物騒な事はしない
7月4日水曜日
広日記『8時35分昨日の成田先生が言っていた言葉で思ったことがあるが「日中隔離室から出られる時間を作れるようにするね」と言っていたが実は「3日落ち着いて過ごせたらね」とも言っていた。そして私は「3日は長い」と答えた。そうしたら成田先生「中にいる人には長く感じるのは分かる。だけどコチラにも色々ある」と返された。だから私は3日以上はまだ、隔離室から出ることも退院の見込みも無いのだろうと改めて思った。』
広日記『9時45分ナースさんが「お風呂の時間」と言って来た。』
ナース「昨日の安東先生が主治医を辞めるって言ってどんな気持ちだった?」
広「覚悟はあった。逆に一生隔離じゃなくて安心した」
ナース「たぶん成田先生も昨日言っていたと思うけど病院で一生隔離とかは無いよ。それと今は隔離されているし通信機器も使えないじゃん?どんな気持ち?」
広「去年は使えたし通信機器からSNSなどの情報を得られた。今回の入院は自己発信も出来ず不便だよ」
ナース「そっか言いづらいこともあったと思うけど色々聞いてごめんね。そう言えば成田先生が金曜日には隔離の開放時間作りたいって言ってたよ」
広「3日後じゃなくて2日後に?」
ナース「そう」
広「ふーん」
広日記『9時58分入浴・10時22分隔離室に戻る』
広日記『11時32分ナースコールで小型音楽再生機の充電を頼む』
広日記『11時33分ナースさんが来る。小型音楽再生機の充電を理由に重たい扉と半自動扉の間に行こうとしたが、ナースさんに注意されそうと思い断念した。しかし素早く小型音楽再生機の充電を頼めて良かった。』
広日記『11時40分ナースコールで成田先生と話す時間を作って欲しいと頼む』
広日記『14時20分成田先生と話し始める』
隔離室で2人の会話が始まる。
成田「用件はなにかな」
広「7月11日水曜日までに退院させて欲しい」
成田「どうして」
広「SNSで2・3週間投稿していない事になる。だから11日水曜日に退院してSNSに再復帰したい」
成田「11日水曜日はまだ早い」
広「じゃあせめて入院していて投稿出来ない事を投稿しておきたい」
成田「なぜ?」
広「だって長いこと投稿しないでいるとSNS辞めたんだって思われる。だからSNSを一時的に出来ないと投稿してフォロワー減少を抑えたい。なので入院している事を投稿させて欲しい」
成田「入院している事を投稿するのは、やめた方が良い」
そうして話しが終わり成田先生は隔離室から出て行った。
広日記『17時3分母面会に来る』
海里「暑い~!今日も緑茶といつものお菓子買って持って来たよ。今日は少し休んでから歩こう」
広日記『17時16分病棟内に出歩く』
広「早く退院したいなー」
海里「そうするには?」
広「反省とか?」
海里「それは充分したと思うよ。でもそれも大切だね」
広「それと感情をコントロールするとか?」
海里「確かにそれも大切。あとあるとしたら、もう1個あるよ」
広「なんだろうなー」
海里「よく考えてみて。ヒントは今回広がした事かな」
広「分かった。物騒な事をしない」
海里「最後のは退院してからも、入院中でも約束事だよ。分かった?」
広「うん約束。そう言えば今日成田先生と話したよ」
海里「どんな話しをしたの?」
広「それはね…」広は海里に成田との会話の内容を話した。
海里「そっかー退院はまだ早いって言われたか。でも今は焦る必要無いと思うよ。それと成田先生と同じくSNSに入院している事は投稿しない方がいい。信頼出来る人にだけ退院してから退院した事を伝えれば良い」
広「そっか…」
広日記『17時35分夕食が病棟に届く。私は自分の夕食が配られるのを待ち、自分で隔離室に夕食を運んだ。白米、チキンのトマト煮、コーンサラダ、粉吹きイモ煮、お茶。18時3分白米残した。』
広日記『18時30分夕食後の薬を配るアナウンス。18時42分夕食後の薬をナースさんが持って来る』
海里「じゃあまた歩こうか。歩くの大事だよ」
広「うん」
広日記『病棟内を再び歩く。』
2人は多目的室に向かった。
海里「広のSNSアカウント確認したけど減っていなかったよ」広は安心したがまだ減る可能性は0ではないと思った。
海里「広が安心するならそのぐらい教えてあげる」
広「創作活動用にもう一つアカウントがあるんだ。それ教えるから、そのアカウントも確認させて」
海里「いいよ。教えて」広はアカウントを教えてフォロワーの数を確認した。
広「本当はまだアカウントがあるけど気になるのは、そのメインと創作アカウントだけだから他はいいよ」
海里「本当に?」
広「うん」
そして病棟内を歩き始める2人。
周回していると広が信頼しているナースに会う。
海里「去年はお世話になりありがとうございました」
ナース「いいえ大したことじゃありませんよ」
海里「さっき広と話して約束をしたんです。ねっ広」
広「うん。反省するのと、感情コントロールと、物騒な事をしない」
ナース「うん。それは大切な事だと思う。それは成田先生にも伝えておくね」
広は歩いている内に用がしたくなり、一度隔離室に戻る。
広日記『一旦トイレの為隔離室に戻り、三度病棟内を歩く』
2人はまた多目的室に向かった。
広「2つ以外のアカウントで仲良くしていた人がいるんだ。(ミョンミョン)その人に今回の殺害予告の事をメッセージで言ったんだ。そうしたら怖がられた。でもそれで殺人者にならなかったと思う。その人が通報してくれたんだと思っている。その人の通報で自分は人殺しにならずに済んだ。だから感謝している」
海里「もしかしたら、その人が通報した訳じゃないかも知れない」
広「それでもその人だと思って感謝したい」
海里「SNSでも安東先生も失ったけど大切な人に恵まれたよ広は」
面会終了まで5分分前のアナウンスが流れ、隔離室に戻り握手して海里と広は別れた。
広は日記に今日の会話を書き残した。そして寝る前の薬も飲み、21時の消灯になって1日が終わった。
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