七夕の姉によるSNS講座

広日記『16時25分姉面会に来る。』

波音「暑い~!外は猛暑日って感じの暑さよ」遅れたがココで広の姉、波音(なみね)の簡単な自己紹介をしよう。波音はすでに会社員として働いており、土曜と日曜しか広の為に面会に来る事が出来ないのだ。そして性格は優しさや繊細さもあるが、男顔負けの強い根性もある以上。広「海里も波姉も毎回暑いって言うけど、もうそんな季節なんだね」

波音「そうよ。あちーよ。そう言えば3日は残念だったね」

広「うん…」

波音「広が退院したら遊園地に行こうよ」

広「いいね。どこの遊園地がいいかな」

波音「春にも行った遊園地に行こうと思っている」

広「あの遊園地好きだから良いと思う。行く行く!」

広日記『波姉との会話は、たわいもない会話が出来るが、やはり7月3日のことなどの話しが出ると罪に苛まれて、この1212号室の隔離室が刑務所の牢屋の中だと感じてしまう。しかしあの事から私は逃げてはいけない。ちゃんと向き合わなければ。』

波音「広が家に居ないから海里の独り言を聞く役が居なくて、私が帰ると海里が話し掛けて来る。それで聞き流していても、ずっと一人で喋っているの。海里ラジオのオンパレードよ」

広「ハハッ。海里ラジオのオンパレード。ウケる」

波音「ハハッ。ウケてる場合じゃないよ。こっちは毎日海里の独り言を聞かされているんだから」

広「でもどうしてSNSのフォロワーが急激に減ったんだろう」

波音「使い方が悪かったんじゃない?」

広「使い方も投稿内容も変わった事はして無かったよ」

波音「それじゃあ興味を無くされたんだよ」

広「興味を無くされた?」

波音「そう」

広「じゃあもう少しフォロワーが減る理由について教えて欲しい。紙にまとめよう」

波音「いいよ。その前に私の経験談。昔アイドルのアカウント繋がりで直接ライブ会場で会って、話ししていた時は仲良かったのね。だけど帰ったら、その人から何故だかフォロー解除されていた。その人の心に何があったかわからないけどさ。結局人間関係SNSと同じだよ。学生時代は仲良かった友達も私が働き始めてから会う事はなかった。つまりブロック。環境も変われば人間関係も変わる。そう言う事。じゃあまずフォロワーが減る理由って書いて」

広「フォロワーが減る理由っと」

波音「その下に箇条書きで良いから書いて行って。まずは興味が無くなったから」

広「興味が無くなったからっと」

波音「それとー、欲しい情報ではなくなったから」

広「欲しい情報ではなくなったからっと。これはどういう事?」

波音「それはフォローする人の中には情報欲しさにフォローする人がいるんだよ。その人に対しての興味じゃなく、その人が発信する情報に興味を持っているんだよ」

広「なるほど。次は?」

波音「次はー、投稿の統一性が無い」

広「投稿の統一性が無いっと。これはなんとなく分かる気がするけど説明して」

波音「投稿に統一性が無いと、ある時はアイドル、ある時は料理。みたいな、フォロワーに興味があるものと無いものを発信していれば情報の欲しいフォロワーからも、どちらからも次第に、そうしているとフォロー解除されるよね」

広「なるほど。じゃあ今のアカウントも趣味のオンラインゲームの投稿か日常的な投稿のどちらか1つにして、もう1つ新しくアカウントを作れば良いんだね」

波音「そうだね。それじゃあまとめに入ろうか」

広「うん」

波音「まずは自分の発信したいことを発信したいアカウントで発信する。そうする事でフォオロワーの維持になるって言うのも追加しておいて。それでフォローする人の目的は2つ。興味、情報。それを満たしてあげる為にアカウントを使い分ける。そんな感じかな」

広「そうだね。ありがとう。SNSの使い方の勉強になった」

波音「いいよこんな事ぐらい。メモは終わった?」

広「もう少しで終わる。…終わった。今日は七夕。願い事でもあった事が少し叶ったよ。それはね、隔離に開放時間があったんだ」

波音「おぉそれは良かったじゃないか。じゃあ病棟内を歩けたんだ」

広「うん。でも平成最後の七夕を病院で過ごすとはね。願い事全部叶うかな」

波音「少し晴れているね」

厚い雲の間に晴れ間が見えていた。

広「本当だ」

広日記『17時37分夕食が病棟に届いたアナウンス』

広日記『17時50分夕食が運び込まれる。白米、さんまの塩焼き、切り干し大根、かぼちゃサラダ、お茶。白米残す』

波音「広が食べ終わったら帰るね」

少し寂しそうに、広「うーん…」

広日記『18時23分波姉帰宅の為面会終了。波姉と話すと母との会話には無い、視点や話題があり、SNSの使い方や使って経験したことを聞けて、私には無かった発想がすでに波姉にはあった。とても有意義な面会時間だった。最後別れ際にハグをしてもらった。そしてフォオロワー数を確認してもらい変わり無かったので一安心した。』

広日記『波姉と話した「平成最後の七夕を病院で過ごすとはね。願い事全部叶うかな」「少し晴れているね」という会話を思い出し、私はまた空に向かって(願いが叶いますように)と願った。』

広日記『20時24分ズシーンと衝撃が下から来た。地震だろうか。揺れた。』

広日記『20時30分寝る前の薬を持って来た三澤ナースさんに確認した。やはり地震だった。』

広日記『21時15分消灯の為明かり消される。』

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