第2話 怪物との遭遇

 俺は歩き疲れたので、あの前方に見える岩陰で休むことにした。


 しかし、あの猫耳少女可愛かったなー。

 くそっ、やはりあの時撫でておけばよかった。

 あの手の獣人は耳が性感帯とラノベをみて、学習している。どんな喘ぎ声を奏でるのか興味があったが……

 そんなことを考えていたら大きな岩にたどり着いた。

 俺が腰を下ろそうとしたのもつかの間、


「ギギッ」


 岩陰から鳴き声が聞こえてきた。

 それは犬や猫のような動物の鳴き声ではない――今までに聞いたことがない鳴き声である。


 すぐにその正体は明らかとなった。

 大きな岩の裏から小さな体に醜い容姿をした怪物が4体姿を現したのである。


 その怪物は警戒しながら、俺との距離を少しずつつめてくる。


 俺はというと、堂々とその場を仁王立ちである。

 夢だとわかっていれば、何も怖くない。

 どんな化け物だろうがかかってこい。


 まずは軽く一匹倒すことにした俺は、

 怪物Aに向かって走ると、怪物Aは怯んだ様子となった。


 やっぱりな俺にはすごいオーラ的なものがでていて、怪物Aを怯ませたんだな。

 俺TUEEE説確定だな。


 俺は勢いのまま怪物Aをおもいっきり殴った。


「あれ?」


 ズキン痛みが走り、俺の拳が真っ赤に腫れあがっていた。

 怪物Aはというと俺の最強パンチをくらったにもかかわらず、ピンピンしている。


 どういうこと?

 殴った俺がダメージ受けているのだが……


 怪物達は首を傾げて、もう終わりかといわんばかりに俺のことをみつめている。


「あっ、れー。おかしーな……ちょっと、待ってね。すぐにやっつけてあげるからね」


 夢のくせに、めんどくせーな。

 とんでもステータスで怪物達を一掃する展開かと思ったのだが、そうじゃないなら、どうしたらいい?

 あっ、わかったぞ。

 ステータスじゃないなら、俺にはきっとすごい魔法が使えるんだ。

 方法はわからんが、きっとなんとかなる。


 俺は仕切り直し、怪物に向かって、


「待たせたな。怪物共。俺のとっておきの魔法でお前たちを蹴散らしてやるからな」


 俺は右手を怪物Aに向け、


「はっ」


 力を込めて発声する。


「……………………」


 しかし、魔法のまの字も発動しなかった。


 唖然とする怪物達。

 愕然とする俺。

 本当だったら、炎の弾がでたり、氷の刃がでるはずだったのだが……


「おっかしーな。魔法が出るはずなんだが……」


 と言った矢先、怪物Bが痺れをきらしたのが、持っていた鎌を俺にめがけて投げつける。

 俺はなんとか交わし、直撃は免れたものの腕を負傷してしまった。


 負傷した部分が熱く、激しい痛みが走る。

 腕からは大量の血が滴っていた。

 おい、嘘だろ。いくら夢でも痛すぎない?

 ちょっと、待ってくれよ。

 夢の中とはいえ、殺されるのはごめんだ。


 俺は怪物達から逃走を試みるのだが、負傷した腕のせいかうまく逃げられず。

 すぐに捕まってしまう。

 そして怪物Aにマウントポジションをとられ、2、3発顔面を殴られた。

 俺は恐怖のあまり、体を震わせる。

 怪物Aはにやりと笑い腰に携えてあった短剣をゆっくりと引き抜いた。


 夢だよね?

 本当に夢だよね?

 俺死なないよね?


 怪物Aは俺の心臓めがけて短剣を振りかざした。

 俺はあまりの恐ろしさにバッと目を閉じた。


 あれ?

 痛くない?

 これが死ぬっていうこと?


「もう、大丈夫よ」


 その声とともに、目を開くと怪物Aが炎につつまれて消失したのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る