退院前日までの日々
9月1日土曜日・
広日記『15時35分入浴』
広日記『16時5分病室に戻る。すると母が面会に来ていた』
海里「家にある100円玉たくさん持って来たよ。3000円ぐらいはある。これで洗濯代は退院まで持つはず。それと着替えもね。これで一人の間も大丈夫でしょ」
広「ありがとう」
広日記『17時38分夕食が届いたアナウンス。白米、鶏のねぎ塩焼き、若竹煮、じゃがいもサラダ、お茶。』
広日記『17時53分夕食完食』
広日記『18時23分夕食後の薬を配るアナウンス』
海里「ママは明日から仕事に集中する為に、面会には来られないけど広は、一人になっても頑張るんだよ。昨日も言ったけど屋上庭園に行って歩いて運動するんだよ。歩くことは大事なことだからね。それじゃあ仕事の準備もしないとだし、そろそろ帰るね。これで最後の面会だー!」
広「分かった。任せてたくさん歩くよ。退院日迎えに来てね」
海里「うん。じゃあね」
広日記『19時45分母帰宅。握手してタッチしてハグして別れた。』
広日記『21時10分消灯の為明かり消される』
広日記『思えば平成最後の9月初日を病院で目覚めて、一日を過ごした。でも9月11日には退院だ。9月の終わりと10月の初めを病院で過ごすことは無い。やっと平成最後の毎日を自宅で過ごせるんだ。早く退院日来ないかな』
9月2日日曜日・
9時27分広は海里と通信機器のメッセージ機能で会話をした。
海里「おは!9月9日日曜の地元の神社のおまつりで、外出のこと波音へ協力してもらえるか聞いてみて。昨晩ママからは話してはあるからねー」
広「分かった。聞いてみる」
9時45分広は波音とSNSでチャットをした。
広「9月8日土曜までに外出届けを出して、9月9日日曜に神社のおまつりに行きたいと思う。だから9日におまつり一緒に来てくれるかな?」
11時16分波音「おは!うん。もちろんいいとも!」
18時38分海里から広の通信機器にメッセージが届いた。
海里「波音がおまつりに行ってくれるんでしょ。短い時間だけど楽しんで来てね!お願いを聞いてくれた波音にお礼の一言忘れずに」
18時45分広は波音とSNSでチャットと通話をする。
広「9日日曜のおまつりについて来てくれるということで、ありがとう。そしておまつりの、その外出の時の段取りを決めたい。今から通話出来そう?」
18時48分波音「今から電車に乗るから後でもいい?ごめんねー」
18時50分広「じゃあ通話はあとで。通話出来るようになったら教えて。それから通話始めよう」
18時51分波音「わかったー!通話するね!」
19時24分波音から通話が掛かって来る。
波音「もしもし広?」
広「うん」
波音「8日までに外出届け出すんでしょ?」
広「そのつもり」
波音「9日に外出しておまつり周る感じでしょ?10時から周ろうよ。だから病院を9時に出て来て。そして病院の最寄り駅に着いたらお姉に連絡して。家の最寄り駅で待っているから。そうして9時に出れば10時頃には家の最寄り駅に着くはずだから。午前中なら空いていると思うし、昼間は暑いから家で涼みたい。広も少しはゲームしたいでしょ?」
広「したい」
波音「じゃあそう言うことで。それで17時頃に家を出て病院に18時に着く予定にしようか」
広「分かった」
波音「じゃあね」
広「メモ用にチャットにも予定書いておくね。じゃあね」
19時36分広「8日土曜までに外出届けを出す。9日日曜病院外外出。9日は9時に病院を出る予定。病院を出て病院の最寄り駅に着いた時に連絡する。10時からおまつりを周る予定。昼頃家に戻る。ゲームをする。17時頃病院に戻る為に病院に向かう予定。18時頃病院に到着予定。」
20時10分波音「完璧だよー!あとは広がちゃんと起きられればOK」
広日記『今日は誰も面会に来なかった。母も短期の仕事で退院日まで来られない。だけど通信機器を使い波姉と9日日曜に、退院も近いが外出することにした。なぜなら地元の神社でおまつりがあるかだ。波姉と共におまつりを周る予定だ。外泊ではないから一日の中で、出来ることは限られているが少しでも楽しみたいと思う。あとは外出届けを明日以降出せばいいことだ。』
9月3日月曜日・
広日記『0時5分起床』
広日記『3時30分ナースさんが来て「眠れなさそう?」と聞いて来た。私は「寝ないつもり」と答えた。そうするとナースさんは笑った。そして「眠れなくても横になってなよ。それと朝寝ていたら揺さぶり起こすよ。今日は予定ないの?」私「9日に地元の神社でおまつりがあるから、外出届けを出そうかと」ナースさん「じゃあ申請書をこっちでも用意しないとだ。とりあえず何かあったら言ってね。またね」そう言って病室を出て行った。することも無かった。良い話し相手になってくれた。』
