第43話 Haru

ある日突然母親がいなくなった


俺らを残して


葬儀は身内だけでした





最後に母親が言っていた


妹と弟と呼ばれる人が来ていた


母親が亡くなる覚悟ができていたのか


預かると言ってきた


ただ預けたら弟たちはバラバラになる





末期で体中転移していた母親は


相当痛かったに違いない


それでも弱音一つ吐かずに


死んでいった


最後の一言はごめんねだった





まだ母親が元気だった頃に交わした会話


「こんな家とっとと出てってやる」


「こんな田舎」


「俺の部屋は何でねぇんだよ」


「何で離婚なんかしたんだよ」 


会話というより

 

一方的に俺が言っていただけだ





葬儀が終わって放心状態の中 

 

弟たちのご飯を用意しようと


ふと冷凍庫を開けたら


いつ作ったのか


ハンバーグだけじゃなく


餃子やら唐揚げやらカレーやら


我が家ではごちそうと呼ばれている食べ物が


冷凍庫にぎっしりと入っていた





こんなにいつ作ったんだよ.....





兄貴は学校やめてこっちに来るって


言ってたけど


せっかく奨学金で入れたんだ


そんなもったいないことはない


母親がいなくなった今


学費はそれぞれ自分でなんとかするしかない





もうすぐ高校3年になる


進路を考える時期が近づいてきてる


弟たちを預ければ晴れて田舎を出れる


それでいいんだよな?


それが俺の望みじゃないか


その望み通りになるんだ、ようやく.....

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