八十階 002
オレは読むのが遅い。
それはオレ自身にキョウヨウがないことと、目細野郎が難しい言葉で書いたからだ。
舞台の台本を読むのとは勝手が違う。
あれは話す通りに書いてあるし、アドリブが許される。
分からない単語は横に立ったマネージャーかAI翻訳機が教えてくれた。
今、オレはオレが持ってきた体外デバイスの辞書で言葉をひきながら読んでいる。
それでは目細野郎の言いたいことが消えてしまうだろう。
目細野郎のゾーイの文章は、初めて読むタイプのものだった。
キザ金髪はそれを、
「ショウセツに近い。あれにはブンサイがある。多少だがな」
と言ったが、オレはその文章の意味も半分以上分からない。
そもそもこの数時間、あのキザ金髪の言う単語がまともに聞き取れたためしがなかった。
あいつは化石みたいなしゃべり方をする。
「儂」だって?
オレは頭を振った。
それを考えることに、脳みそを使うのは間違ってる。
薄いノートのページを、オレは慎重にめくった。
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