9月4日火曜日・
広日記『5時18分、11時10分起床』
12時15分広は波音にSNSでチャットを送った。
広「9日日曜に外出届けを出したよ。原則として病院からは、9時30分からしか出られないみたいだから、9時30分に病院を出ることにした。だから10時からには、おまつり周れそうにないけど、少しおまつり周って家に寄って、ゲームする感じだね」
広日記『16時20分成田先生が病室に来る』
成田「診察室空いてなくてココで話しても良い?どうせ個室みたいなものだから」
広「うん」
成田「退院も間近、あと一週間になりました。それで入院の振り返り。入院当初は暴力的になり暴れる事から、どう暴れないかを治療していくかを考えていました。でも今は暴れる事は無くなったよね。今後退院してから、また暴れる事ってありそう?」
広「たぶん」
成田「じゃあどうすれば暴れないで済む?」
広「入院の最初の頃は、何もなかったから。でも今は色々と出来る」
成田「あー。入院したての頃は何も無かったから、ストレスで暴れていたって事」
広「そう」
成田「自分の首を絞めて死のうとまでしたもんね。じゃあ今は暴れる事は無い」
広「たぶんとしか言えない」
成田「そっか。じゃあ今はSNSとは、どう付き合っているの?」
広「波姉が言っていた通り、発信する情報に興味がなくなったと、フォロワーが減った時は解釈しようと思うことにした」
成田「それは良い事です。入院当初は依存しているようにSNSがないとダメなんだと言っていたけど、今はSNSをずっと見ている感じ?」
広「うん。でも投稿の頻度は入院中だからか低い」
成田「それと病気について振り返ろう。どんな病気を持っているんだっけ」
広「発達障害のアスペルガー症候群と、てんかん発作と…」
成田「発達遅滞ね」
広「そうだった」
成田「今日話す事はこのぐらいかな。でもまた明日話しに来るからね。またね」
その後広はナースに夕食までに戻ると言い、一階の売店で買い物をした。
9月5日水曜日・
広日記『13時55分成田先生が来て診察室に呼ばれる。退院後の外来をいつにするか決めた。きっと今後の主治医は成田先生なのだろう』
9月6日木曜日・
8時42分海里から広の通信機器にメッセージが届いた。
海里「おは!退院まで会いに行けないけど、困ったこと、不安な時には、看護師さんに相談して。またママにもメールして良いんだからね。じゃあ今日も仕事行ってくるね!」
広「いってらっしゃい」
広日記『21時10分消灯の為明かり消される』
広日記『今日は多目的室で最近ではあるけれど、仲良くなった患者さんと話した。退院日にも触れた。それと屋上庭園にも行った。そのあとは売店で買い物をした。買い物はよく行くようになった。』
9月7日金曜日・
広日記『4時40分起床』
広日記『21時12分消灯の為明かり消される』
広日記『今日も屋上庭園に行った。そして母の付き添いがあった頃から、庭園に行ったあとは売店に買い物に行く。私の好きなお菓子とコーヒー牛乳を買うのがお決まりだ。』
9月8日土曜日・
広日記『4時42分起床』
広日記『仲良くなった患者さんと5時頃から、病棟の廊下にある大きな窓に寄り掛かりながら、よく話すようになった。いつも「よく眠れましたか」と聞いてきてくれる。それから会話が始まる。今日は明日波姉と地元の神社のおまつりに行くことを話した。土産話しを多目的室ですることになった。』
広日記『21時9分消灯の為明かり消される』
広日記『今日は屋上庭園に行ったし、売店で買い物もした。今までは病棟内だったが、最近では屋上庭園をよく歩く。売店でも買い物をよくするようになったし、早朝のように患者さんとも話すようになった。そしてなによりも明日の外出とおまつりが楽しみだ。』
9月9日日曜日・
広日記『4時57分起床』
広日記『今日も朝早く6時頃から仲良くなった患者さんと話した。』
患者「よく眠れましたか」
広「今日は5時前に起きました」
患者「今日お姉さんとおまつり行かれるんですよね」
広「はい。楽しみな外出です」
患者「楽しんで来て下さい。退院ももう間もなくですよね」
広「そうですね。こうして毎朝のように話せて楽しかったです」
その後2人は朝食が病棟に届くまで雑談した。
広日記『7時朝食が届いたアナウンス。パン、玉子スープ、バナナ、牛乳、お茶。』
広日記『7時15分朝食完食』
広日記『7時43分朝食後の薬を配るアナウンス』
広日記『10時眠っていた。『もう10時ですよ』と言われナースさんに起こされる』
広は通信機器のメモ機能で日記を書き始める。
広日記『10時10分外出の支度を終え、外出の説明を受けてついに出発。おまつりへ』
