父親の過去

広日記『16時30分母面会に来る』

海里「今日は早かったでしょ?そう言えば今日成田先生とはなしたんでしょ?どんな話ししたか聞かせてよ」

広は昨夜暴れた事、次暴れたら身体拘束と、ナースに提案した、暴れず済む方法としてハグがある事を伝えた。

海里「耐えて欲しかった。自ら悪化させているのを気づいてよ。とりあえずハグはナースさんと同じ意見かな。さて今日も歩こう。歩く事は健康に良いんだよ。退院してからも歩こうね」

広日記『17時37分夕食が病棟に届いたアナウンス』

広日記『17時45分夕食が運び込まれる。白米、牛肉炒め、トマトサラダ、ほうれん草、お茶』

海里「ママは少し一階で気分転換してくるね」

広日記『18時18分完食。夕食後の薬を配るアナウンス。母は気分てんかんの為、私から離れた。』

広日記『18時28夕食後の薬来る』

広日記『18時40分母戻る』

ナースステーションを囲むように何周かした後、多目的室で2人で会話した。

海里「さっきは一人になって考えていたんだ。結論、イラついたり不安になったりして、暴れる負の連鎖を断ち切ろう」

広「学生の頃からそうだった。学校の先生も言っていたよね。「将来この子が暴れる事で世間に迷惑や世話になりかねない」って」

海里「よく覚えていたね。とにかく突発的な感情で殺意や暴れる思いをしない事は広にとって大事な事だよ。その感情を抑える事は広の中のルールにする事で広が生きやすいはず。退院する上でそれはみんなの幸せと広の幸せに繋がると思う」

広「そう言えば昔は海里もパパも若かったからパパが暴れても海里は止める力があったと思うけど、私が暴れれば今じゃ止められる力無いでしょ」

海里「そうだね。よくパパも暴れていた。でも今は暴れる事無くなったし、きっとじっと堪(こら)えているところはあると思う。それとずっと稼ぎ手として家族をちゃんと、なんだかんだ支えて来てくれた。今思えばありがたく思うよ」

広「うん…パパの虐待されていた生い立ちの過去を知っていれば今となれば許せるところはある」

海里「昔はパパも家出したりして、何か伝えたかったんだと思う本当に広よりパパは若い頃は酷い家庭で育ったよ」

広「そうだね、でも私も家出を繰り返した」

海里「まだ広が家出した時の置き手紙を残してあるよ」

広「そうなんだ。残していたとは。そうだフォロワー数確認させて」

海里「いいよ」

メインアカウントのフォロワーは一つ減っており、広は仕方ないと思った。もう1つのアカウントは何故か一つ増えていて、広は不思議だなと思った。そして面会終了まで5分前のアナウンスが流れ、隔離室に戻り別れ際にいつもの握手を交わし、広がハグして欲しい事を海里は察してかハグも交わして、広は母海里との面会を終えた。そして20時に重たい扉が閉ざされた。

広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』

広日記『20時45分寝る前の薬来る』

広日記『21時15分消灯の為明かり消される』

広日記『23時頃就寝』

7月6日金曜日はこうして終わった。

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