていない
あそこには何かがある
貴宝寺の石碑
ネットで調べてみる
カチャカチャ
特にこれと言った書き込みはされていない
言い伝えみたいな書き込みしかない
扉が開いたとかそういう書き込みは
特にない
休みの日に、直接確認しに行くしかないな
Rito's life
彼女を妊娠させてしまって以来
それまでいい加減に付き合ってきた
子たちの連絡先をすべて消去した
消去したからといって
リセットされたわけではないが
許されないことをした
産まれてこようとしていた
小さな一つの魂を自らなくしてしまった
この罪は一生消えない
あの日以来、彼女とも疎遠になってしまった
大学の友達ともほとんど関わることなく
家とバイトの往復
それが楽しいとかつまらないとかではなく
人生はそんなものと割りきっていた
Ryoとはあれ以来会ってはいないが
連絡は頻繁にとっていた
いつの間にか何でも話せる中になっていた
お互いの子供時代の話や
父親のこともRyoを通して知った
俺が降りてきた時には
すでに父親はいなかった
まだ小学生だった頃
父親という存在に憧れもしたし
逆に父親がいないせいで
母親は朝から晩まで働くことになり
俺は毎日鍵っ子だった
だから恨んでもいた
毎日夜は家中の鍵をかけて
家中の電気をつけて
怖いからトイレとお風呂はドアを
開けたまましていた
Ryoの話によると
俺の母親と父親はお見合い結婚らしい
母親と出会うまでずっと
Ryoの母親と付き合っていたらしい
だが二人は結婚を反対されて
泣く泣く別れた
で、俺の母親と結婚して
俺が産まれてしばらくして
Ryoの母親の両親が妊娠してることを
親父に連絡してきた
その時Ryoの母親は病気の進行が
かなり進んでいて余命わずかだった
親父はRyoの母親が亡くなってから
Ryoを引き取って四人で暮らそうとしたが
俺の母親がそれを反対して
そこから家庭はうまくいかなくなり
離婚した
母親がヒステリックだった気持ちが今なら
よく分かる
でも今なら親父の気持ちも分かる.....
久しぶりにRyoからラインが来ていた
Ritoにお願いがあるんだけど
大阪に俺の友達が住んでて
その友達の弟が今中学生なんだけど
来年高校受験を控えていて
勉強見てもらえないかって頼まれてて
今まで部活漬けだったから
勉強はかなりやばいことになってる笑
塾じゃ追いつかないから
家庭教師をお願いしたいらしい
偶然Ritoの家から近いから
お願いできないかと思って
俺が家庭教師
大学生のバイトにしては時給が良かった
Rei's life
最近アルバイトをはじめた
自宅通いだったし
お小遣いも十分もらっていたんだけど
周りがみんなアルバイトをしていて
楽しそうだったから
バイト先はオシャレなイタリアンの
ウェイトレス
人と接することが好きなのと
そこの料理が美味しかったから
あれからバイオリンには触っていない
一応怪我は治ったが
怖くて触ることができずにいた
触ったらできないという事実を
実感せざるを得ないから
まだバイオリニストの夢を諦められなかった
その夢をチャンスを
自ら無駄にしてしまった
誰のせいでもなく自分のせい
まだそのことを親に話せないでいた
親には怪我のことは詳しく言わず
ちょっと切れただけと言っていた
将来を期待していたから
相当がっかりすると思う
そんな私の最近の近況と言えば
ブログをはじめた
ただ代わり映えのない日常生活を
ダラダラ書いてるだけだし
読者がたくさんいるわけじゃないんだけど
書くことで気持ちの整理がつくから
なんとなく書いていた
それから学部は英文科だったが
最近の自分の変化もあり
心理学に興味を持つようになった
大学はマンモス大学で学部が豊富だった
心理学の授業も受けてみよう
また何か分かるかもしれない
あれ以来Ritoくんの夢のようなものは
見ていなかった
彼にこのことを話したら驚くだろう
でも規則で絶対に話してはいけない
ブログを書いていたら
たまたま京都のホテルの広告が目につく
京都かぁ
来週あたり行ってみようかな泊まりで
夜中の0時に扉が開く
中学の修学旅行の時にも行ってみたが
その時は扉が開くことはなかった
ただの迷信かもしれないけど
何かある気がする
あそこに行けば何かが分かる気がする
カチャカチャ
電車とホテルを調べる
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