隔離の部分解除と退院までのステップ

7月10日火曜日

広日記『10時12分成田先生に診察室に呼ばれる』

診察室には母海里の姿があり、広は(3人で話すんだ)と思った。

成田「今回の話しの要点は2つ。隔離の部分解除、つまり隔離の開放時間を少しだけ作る。もう一つは退院後の行動や生活する居場所をどうするかを話し合う事です」

広「この二つがあれば退院は早まるの?」

成田「早まるっちゃ早まる」

海里「退院にあたり、やはり退院後も通信には、ルール決めが必要かと。例えば投稿内容をチェックするとか」

成田「まぁこう言っちゃなんだけど、みんな入院中はほとんど通信出来ないもんね。制限が掛かっているのは今も変わらないですが、SNSに投稿する際投稿内容をチェックするのは、ありですね」

広は(やっぱり検閲が入るのか)と思った。

海里「二つ目に関してなんですけど、動物は飼えないけど世話をする場所はどうかと、昨日2人で話しました。それが二つ目になるかと」

会話を聞きながら日記にメモしていた広が口を開く。広「なるべく早く退院したい」

成田「それは何度も言うけど気持ちは伝わっているからね。急いだとしても今からだと、退院までには4つ、5つ、ステップがあります。それもメモしておくと良いよ。ゆっくり説明してあげるね。今は隔離で保護されています。まず隔離室から出なくてはなりません。大部屋に移り、落ち着いて過ごすのが大切です。そのあと院外外出と自宅で、落ち着いて過ごせるかどうかの外泊をします。次に家以外の居場所探しをします。これは大部屋に移ってからでも出来ます。そして居場所の見学です。これは外出、外泊時の時でも出来ます。つまりステップとしては、隔離室を出て大部屋に移る。次に居場所探しして外出、外泊で居場所見学するのが最短の退院までのステップです」

広「居場所は所属している創作団体でも良いと思う。SNSに創作物の投稿を再開して発信して創作活動を通して活動する居場所になると思う」

成田「退院後の社会的活動は広さんの場合専門家の元の方が良い。その団体に広さんの病気を理解してくれる人はいないでしょ?」

広「確かに」

海里「だったら居場所の相談と専門家の元でしたら、保健所の人と面識があるので頼ろうかと」

成田「それは良い事です。良かったら連絡先の分かるものを教えて下さい」

海里「名刺があります。どうぞ」

成田「ありがとうございます」

成田は海里から保健所の人の名刺を受け取った。

成田「それでは次に隔離の部分解除の話しをしましょう。開放時間を今日から作ろうと思います。前回2時間程の開放だったけど、4時間で午前10時から午後2時までと、午前11時から午後3時までのどっちがいい?」

広「うーん…じゃあ11時から3時まで」

成田「じゃあそうしよう。それと今回の件と去年の心理検査の結果を見て、不安になったりした時怒りの対象が親しい人に向く傾向があると思いました。お母さんの言う動物を飼うのは、万が一を考えて危険と思えますが、施設でのボランティアでの活動は動物との距離が、ある程度取れていて良いかと。それでは診察終わりです。お疲れ様です。隔離の部分解除はあとでナースにも伝えておきます」

広日記『成田先生と母と3人の話しが終わり母と隔離室に戻った。』

海里「隔離に開放時間が出来て良かったね!おめでとうだよ!」

広「うん」

海里「じゃあまた、広は日記書いたりするだろうし、面会時間外だから一度帰るね」

広「うん。またね」

広日記『隔離室に戻ったあと、少ししてナースさんが来た。ナースさんに成田先生との会話の内容を聞かれた。私は隔離の部分解除が出来たことを説明した。するとそれを知ったナースさんが「成田先生に確認して来る」と言って一度隔離室から出て行った。まだナースさん全員には伝わって無かったようだ。そして確認して戻って来たナースさんは、11時も過ぎていたので重い扉を開けて隔離の開放時間が始まった。ついでにナースさんにお風呂の予約取ってもらった。そして今回の入院2回目の病棟生活の説明を受けた。少し病棟内を歩き周り、11時40分1212号室の隔離室に戻って日記に重い扉が開けられた時のことを記録。さてもう少し昼食だろう。今日から昼食は自分で病室まで運び込めるぞ。嬉しいな』

広日記『12時昼食が届いたアナウンス。さあ昼食を食堂前で受け取って病室に運ぼう。』

広日記『12時5分自分で昼食を運ぶ。白米、海老炒りと卵のあんかけ、みそ田楽、春菊、お茶。』

広日記『12時25分昼食完食。自らはいぜん台のある所に食器を持って行き、はいぜん台に食器を片付けた。さて病棟内を歩こう。』

広日記『12時45分昼食後の薬を配るのと検温するアナウンス。昼食後の薬を配るのと検温はナースステーション前か多目的室で行われる。今日はナースステーション前だったので私は他の患者と共にナースステーション前で検温をした。そのあともしばらく病棟内を周回して歩き周ったり、多目的室で窓際に寝転がれるので寝転んで景色見ながら休んだりした。』

広日記『14時30分ナースさんが「お風呂の時間」と声を掛けて来て隔離室に戻り、支度をした。』

広日記『14時35分入浴。15時5分隔離室に戻る。15時過ぎだったから重たい扉は閉められた。』

広日記『17時16分母面会に来るも、私は少し母が来てからも眠っていた。いつの間にか昼寝をしていたようだ。』

広日記『17時35分夕食が届いたアナウンス』

広日記『17時40分夕食が運び込まれる。白米、牛肉炒め、サラダ、煮物、すまし汁、お茶。』

広日記『18時5夕食後の薬を配るアナウンス』

広日記『18時31分夕食完食。ちょうど夕食後の薬も来る。』

広日記『19時母帰宅の為面会終了。いつもながら暑いと言うのと家事する時間が無くて大変と言う。また連日のように、九州の洪水の被害が大きくなっていることの話しを聞いた。今日は私が寝ていたり食べていたせいか、あまり話すことなく母は「今日は朝も来たし、面会に来たら来たで広は眠っていたから、話すことも無いし帰っちゃうね」と言って手を振るだけをして帰ってしまった。』

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