花火大会まで一週間

7月28日土曜日・

広日記『夕食が届いたアナウンス。白米、煮魚、いんげんの炒め物、とろろイモ、お茶。』

広日記『17時53分夕食完食』

広日記『18時10分思うことがある。隔離の開放時間が長くなり、病棟内を歩くことが減ったと。病棟内の景色に飽きたのもあるが、靴ずれのキズがまだ治ってないのも一つの理由かも知れないけど、一番は自由だからだろう。それなりには毎日少し歩いているが、以前より隔離されず行動に制限が無くなり、逆に制限が無い為に、歩くという運動をしなくなった。私は現状を一つの階のみでの、マンション暮らしをしているような状態と捉えている。決してその階から出ること無く、同じ階の住人と顔なじみになり、寝る頃は自室に戻る。刑務所と恐らく近しい生活だが、行動には現在』

広日記『18時25分夕食後の薬を配るアナウンス』

広日記『時間にはある程度制限があるが自由だ。人は自由だと怠けるのだろうか。私も4時間だけの隔離の開放時間だった、あの時の方が制限があるという意識で、動いていたのかも知れない。恐らく寿命という命の制限があるのは、一生懸命に生きて欲しいと神様かなにかが設けて与えたものだろう。それを私はあろうことか無差別に奪い葬り去ろうとしたんだ。やはり私は刑務所に入ってもおかしくなかった罪深き人間だ。それでも私には留まるチャンスを与えられた。』

広日記『18時45分波姉面会に来る』

波音「今日はなにしていた?やっぱり病棟内を歩いていた?」

広「最近は歩くことが減った」

波音「どうして?」

広「靴ずれの傷が治ってないのもあるけど、隔離の開放時間が長くなって逆に、自由過ぎて動かなくなった」

波音「そっか傷が早く治ると良いね」

広「もう少しで治りそうだし大丈夫だよ。それと話しは変わるけど、男装したい」

波音「前から男装したいって言っていたよね。退院して遊園地行く時にしようか」

広「良いね。したい!」

波音「じゃあしようか。広は顔が整っているし、いけるでしょ」

広「うん。そう言ってくれてありがとう。そう言えば花火大会っていつ?」

波音「今調べるね。この辺の花火大会だから…一週間後だ。8月4日土曜日19時から。それじゃあ少しだけ歩こうか」

広「うん。良いよ」

こうして今回の入院初、姉波音と病棟内を歩き、周回した広だった。

広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス。波姉とハグして手を振り見送って別れた』

広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』

広日記『20時40分寝る前の薬来る』

広日記『21時10分消灯の為明かり消される』こうして一日が終わった。

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