第3話 森の大賢者エルミアとの出会い

 俺の前に現れたのは金色の美しい髪ととんがり耳をもつ、女の子だった。


 俺がよく遊ぶゲームで、似たような風貌のキャラクターがでてくるのだが、あっそうだ。思い出したぞ!

 萌えて萌えて仕方がなく、ラブリーで麗しいキャラクター。


 そうっエルフだ。


 エルフは俺がファンタージでこよなく愛するキャラクターの一種である。

 新雪のような白い肌はいつか触れてみたいと思っていたんだよね。

 夢とはいえ、二次元でもVRでもない三次元エルフさんに出会えるなんて……

 それにこのシチュエーションからして、エルフさんは俺の味方のようだ。


 エルフさんは俺のことを心配そうに見つめ、


「君、傷がひどいけど大丈夫?」

「大丈夫です。へっちゃらです。こんなの傷のうちに入りません」


 本当はめちゃくちゃ激痛で今にもぶっ倒れそうなんだけど……

 そんなこと言ってられない。

 エルフさんにお触りしたい!


「変な人ね。すぐに手当てするから、そこで待っていてね」


 そう言って、エルフさんは俺にくすっと微笑みかけ、怪物達へ対峙する。


 後ろ姿のエルフさんも素敵すぎる。

 お尻がぷりんのようにぷるんとしている。

 胸は小さそうに見える。

 エルフだし、この際は胸の大きさは関係ないっ。

 って、そんなことを考えている場合じゃないか。

 エルフさんが加勢してくれているけど、怪物相手に大丈夫か?

 俺の心配をよそにエルフさんと怪物との戦闘は続いてた。


「ギギギギギっ」


 怪物達は怪物Aが倒されて、至極ご立腹の様子で、エルフさんに襲いかかった。

 怪物Bが鎌をエルフさんに投げつけるが、エルフさんは飛翔(フライ)と詠唱し、鎌をひらりと交わす。

 そしてエルフさんは空中で弓を放ち、怪物Bの頭部を見事に射抜いた。

 続けて、岩陰に隠れた怪物C、怪物Dに向かって手を振りかざし、火弾(ファイアーボルト)と詠唱する。

 エルフさんの手から炎の弾が放たれ、岩ごと怪物C、怪物Dを粉砕した。

 俺が殺されそうになった怪物達をエルフさんはあっという間に倒したのである。


 エルフさんがいろいろな魔法を使っていたが、そんなことはどうでもいい。

 俺はエルフさんの美貌を眼球に焼き付けることに必死だ。

 やばい、エルフさんの雄姿を見ていたら、なんかだんだんエッチな気分になってきたぞ‥‥

 エルフさんは怪物達を倒すと、俺の元へ駆け寄ってきた。


「ごめんね。待たせちゃったね」

「いや、むしろエルフさんの勇士をもっとみていたかったわけで。吉野家の牛丼がでてくるより早かったです」


 吉野家の牛丼とは俺の大好きなファーストフードだ! 今はそんなことはどうでもいいか。


「ヨシノヤ? それはどういうこと?」

「ごめんなさい。俺の大好物ですが、気にしないでください。ちなみにエルフさんも大好物です」

「もしかして打ちどころが悪くて頭がおかしくなっちゃった? かわいそうに……とりあえず腕の傷を見せてもらうわね」


 そう言って、エルフさんは俺の服の袖を短剣で切り離した。

 傷は見るに堪えないくらい、ばっくりいっている。


「はやく止血しないといけないわね」


 エルフさんは袋から竹筒を取り出し、中の液体を俺にかける。

 液体をかけられたが、おもいのほか痛みはなく、むしろ傷はみるみるうちにふさがっていった。


「これは一体なんですか? エルフさんの尿ですか?」

「違うわよ! これはポーションといって、傷を治す効果がある神聖なお薬よ。傷はふさがったけど、失った血はもどらないから無理しないでね」

「はい、わかりました。怪物も倒してくれたし、傷も治してくれたし、本当にありがとうございます」

「これが私の仕事だから。気にしなくていいのよ」


 俺を安心させようとしてか、エルフさんは優しく微笑みかけた。


 やばいくすっと笑った顔が本当に可愛い。

 夢とはいえ、女の子に優しくしてもらえる日がくるなんて……それもエルフに。


「ところで君、こんなところで何をしていたの?」


 今の俺の状況なんて言えばいいんだ?

 猫耳少女みたいに憐みの目で見られたくないし、とりあえず迷子になったことにしておくか。


「街に行く途中で迷子になってしまって」

「街って、ここから一番近い街だと、龍人族の街になるわね。ここから馬車でも10日はかかるわよ」

「えっ!!!」


 あまりに驚いて大声を出してしまった。

 10日って歩いていける距離じゃないよ。

 どうしよう。食べ物も飲み物もないこの状況で、一体俺はこの先どうしたらいいんだよ。

 といろいろ、考えこんでいるとエルフさんが俺の顔を物珍しそうな顔で眺めていた。


「あ、あのっ、俺の顔に何かついてますか?」

「あっ、ごめんなさい。君の顔。あまり見かけない顔だったから」


 見かけない顔? さっきの猫耳少女にも言われたっけ。

 俺の顔なんて平凡以下だし、どこにでもいるような顔だぜ。

 それよりも、そんなことよりもエルフさんと話したいことは山ほどある、スリーサイズとか、性感帯とか。


「そうですか。どちらかと言うと俺もエルフさんみたいな人初めてですよ」

「エルフさん? そっかー。自己紹介をしていなかったわね。私はエルミアよ。よかったら私が龍人族の街までいきましょうか」

「本当にいいんですか?」

「いいわよ。またゴブリンに襲われたら危ないし」

「ゴブリンってさっきの怪物のことですか?」

「そうよ。この街道に出没するの。だから一人では危ないわよ」

「そうですね。エルミアさん。よろしくお願いします!  俺は宮瀬 公人、公人って呼んで下さい」


 それにしてもエルミアさんは本当に優しいな。

 どうやら俺はエルミアさんに惚れてしまったようである。

 先ほどから心臓がドキドキしているのがその証拠だ。


 しかし、だ。

 これもまた夢なのだろうか。

 だったら姫野さんの時の二の舞を踏まないように行動するしかない。

 どうせエルミアさんは俺がつくりだした幻想に過ぎないのだから。

 俺は欲望全開でエルミアさんにお願いした。


「あのっ」

「どうしたの?」

「お願いがあります」

「私にできることならって前提だけれど、なんでもいってね」


 よし、エルフさんの承諾を得た。

 俺はエルフさんの目をまっすぐ見つめて言ってやった。


「おっぱいをさわらせてください」

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