10時11分波音から広にSNSの機能の無料通話が掛かって来る。
波音「起きている?今どこ?」
広「今さっき起きて病院のエレベーター乗るところ。今から病院を出る」
波音「分かった。じゃあ家の最寄り駅に着いたらチャットを送って。家で待っているから」
広「分かった」
10時50分広は波音にSNSのチャットを送る。
広「家の最寄り駅に着いたよ」
波音「ちゃんと着いてよかったね!家にいるよー」
広日記『11時7分家に戻る』
広日記『11時20分波姉とおまつりを満喫』
波音「暑い。暑い。かき氷を買おう」
広「ベビーカステラ買いたい」
波音「良いよ。広の好きなものからで。でもかき氷だけは優先させて」
かき氷を買う波音
広「次はチョコバナナ食べたい。買って来るね」
波音「慎重に食べないとおまつりのチョコバナナは地面に落ちるよ」
広「大丈夫だよ。…あっ」
波音「ほらー落ちたー」
広「次行こう。次はあんずアメ」
波音「美味しかった?しかし暑いなー」
広「美味しかった。最後からあげ買って食べて帰ろう」
波音「良いよ」
広日記『12時40分家に戻る』
広「買ったベビーカステラ残っているから食べる」
広日記『14時15分入浴』
広日記『14時30分私の部屋に戻る』
広日記『17時それまでオンラインゲームをした』
広日記『17時20分病院に戻る為外出』
広日記『17時54分精神科病棟に戻り、ナースさんに外出時の様子を報告し、夕食を受け取る。ビーフカレー、漬け物、フルーツポンチ、お茶。』
広日記『18時10分夕食完食』
広日記『18時24分夕食後の薬を配るアナウンス』
広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス』
広日記『20時34分寝る前の薬を配るアナウンス』
広日記『21時8分消灯の為明かり消される』
広日記『今日はおまつりで波姉が暑い暑いと言いながら、おまつりを周った。仲良くなった患者さんとの約束の土産話しは多目的室でするはずだったけど、患者さんが見当たらず出来なかった。でもおまつりで食べたい物を食べられて良かった。』
9月10日月曜日・
広日記『7時32分朝食後の薬を配るアナウンス』
広日記『ついに明日だ。明日退院だ。長かったな、この日々。今日一日を乗り越えれば、本当の帰宅が出来る。あと今日一日。』
広日記『12時25分眠っていた。入院最後の日も、そうして午前中は眠るのか。私らしくて面白い。』
広日記『13時40分入浴』
広日記『14時10分病室に戻る』
広日記『14時20分屋上庭園と買い物に行く』
広日記『15時20分病棟に戻る』
広日記『15時30分成田先生に診察室に呼ばれる。成田先生「診察室で話すのも、これで最後だね」と言った。成田先生とは入院のことを振り返った。前もしたよなと思いながら、明日が退院だから大事なケジメだろうと思い、成田先生と共に振り返った。』
成田「入院のきっかけはなんだった?」
広「自分や他人を傷つける可能性があったから」
成田「隔離や拘束は嫌だった?」
広「嫌だった」
成田「でもよく耐えたよ。それで暴れそうになったらどうする?」
広「気持ちを紙に書いて捨てたり、海里が言っていたけどゴミ箱に向かって気持ちを吐き捨てる」
成田「なるほど。どちらにしろ、気持ちを捨てるイメージだね。じゃあSNSにはどう向き合う?」
広「フォロワーが減っても、また増やせば良いのと、発信する内容によってアカウントを使い分けるって感じで考えている」
成田「今回の件は冷静かどうかで、刑務所か病院かで分かれていたけど、あの時は冷静だった?」
広「フォロワーが減ってパニックになっていたと思う。冷静じゃなかった」
成田「そっか。じゃあ入院して気持ちはどうなった?」
広「家族や先生と話して自分を見つめ直せた」
成田「それじゃあこのくらいで。入院お疲れ様でした。約二か月半。それと明日最後退院の時に声掛けるね」
広日記『17時33分夕食が届いたアナウンス。白米、豚しゃぶ、野菜と油揚げの煮浸し、大学イモ、お茶。』
広日記『17時54分白米だけ残す。最終日も相変わらず』
広日記『18時18分夕食後の薬を配るアナウンス』
広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス』
広日記『20時32分寝る前の薬を配るアナウンス』
広日記『21時14分消灯の為明かり消される』
広日記『明日はついに退院。今日は入院中で最後の出来事が多かった。一つ一つ最後の一回を噛み締めるように一日を過ごした。』
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