第4話ケンジとタカシ、モテる男編


「なぁなぁタカシ。モテる為になんかしてる事ってあるか?」


「何だよいきなり。特にやってないかなぁ。ケンジは何かやってるのか?」


「やってない。だから今日はそれを考えようと思うんだ」


「素晴らしい時間になりそうだな。それで?まず何から考えればいい?」


「そうだな。女性から見てかっこいいって思う男性ってどんなのかわかるか?」


「分からん!ちょっと待ってハナちゃんに聞いてみる」


「おいおいやめとけ。ハナちゃんは甥っ子の一歳児だろ?今は恐らく昼寝の時間だ。子供にとっての睡眠は仕事でもある。邪魔したら駄目だ」


「確かにお前の言う通りだ。危なかった。ハナちゃんの仕事の邪魔をするところだった」


「まだ未遂だ。大丈夫。それよりもだ。まずはスポーツをしている男子ってかっこよくないか?」


「おお!かっこいい!サッカーとか野球とかバスケとか!」


「最近ではサーフィンやボルタリングなんかも盛んだ。因みにタカシは何かスポーツはやってたか?」


「俺は鬼ごっこくらいかなぁ。あ、縄跳びもできるぞ!!」


「むしろできないと困るが、そんなマニアックであるかないか分からないスポーツではだめだ」


「じゃあケンジは何かやってた?」


「ああ、俺はサッカーを少し」


「おお!!かっこいい!ポジションは!?」


「観客席だ」


「は?フィールド上にいないの?ベンチとかでもなくて?」


「ああ、高校三年間俺はフィールドには入れず、ベンチにも入れず、何ならマネージャーにもなれず一人で観客席に追いやられていた」


「つらい過去だな。だがこれから見返せばいい。人生をスポーツと考えたらまだキックオフしたばかりだ!」


「そうだな。ありがとう。スポーツの話は辛くなってきたからやめよう。他にどんな男がモテる?」


「そうだな。余裕がある男なんてカッコ良くないか!?」


「おお!素晴らしい意見だ!確かにかっこいい。どんな時でも動じない男は男から見てもかっこいい。因みに余裕のある瞬間ってあるか?」


「そうだなー。俺は授業中皆が真剣に先生の話を聞いているときにお弁食べるくらいの余裕をもって授業を受けてる!ケンジは?」


「なるほど。よく退学になってないなお前。俺はそうだな。どんな時でも風で女の子のスカートが舞い上がりパンツが見えた後冷静に本人に「水玉パンツなんですね」って話しかけられるくらいの余裕はもっている」


「だからケンジは彼女できないんだね!あ、あと車のバックする時の仕草ってかっこいいとか言わない?」


「おお、それはよく聞くな。さすがタカシだ。駐車する時に後ろ向いて一発で入れられたらかっこいいとか言うな」


「そうそう。あ、じゃあそれを全て合わせれば超カッコいいんじゃないか?」


「ん?どういうことだ?」


「まずは車のバッグだ。もうこの際常にバッグで走ろう」


「悪い。さすがの俺も何言ってるか分からん」


「つまり!高速道路とかも後ろを向いてバッグで走ればいいんだよ!」


「なるほど。そうすれば常にかっこいいのか。それで?」


「で、高速をバックで走ってそのままスポーツジムに行ってサッカーをするんだ!」


「観客席で?」


「それはケンジだけね。サッカーをフィールドで楽しんで彼女のスカートにボールを当ててパンツを見るんだ!そしてこういう「クマさんパンツなんだね。可愛いよ」って」


「なるほど。かっこいい事を詰め込むわけか!それはいい。もっと詰め込もう」


「そうだね。じゃあ夢のある男とかどうかな!?」


「素晴らしい意見だ。夢はでかい方がいい。何にする?」


「そうだな。宇宙飛行士なんてどうだ?」


「それでいこう。筋肉のある男なんかもかっこいいんじゃないか?」


「いいね!!かっこいいよ!何なら服は着ない方で見せつけよう!あとユーモアセンスも大事だよね」


「大事だな。どんな時でジョークは言えないとな」


「うんうん。後は寡黙な男もいいなぁ」


「かっこいいよねぇ。普段は口数少ないのに、女性の前では甘い言葉をささやいたり」


「完璧、それ完璧だよ!ケンジは冴えてるなぁ」


「じゃあこれらをまとめてやってしまおうか。まずはどこから行く?」


「そうだね。車に乗せるときにジョークの一言は欲しいよね」


「そうだな。そして筋肉を見せるためにパンツ一丁でいた方がいい。セリフは何にする?」


「車で彼女を迎えに行く。もちろんバックで。そして筋肉を見せつけながらパンツ一丁でこう言うんだ。「ベッドの上で俺に乗るかここで車に乗るかどっちがいい?」って」


「なるほど。恐らく車に乗るね。それで?」


「そのあと車で高速をバックで走る。勿論寡黙にね」


「クールだねぇ」


「だけどそこで「俺、宇宙飛行士になりたいんだ」って夢も語っておく」


「車の中二人っきりで夢を語る男。ロマンティックだ」


「で、スポーツジムについてこう言うんだ。「サッカーする?ベッドの上で夜のゴールを決めちゃう?」


「なるほど。小粋なジョークだ」


「だろ?そしてサッカーをしてパンツを覗き込む。そして余裕をもってこう言うんだ「今日のパンツはセクシーだね。でも今日の俺の股間はもっとセクシーだぜ」って!」


「完璧!完璧な口説き文句!これで行けるんじゃない!?」


「いけるな。よし!今日もナンパしに行くぞ!」


「おー!!」

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