最後の宿題

8月17日金曜日・

広日記『15時25分成田先生が病室に来る』

成田「診察室に呼びに来ました。行きましょう」

診察室に移動

成田「あっ、どれも診察室が使われている。病室に戻って話しましょう。仕方ないですからね」

1215号室の病室に戻る

成田「日記を黙々と書いていたけど、今日はどんな事を書いていたか見て良い?」

広「14日火曜の三者面談の会話を書いていた。さっきちょうど書き終わったところ」

成田「凄いね記憶力。それと話しの内容も理解しているみたいだね。自分の発達障害について理解しているかの確認したかったんだ。じゃあ自分の病気について、説明出来るか確認したいから、質問する人の役やるね。きっとデイケアセンターでも聞かれると思うから。あなたの病気とは何ですか」

広「てんかん発作と発達障害を持っています」

成田「てんかん発作とはどんな病気ですか」

広「意識を失って、けいれんなどを引き起こす病気です」

成田「それではあなたの発達障害とはどのようものですか」

広「発達遅滞という知的障害があって、あとは、うーん…どんなのだろう」

成田「そっか。自分の発達障害は説明出来ないか。でも、てんかん発作についてはバッチリ説明出来ていたと思うよ。今後社会に出た時に、自分で自分の病気を理解して、説明して行く事が増えるから、出来ていた方が良いから確認作業をさせてもらいました。そうだねこれから入院中でも少しずつ、発達障害について説明出来るように理解を深めて行こうか。発達障害の特徴と広さんの特徴を、照らし合わせて行きましょう。せっかくだから紙にまとめよう。発達障害の特徴と言えば、人が多いところとか苦手?」

広「うーん違う」

成田「じゃあ人と話す時緊張する?」

広「どうだろう。あまり経験ないから分からない。たぶん違うと思う」

成田「だとすると会話が分からなくなる」

広「ああ、あるかも。たまに人の話しが理解が、出来なくなって音だけのように聞こえる」

成田「音ね。じゃあ耳で聞いた事が、時々ただの音になるって書いて。あと特徴は頭で分かっている事が、やってみると上手く出来ない」

広「それもあるかも書いておこう」

成田「創作活動とかゲームをしていると、ご飯も食べないであっという間に、時間が過ぎていたでしょ。集中し過ぎる事を、歌集中って言うんだけどあるかな?」

広「ああ、あるかも知れない。過集中と」

成田「後はこだわりが強いとか」

広「昔はあった」

成田「じゃあ昔はこだわりが強ったって書いて。今出て来るのはそのぐらいかな。他にあったら書き足して行ってね。宿題ね。お母さんとも話し合ってね。それとお母さんに伝えたい事が、あったんだけど今日は来る?」

広「たぶん来る。でも発達障害について理解を、深められて良かった。今まで海里から間接的にしか、言われて来なかったから助かった」

成田「そっか。今まで具体的な説明とか、受ける機会が無かったんだね。それで少し夕方からには時間が無いのと、お母さんの顔が見えたらまた話しに来ます。それと来週から先生は夏休みになるから、その間暇になると思うから、外泊の予定を入れたいと思っているのと、代わりの先生を後で紹介しようと思っています。それでは良かったら宿題をやっておいて下さい。来週の月曜までには病院に来ます。ではでは」

広「そう言えばコレ」

広は昨日海里の会話でメモした紙を手渡した。

成田「28日火曜10時30分待ち合わせで、一時間デイケア見学、その為この日も外出、外泊届けを出したいと。分かりました。では」

成田先生は広の病室をあとにした。その後広は海里と通信機器のメッセージ機能で会話をした。

広「成田先生が今来て話しをした。この前話した発達障害のことを理解しているかの確認や自分の病気を説明出来るかの確認。今後社会に出る時に」

広「自分で自分の病気を理解して相手に説明出来るかを確認したかったみたい。」

広「それで私はまだ私の発達障害について説明出来なかったから先生と発達障害の特徴と私の特徴を照らし合わせた。」

広「そして他にも発達障害として苦手な分野や行動が出て来るかも知れないということで自己分析の宿題を出された。」

広「それと先生が海里に話したいことがあったみたいだからなるべく早めに今日は来て欲しい。あとで海里の顔が見えたら話しに来ると言っていた」

広「どんな内容か知らないけど先生も時間無いしってことで早めに来て」

数分後

海里「OK!今家を出たからね!」

広「了解」

広日記『17時35分母面会に来る』

海里「来たよ!宿題ってどんな感じ?なるほどこう言うのが広の中で発達障害の特徴と自分の特徴と思ったんだね。でも広は同時に何かしようとするとフリーズするじゃん」

広「確かに。じゃあ二つ以上のことを同時進行出来ないと」

広日記『17時40分夕食が届いたアナウンス。白米、ハヤシ煮、ふきのおかか煮、ほうれん草の煮浸し、お茶』

食事中に

成田「あっ、いらしていた。お母さんにもお伝えしておきたかった事は、もう知っていると思いますが広さんに宿題を出しました。さっき言いそびれたけど、検索して調べると間違った情報を拾ってしまう可能性があるので、ナースや私実は夏休みに入って来週の、月曜まで居ないのですなので、代わりの先生を頼みました。その先生と宿題を完成させて下さい。それとその私が夏休みの間は暇になるので外泊の許可を出しておきました。後はお好きな日にどうぞ」

海里「じゃあ忙しくなるけど広、外泊の時に28日の打ち合わせしに、武井さんのところ行こう」

成田「では良い外泊を。私も行って来ます」

広「いってらっしゃい」

海里「外泊か良かったね。あっ、そう言えば今日は用事があったんだ。ママも帰るね。また明日!」

広「また明日」

広日記『18時17分母急用の為帰宅。ハグして手を振り別れた』

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