第35話 修学旅行
Rito
中学3年生、季節は秋
修学旅行シーズン
10月7日
行き先は京都
修学旅行なんか面倒くせぇ
先生がいなくなってから6か月
多分もうこの世界にはいない
上の世界に帰ったんだと思う
なんか目的があって
それを果たしたんだろう
先生は俺のこと分かっていたのか
いなくなった今
確かめる術もない
後悔しても今さらだ
自由時間
特に行きたい場所もなく
フラフラする
あてもなく歩いていると
貴宝寺
聞いたことないな
暇だし、行くか
Rei
10月8日
今日は修学旅行
行き先は京都
普通、修学旅行って
楽しいものなんだと思うけど
仲のいい友達がいない私からすると
ただただ気が重い
でも京都は来たかった
テレビとかで見たことがあって
いつか行きたいって思っていた
今は自由時間
貴宝寺に向かってるところ
穴場らしくガイドにも
小さくしかのっていなかったけど
見た瞬間絶対に行こうって思っていた
Haru
10月9日
修学旅行なんか興味ないけど
弟たちから離れたくて
それを理由に久しぶりに家から出る
弟たちは隣の家の人が預かってくれている
バイトからも開放されて
はじめて青森を出た俺は
カルチャーショックを受けていた
同じ日本でもこうも違うものかと
ようやく自由時間
グループ行動が嫌いな俺は
1人になれてようやく修学旅行を満喫できる
で、今貴宝寺に向かっている
京都にある寺の中でも特殊らしい
だから何が特殊なのか
実際に確かめに行く
Reila
10月10日
修学旅行で京都に来ている
足を怪我して以来
家にひきこもっていた
何もする気が起きない
修学旅行も行かないつもりだった
でも
友達と先生に説得されてなんとか来た
友達とはぐれて道に迷ってしまった
ここどこだろう......
貴宝寺?
はじめて聞いた
石碑にはこう書かれている
この世界と上の世界をつなぐと言われている
つまりこの場所は
次元と時空をつなぐ場所である
上から下に降りてくる魂は
必ずここを通って降りてくると言われている
夜中の0時から5分間その扉が開く
しかしその扉は誰にでも見えるわけではない
見える者はつまり上から降りてきている魂だ
己が達した時にこの意味が分かるだろう
何度も扉を叩く者現実世界に反映する
そのことは誰にも言ってはならぬ
Rito 上の世界とここをつなぐ
上ってつまり俺がいた世界のことか?
Rei 扉って何だろう
夜中の0時から5分間だけ開く
過ぎたらどうなるんだろう
Haru 確かに特殊だ
これは確かめる必要がある
Reila えっ、このお寺
私のいた世界とつながってるの?
夜中の0時か
夜の11時半
こっそりとホテルを抜け出す
昼間見た貴宝寺へと向かう
10月8日 夜中の0時 Rito貴宝寺前
10月9日 夜中の0時 Rei貴宝寺前
10月10日 夜中の0時 Haru貴宝寺前
10月11日 夜中の0時 Reila貴宝寺前
石碑に近づくと
石碑が光っている
そっと手を当ててみる
すると石碑が扉に変わる
ほんとに扉だ
見えるってことは
やっぱり上って俺がいた世界と
つながっているってことか
やっぱり上って私がいた世界と
つながってるんだ
扉に手をかけて開けようとすると
開かない
己が達した時にってそういえば書いてあった
まだ達していないから
開かないのか?
開かないのかな?
ここはどこと直結してるんだ?
ここはどこと直結してるんだろう?
もしかして銀河司令センター?
どちらにしろ
今はまだ開かないってことか
今はまだ開かないんだ
達していないから
あっ
5分が経過したらしく
またもとの石碑に戻る
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