靴ずれする程歩いたそして新たな宿題

7月11日水曜日・

広日記『1時50分・2時30分・6時20分起床』

広日記『7時3分朝食が届いたアナウンス』

広日記『7時14分朝食が運び込まれる。パン、ポトフ、オレンジ、牛乳、お茶。』

広日記『7時38分朝食完食』

広日記『10時25分MRI検査に呼ばれる』

広日記『11時検査終了。』

広日記『11時5分病棟の隔離室に戻り、隔離の開放時間になっていたので重たい扉は開かれた。そして昼食と検温を挟んで病棟内を歩いた。』

広日記『15時隔離の開放時間も終わり、重い扉は閉ざされた。今日もめいっぱい歩いた。途中休みがてら隔離室に戻り、隔離室に置いてあるお菓子を食べたり、病棟内を歩き周ったり、多目的室の大きな窓の際に寝転んだりしたり、隔離の開放時間外にあえてお風呂の予約を取ったり、日頃サンダルで歩いているせいかクツずれして足の皮が少し、はがれてしまったのでナースさんにバンソウコウを貼ってもらった。そして多目的室で寝転んでいた際に、成田先生が来た。成田先生「そこで寝ていると落っこちたら危ないし、ナースさんが具合が悪いんじゃないかと心配するし、他の患者さんもビックリするよ」と言われたので私は「大丈夫ココ日当たり良いから」と答えた。成田先生は「いや、そういう問題じゃないけど仕方ない」と言って、少し諦めた口調だった。成田先生は気を持ち直し続けて「今日は調子どう?眠れた?」と聞いて来た。私は「夜中に二回起きて、すぐ寝れたけどいつもより、夜中に目覚める回数は多かった」と答えた。成田先生は「分かった。あとで部屋に行くね」と言って会話は終わった。』

広日記『16時・16時になって成田先生が隔離室にやって来た。』

成田「日記の調子はどんな感じ?」

広「そう言えばこの前波姉と面会で話した時に、SNSのフォロワーが減る理由と維持の仕方を教えてもらって紙にメモして作ったのがある」

成田「ほう、お姉さんとそんな物作っていたんだ。見せてもらっても良いかな?」

広は姉波音と作ったメモを成田先生に手渡し見せた。

成田「なるほど。フォロワーが減る理由・興味が無くなったから、欲しい情報ではないから、投稿の統一性がない・自分の発信したいことを発信したいアカウントで発信する。そうすることでフォロワーの維持になる・フォローの目的、興味、情報、それを満たしてあげる為にアカウントを使い分けるか。悪く無い考え方だと思うよ。でも先生の考えからすると、この考え方はただ自己顕示欲を満たしたいだけにも感じ取れるけど、どうなのよ」

広「SNSは自分を社会に発信して行くツールだから、そんなもんだと思うよ」

成田「じゃあまた宿題出してもいいかな?」

成田は広の紙とシャーペンを借りて宿題を作り出した。『SNSをやっていて良かったこと、楽しかった思い出・やっていて悪かったこと、嫌だった思い出』と紙の両面を使ってメリットの部分とデメリットの部分を書き分けた。

その宿題を提出された広は「矛盾がある」と答えた。

成田「矛盾?」

広「人と繋がり、会う事も出来るけど、危険な経験もする。そういう矛盾」

成田「なるほどハイリスクハイリターンって事だね」

広「学生の頃、学校である先生が授業中に、雑談で言っていた。知人でSNS繋がりの人と結婚したカップルを知っていると」

成田「へぇ時代なんだね。昔は大学のサークルに入らないと厳しいところがあった」

広「でも恋愛までもSNSで出来るけどリスクもある」

成田「そうだね」

ナース「お風呂の時間ですよ…あっ、お話しされていました?ごめんなさい」

成田「いいよ。ちょうど切りの良いところで終わったから。お風呂行っておいで。そして宿題よろしく~今度は13日に話そうね」

広日記『16時25分お風呂に呼ばれる』

広日記『16時33分入浴』

広日記『17時15分隔離室に戻る』

広日記『17時22分母面会に来る』

海里「暑い!暑い!外に出ると暑いから滝のように汗が出る。それであと昨日波音と一緒にウサギの画像を見て何を飼うとしたら良いか話し合っていたんだ」

そしてウサギの画像を見せられる広。

海里「このウサギなんか可愛いでしょ」と海里は広に勧めて来るが、広は飼う気はやはり涌かない。そして靴ずれしてむけた足の皮と接がれたバンソウコウに気づいた海里は「それどうしたの?」と広に聞いた。

