新たな病室生活

8月7日火曜日・

広日記『10時25分たくさんのナースさんに起こされるも、成田先生との面談で来ていた母に起こされ起床。そのまま診察室に行き三者面談が始まる。』

成田「ではまず、行動拡大について話して行きましょう。まずは大部屋に移る事から。隔離室でも最近は落ち着いて過ごせていたので今日から大部屋に移りましょう」

広(おぉマジか。まあ物が増えて、通信機器という安心材料があったから、落ち着いて過ごせたんだと思うんだけどね)

成田「空いている部屋が1215号室で、しかもちょうど誰も居ないから、個室みたいにはなるけど、めでたく大部屋に移れます。大部屋に移る際に何か要望は無い?」

広「小型音楽再生機の充電をしたいから充電コードをナースステーションから部屋に持ち込みたい」

成田「また首を絞めたりしない?」

広「うん」

成田「じゃあコード類も許可にしよう。大部屋に移れた事は退院までのステップアップだよ。退院までの道のりは、個室、大部屋、レクリエーションに参加、退院後の居場所探しと見学、試験的外出と外泊です。試験的外出等は退院後でも、病院の生活と同じように病院の外で過ごせるか確認する為だよ」

広「居場所になる施設見学を含めての、試験的外出と外泊は出来たはずだよね」

成田「それもありだったね。個室の時からレクリエーションに、参加するみたいな感じだね。それでは、他にありませんか?」

広「特には…あっ、そう言えば確か4日から6日の間の昼間に、成田先生が10日の金曜日に、通信機器の話しをするって言っていたから、なんなら今からしようかと」

海里「火曜日と金曜日には、面談をすると電話で決めましたもんね」

成田「そうだね。通信機器について話すって言っていたもんね。通信機器の制限拡大については、落ち着いて過ごせていれば、したいね。だからもう少し待とうか。お母さんからは何かありますか?」

海里「そうですね。なるべく自由に使わせてあげたいんですけど、周りがセーブするところはセーブさせる必要が、あるかもですね」

成田「分かりました。それではお疲れ様でした」

海里「ありがとうございました」

広「ありがとう…」

成田「あっ、お母さんは少し残って下さい」

広「…ございます」

広は私だけを除いて何を話すのだろうと思いながら、診察室を出て1212号室の隔離室から出られた事を喜んだ。診察室では何が話されていようと、どうでも良くなっていた。

成田先生と海里が話し終えるまで、広は隔離室で待っていた。そして2人が来た。

成田「さあ、それじゃあベッドの用意が出来たから小さな引っ越しをしようか」

そうして荷物を1212号室の隔離室から1215号室の病室に運んだ。そして1215号室の病室でどこにベッドを置くか決めて一段落ついて広はベッドに横になった。

成田「小さな引っ越しお疲れ様でした。そしてなにより一ヶ月以上の隔離室での生活お疲れ様でした。それでは失礼しますね」

海里「良かったね。やっと隔離室から出られて」

広「うん。それでさっき診察室で残って、なにを話していたの?」

海里「ちょっとしたこと。心配することじゃないよ」

広「そっか。ならそんなに、気にしなくても良さそうだね」

広日記『11時40分小さな引っ越しを終えて、新たな病室生活が始まる。ついに退院へのステップを一歩踏めた。それでもまだ他の患者のラインに立っただけかも知れない。』

広日記『12時2分昼食が届いたアナウンス。白米、海老炒り、みそ田楽、春菊胡麻和え、お茶。』

海里「面会時間外だからまた面会時間になったら来るね。またね」

広「うん。またね」

広日記『12時7分面会時間外の為、母一度帰宅。母「またね」と言う』

広日記『12時20分白米だけ残す』

広日記『12時37分入浴』

広日記『13時8分病室に戻る。そして着替えを片付け、ナースステーションに行き検温をやり、ナースさんから通信機器を受け取る』

その後、広は海里と通信機器のメッセージ機能で会話した。

海里「乗り継ぎ駅でぶらついているよ!お風呂はいつ?予約時間教えて。お風呂上りに散歩しようか。お茶8本買って持っていくー」

広「お風呂はお昼ご飯の後にすぐ入れたよ」

海里「おっ、良かったね!今日、午後からレクリエーションの予定もないのかな?」

広「今日は無いよ」

海里「じゃあ16時には行くからね!」

広「了解」

広日記『14時40分1215号室の病室のベッドの上で通信機器を使って、母とメッセージのやり取りをしていたり、SNSをしていたら、ナースさんが充電コードを持って来た。これでついにバッテリーの持ちが悪い、小型音楽再生機で音楽がいくらでも聴ける。』

広日記『16時40分母再び面会に来る』

海里「緑茶たくさん買って持って来たよ。これで今まで無かった冷蔵庫にも収納出来るね」

広「冷蔵庫があるのは便利だよ。隔離室には無かったからね」

海里「じゃあ屋上庭園に行こう」

広「うん。良いよ」

その後2人はたわいもない話しをして過ごした。

広日記『17時30分病棟に戻る』

広日記『17時35分夕食が届いたアナウンス。白米、牛肉の煮物、豆腐サラダ、長イモ煮、すまし汁、お茶。』

広日記『18時5分夕食完食』

広日記『18時25分夕食後の薬を配るアナウンス』

海里「じゃあそろそろ帰るね。それじゃあ見送って」

広「うん。分かった。またね」

広日記『19時13分母帰宅。手を振り見送り別れた。』

広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス』

広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』

広日記『21時18分消灯の為明かり消される』広はまたベッド周りの明かりを付けて、日記を書いた。

広日記『今日は成田先生と話し合い、ついに1212号室の隔離室から誰も居ないが、1215号室の大部屋に移った。入院してから43日目のことだ。毎分、毎時間、毎日、毎週が長く感じた。これからも入院は続く、だからまだ時間の感覚が長い。本当に最初から殺害予告なんてしなければ良かった。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る