第33話 Darkness

in the case of Rei




「泉さん、放課後教室に来て」


えっ、まただ


先輩に目をつけられてから


よく放課後呼び出されるようになった





きっかけはたまたま


先輩と財布が同じブランドだったことが


きっかけ


生意気に思われたのだろう





たったそれだけのことで


たったそれだけが命とり、この世界では





はぁ


はじめは呼び出されて


説教をされるぐらいたった


それがだんだんエスカレートして


椅子が飛んできたり


体操着がなくなったり


酷くなっていった


きっと何もかもが許せないんだと思う





学校の先生にも親にも話せなかった

 

いじめられてるなんて知られることが


恥ずかしいし、かっこ悪い


小さなプライド


それに話したところで


解決するとは思えなかった





仕方なく今日も


先輩の教室に向かう


行かなかったらそのあとが怖いから





in the case of Haru



中学2年


ようやく中学に入って俺の人生が  


動き出すと思ったら、両親が離婚した





もともと漁師だった父親は不在がちだったが


母親1人になって


明らかに家計が大変そう





毎日の食事がそれを物語っている


兄貴は全寮制の高校に入ったため


東京に行ってしまったから


一気に俺に負担がのしかかる


俺も家を出たい





母親は朝早くから市場に働きに


でるようになった


幼稚園と小学校の弟の面倒は


主に俺がみることになってしまった





くそっ


なんでこんなことに


俺のmissionはどうなるんだ


こんな環境でmissionどころじゃねぇよ





夕方


夜ご飯を弟に食べさせようと思って


冷蔵庫を開けたがすっからかんだった


何食べたらいいんだよ





in thecase of Reila



中学2年生


バレー部に入って1年半


ただ身長が高いことを褒めてもらったことが


単純に嬉しくて


入っただけなのに


気がついたら毎日がバレー一色だった





勉強どころじゃなくなり


まんべんなくできていた勉強も


どんどん成績が落ちて


気がつけば


下から数えた方が早いぐらいのとこまで


落ちてしまった


ここまで落ちた成績を復活させることは


かなり困難





それにもうすぐ全国大会


ここではじめてのレギュラーになる


去年は補欠だったから


高校はスポーツ推薦を狙っていた


それなのに




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