広の病名明らかに

8月14日火曜日・

広は朝に保健師武井に電話をして、若者の多いプログラムの組まれた方のデイケアが良いのと、そのデイケアについて確認しておきたかった事を質問した。

その後13時頃広は海里と通信機器のメッセージ機能で会話をした。

海里「武井さんから電話もらったよ。デイケアセンターの見学日が決まったら連絡くださるって。広からの電話で確認事項がまとまっていてとても偉かったって」

広「武井さんには成田先生にも見学日が決まったら伝えてもらうようにした。そうすれば外出許可もスムーズに成田先生が出しやすいと思った」

海里「見学日を成田先生に伝えるのは広の仕事だよ。それと武井さんから直接成田先生に連絡は出来るけど外出許可含めて外出日時とかの相談は出来ないって」

広「分かった。じゃあそうする」

海里「デイケアセンター見学は基本的に火曜と木曜の午前中ならいいみたいだよ。今日の面談でも成田先生に伝えるよ。」

広「そこまで分かっているんだ」

海里「そうは言っても、まだ武井さんからは日時決定していないんだよ。未定だから連絡待ちね」

広「なるほど。見学そのものの日時は未定だけど、デイケアセンターは火曜と木曜の午前中なら見学可能と、武井さんが言っていたのね」

海里「その通り」

広日記『15時5分母面会に来る』

海里「面会と面談に間に合うように来たよ」

広日記『15時19分成田先生に診察室に呼ばれる』

そして診察室で三者面談が始まる。

成田「今回はいくつか話しをしようと思います。一つは武井さんから紹介された居場所について。二つ目は居場所見学と共にする外出、外泊について。三つ目は広さんがカウンセリングセンターで行った心理検査と去年の入院で行った心理検査の結果をお答えします。それではまず武井さんから紹介された施設について話して行きましょう」

海里「広の手元に持っている書類が、武井さんに紹介された施設です。武井さんから私に電話で連絡をしてもらった時に、広に合いそうな場所が二つ程しか選べなかったと言っていました。それと昨日広が武井さんに書類が自宅に届いていないか確認したそうです。それでそのあと書類が自宅に届いたので、広にコピーの書類を渡したんです。」

成田「なるほど。早速見させてもらって良いですか?」

広は机に施設の書類を広げ成田先生に書類を見せた。

成田「ああこの会のデイケアね。この会なら良いと思っていた。それとデイケアセンターのデイケアね。広さんはどっちが良いの?」

広「プログラムが組まれている方のデイケアが良い」

成田「先生自身もこう言うタイプのデイケアも向いていると思っていた。なんでこの会の運営しているところのデイケアは嫌だったの?」

広「書類に訓練とか書いてあって、規律正し過ぎるのかなって思ってそっちのデイケアで良いやと思って決めた」

成田「なるほど。じゃあ見学する日を決めて行きましょう」

海里「武井さんからの連絡だと、火曜と木曜なら見学可能で、武井さんも付き添ってくれるみたいです」

成田「そうですか。なら20日月曜の週、来週から見学する予定にしましょう。さすがに今週からだと施設の都合もあるので」

広(良いよ。そんなの今週からの方が良い。退院が早まると思うのに、なんで来週とか言うかね)

海里「その時についでに外泊の許可を、出して頂けたら良いなと思います」

成田「全然良いですよ。それじゃあ見学と合わせて、外泊するという事で。それで次は心理検査の結果。去年入院中にしたものと、今年2018年にカウンセリングセンターで行った物が届いたので、そうしてどちらもの検査データを見ると、発達障害と診断出来ます」成田は机にデータを広げ、広と海里に見せた。

成田「そしてこの図のように結果が、デコボコしているのを、発達遅滞と言う知的障害と言います」

広「発達遅滞…?」

成田「広さんの場合自分のペースが、守られている生活と、規則正しい生活の方が良いと思います。そしてペースを乱されると処理速度が追いつかなくなって混乱してしまう」

広「今回の殺害予告の件もパニックが原因かも知れない」

成田「そうかもね。それで自分のペースを守る為でも、先生はそう言うデイケアが良いと思った訳なんだよね。じゃあ最後に他にある?もう17時過ぎだ」

広「出来れば通信機器の使用時間を伸ばして欲しい」

成田「そっか。じゃあ24時間持っていて良いよ。でも使用は消灯まで。約束ね。それと記録をつけるというのは、自分で自分に向いている方法を、していると思うよ。それでは今回は以上です。」

海里「ありがとうございました」

広「ありがとうございます」

診察室を出て

成田「そう言えば今日お風呂入った?」

広「入ってない。昨日も。17時過ぎだし、どうしよう」

成田「ナースに言って入れるようにしておくよ。ごめんね長く話し込んで」

海里「じゃあ広、広がお風呂に入っている間別の階で暇潰ししているね」

広「分かった」

ナース「広さん、こっちおいで。」

広はナースに呼ばれ、診察室前からナースステーション前に移動した。

ナース「二日もお風呂入らないと、さすがにマズイでしょ?基本お風呂は17時が最後だけど、今日は特別に入って良いことにするからね。夕食はとっておくから行っておいで」

広「ありがとうございます」

広日記『17時30分入浴。通常は夕食時でもあり、17時までが入浴出来る時間だったが、今日はお風呂の予約時間を過ぎても、成田先生と話ししていたので、特別に17時以降にお風呂を入れさせてもらった。今回入らないと二日入らないことになるからだ。』

広が入浴中に海里は広の通信機器にメッセージを送った。

海里「一階のイスに座ってコーヒータイムしているから、食後の薬飲んで連絡くれれば、病室に行くね!」

広日記『17時57分病室に戻る。』

広日記『18時6分お風呂を出た私を確認したナースさんが夕食を運んで来てくれた。白米、ひれカツ、春雨サラダ、冬瓜のあんかけ、みそ汁、お茶。』

広日記『18時18分夕食後の薬を配るアナウンス』

広日記『18時23分夕食完食。その後ナースステーションに行き夕食後の薬を飲む』

そして広は海里と通信機器のメッセージ機能で会話をした。

広「お風呂出て、夕食食べて、薬飲んだよ」

海里「じゃあ少し外に行こう。病室に向かうね」

そうして2人は一階に降りて、外に出た。そして売店で広はコーヒー牛乳を買ってもらって、病室で飲んだ。

広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンスと共に母帰宅。ハグして握手して手を振り見送り別れた。』

広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』

広日記『21時12分消灯の為明かり消される』

広日記『今日は成田先生との話しで、通信機器が24時間手元に置けるようになったが、使用は消灯の21時までとなった。しかし手元にある以上、使用の自由の権利は私にある。でもよほどのことが無い限り約束通りにしよう。そして私には発達障害があり、発達遅滞という知的障害があるらしい。昔から発達障害の有無について、母から間接的に疑いがあるか無いか聞かされていたし、特別支援学級にも在学経験から、初めて直接医師から言われたものの、ショックではなかった。逆に自身を理解することが出来て良かったと思う。成田先生と話し終えて、病室での母との会話は、私「昔から自分のペースの方が良いって言っていたから、海里は以前から自然と発達障害のことを、知っていたのかなって思った」母「昔から発達障害じゃないかって言われて来たし、周りの大人の人達から見守られて来たんだよ。小学校の先生や、小学校の用務の人や、小児科の先生まで、みんななんとなく広の、特徴を理解していたと思う。広は色んな人に支えられて、生きて来たんだよ」私の命は他の人と同じく、軽くは無いと感じた。そして小学校の用務員にはお世話になったので、話しの中に出て来て懐かしく感じた。』

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