広は「歩く事が増えたせいか、靴ずれしたと思う」と説明した。

海里「そっか痛そう。それで明日はお墓参りに行こうと思っているから、明日は面会に来れない」

広は(明後日はお墓参りの話しでもされるのだろう。しかし明日は海里は面会に来ないけど、結局海里はほぼ毎日電車に乗ってどこかに向かっているな)と思った。明日来れないという事を言った海里は「ママも歩いている事が増えたから足に水ぶくれが出来そうになっている」と言った。

広は(お互い歩く事が少なかった人間同士、足に変化があるようだな)と思った。

広日記『17時36分夕食が届いたアナウンス』

広「やっぱり入院している事を連絡したい」

海里「それは出来ない。やめた方良い」

広「でも所属している創作団体の代表さんにだけでも連絡させて欲しい」

海里「そっか、それならまだ良いかな。でも連絡する内容はママにも見せてから送ってね」

広「分かった」

広日記『17時44分夕食が運び込まれる。白米、蒸し鶏、昆布の炒り煮、かぼちゃチーズ焼き、お茶。』

海里「今日保健所に行って来て、保健福祉師さんと会話して来たよ。そして広の生い立ちとかを話したら、保健福祉師さんが「よく子育て頑張って来ました。それで広さんも頑張って生きて来ました」って言っていたよ」

広「保健福祉師さんとの繋がりが退院のステップの一つになるの?」

海里「保健福祉師さんは居場所を提示してくれるよう相談して乗ってくれる人だから退院後の居場所になるかと言うと微妙。今度成田先生に相談してみたら?」

広「今度13日の金曜日に成田先生と話す事になっているし、またそれに宿題出された。さっき出されたからまだ白紙だけどね」

広は宿題の『SNSをやっていて良かったこと、楽しかった思い出・やっていて悪かったこと、嫌だったこと』を海里に見せた。そして提出された時の会話の内容も簡単に説明した。

海里「じゃあ金曜日までに間に合うように頑張って」

広日記『18時25分夕食後の薬を配るアナウンス』

広日記『18時39分夕食後の薬が来る。白米、かぼちゃ残す。ついでに薬持って来たナースさんに食器の片付けを頼む。』

その後海里がナースステーションに行き、ナースに頼み広の通信機器を一時的に返してもらい、広は海里の指示の元所属している創作団体の代表のみとの連絡が許され、他の操作は許されず、一方通行になるが、所属している創作団体の代表に『現在入院していて通信が出来ないので、可能になったらSNSを通じて創作活動を再開します。』とメッセージを送った。そしてすぐ通信機器の電源は海里から切るように言われ、またナースステーションに通信機器は預けられた。

広は久しぶりにだが僅かに通信機器に触れ、必要最低限の相手に入院している事を連絡が出来て、安堵の表情を見せた。

海里「なんだか安心して嬉しそうな顔しているよ広」

広「うんまあね」

海里「じゃあ少し歩こうか。歩くのは大事だからね!」

そうして病棟内を少し歩き周ったあと、2人は多目的室に入って行った。多目的室では家族の事のたわいもない話しをして過ごした。それでフォロワーの確認をした。メインアカウントは82から80に減っていた。創作アカウントは1アカウント減っていたのがまた1アカウント増え元のフォロワー数になっていた。創作アカウントに関しては2人共何故戻ったのか疑問に思った。そして海里は「創作アカウントだけでも大事にしなさい」と言った。広はその言葉が気に食わなかった。メインでやって来たアカウントを捨てろ。そんなものどうでもいいと言われた気がしたからだ。だから広は「どっちのアカウントも大切。だからどっちも作ってあって存在しているんだよ。両方大事なんだよそっちの方が思い出が詰まっている。そんな言い方しないで」と。

広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンス』

そして隔離室に戻り別れ際握手だけして面会が終わった。

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