第5話 俺の能力をはかってみた
「待て、エルミア。早まるでない」
「止めないで、長老様。こいつは今ここで殺すの。うんこ絶対許さないんだからっ」
エルミアさんの俺への好感度は最悪のようだ。
まさか殺したい程とはね。
前向きに考えれば、今どん底だから、あとは上がるしかない。
俺はエルミアさんの胸を触ったらしいが、感触を全く覚えていない。
胸の感触を確かめたい。
確かめなければならない。
「まぁ、まぁ落ち着け。
エルミアが怒る気持ちもわかるが、こやつはこの世界のことを知らないというではないか。
もしや伝説の転生者かもしれんぞ」
「そんなことないわ。
こいつは知らないふりを演じているだけよ。
ただのうんこなんだから」
「うんこ、うんこって、俺はうんこじゃないっ」
「一度罪人になった者は、良き行いをするまで変わることはできない。
よしっ。
チャンスをやろうではないか。
エルミアと共にゴブリン退治をするのじゃ。
ゴブリン退治を無事終えることができれば罪状を取り消してやろう」
「ゴブリン退治っていきなりの展開だし、そもそも俺に命令するな。俺に命令していいのはエルミアさんだけだ」
「長老になんてひどい言い方するの? 私もうんこと組むなんてごめんだわ」
「ゴブリンのせいで大勢の民が犠牲になっておる。
今は人手が足りない状況じゃ。
待っていたら、被害が拡大してしまう……」
「だったら一人でいくわ」
「ゴブリンは多勢。エルミア一人で行かせることはできない。
公人よ。
これも何かの縁じゃ、エルミアを助けると思って、ゴブリン退治をしてくれんかのう」
「エルミアさんがどうしてもっていうのなら手伝ってやってもいいぞ」
「うぅ……
なんで上から目線なのかしら……
だけど困っている人を見過ごせないわ。
わかった。
ゴブリン退治手伝ってくれたら、私の胸をさわったことを許してあげてもいいわ」
「本当!?
おっぱいさわってもいいの?」
「そんなこと言ってない」
まぁいい。
エルミアさんの俺の好感度を回復するチャンスだ。
それに、この手の冒険では、ヒロインは必ず主人公を好きになっちゃうんだから、ムフフな展開もあり得る。
というわけで、俺とエルミアさんはゴブリン退治をすることになった。
出発する前に長老が俺の能力をみてくれることになり、
これで俺がどんなスキルを持っているか確認できる。
どんな最強のスキルを持っているか楽しみである。
長老は部屋の奥から壺をもってきて、俺の目の前に置いた。
「この壺には魔力が溶け込んだ聖水がはいっていて、公人の血をそそぐことで、持っている能力やスキル、冒険者ランク(Sランク~Fランク)を浮かび上がらすことができる」
「ちなみにエルミアさんのランクは?」
「私はBランクよ」
「ということは、俺はSランクか、Aランクかな」
「すごい自信ね。
それじゃあ、始めるわね。
ちょっと痛いけど我慢してね」
そう言って、エルミアさんはナイフで俺の指を切る。
そして指からしたたった血が聖水に溶け込んでいった。
すると湖に文字が浮かび上がってきた。
「ほぉ、公人よ。
おぬしのランクはFランク、能力も平凡じゃな」
「はっ? そんなわけるあるか! この壺ぶっこわすよ」
俺がFランクのはずがない。
俺を哀れにおもったのか、エルミアさんがうんこの俺に優しい言葉をかけてくる。
「そんなにショックだったのね。
大丈夫よ。
ランクが低くても、冒険を重ねていけばランクアップのチャンスもあるから」
「そうじゃよ。
これから修練に励めばいいのじゃ」
「俺は努力が嫌いなのっ」
「救いようがない。
うんこね」
「この壺で、ランクとスキルがわかるんだろ? 俺にどんなスキルがあるか教えてくれよ」
「おぬしには一つのユニークスキルが備わっているようじゃ」
「すごいじゃないっ。
ユニークスキルといったら、この世界で一人だけ持つことができる特別なスキルなの!」
ほぉ、やはり俺は特別なんだな。
壺よランクを聞いてがっかりしたが、スキルで帳消しにしてやる。
どんなスキルなのか早く教えてくれ!!!
「わしからは言うことはできない」
「はぁああああああ!? 意味わかんないんですけど。どんなスキルもっているか教えてくれないと使えないじゃん。ランクも最低だし、このままだと、俺足手まとい必死なんだけど」
「時がくれば自ずとわかる。それにランクや能力だけが全てではない」
「わかったよ。
面倒くせーな」
こうして、俺とエルミアさんの冒険が始まったのである。
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