もう少しで罪だった罪を償って行こう

広日記『やはり退院日が気になる。6月27日に入院中の担当医成田先生と診察室で話した時は、7月3日が退院予定日にしていた。この後何時になるか分からないけど、成田先生と話す時にいつ退院になるか不安だ。きっと伸びるだろうか。そうしたらSNSがいつまでも使えないじゃないか。それに通信機器全て使用禁止はヒマの極みだ。それと前回のお風呂の時は時間がなかったけど、今日のお風呂は時間があった為ムダ毛処理をする余裕があって良かった。』

広日記『11時35分病棟薬剤師が来て体調に変わりないかと聞いて来たので私は「変わりない」と答えた。』

広日記『12時3分昼食が病棟に届いたアナウンス』

広日記『12時10分隔離室に昼食が運び込まれる。白米、あんかけ豆腐、わかめカブきゅうりのサラダ、みそ汁、リンゴ、お茶。』

広日記『12時33分食事中だったけど回診の医師が来た。医師は「よく眠れていますか?」と聞いて来た。私は「入院してから眠れていなかった。でも今日はよく眠れた」と答えた。それで医師は「食事中にごめんなさいね。でも眠れていて良かったです」と言った。しかし医師よ眠れていないんだ。今日だけなんだ。今日はよく眠れただけで他の入院してからの日々は眠れていないんだ。そこを間違えるな医師よ。細かいことだけど今日だけなのを理解して欲しかった。』

広日記『12時43分昼食後の薬を配るのと検温するアナウンス』

広日記『12時51分昼食完食ナースさんを呼ぶ』

広「昼ご飯食べ終わったんで検温しに来てもらえますかー」

ナースコール越しナース「分かりました少々待っていて下さいね」

広「はーい」

広日記『12時55分ナースさんが片付けと検温しに来た。』

広日記『13時0分ナースさんが来て、なんだろうと思ったら検温だった。私は「さっきやりましたよ」と言った。』

広日記『13時2分また別のナースさんが来て検温と言う。さすがに私は笑った。「これで必要以上に来たナースさんは2人目ですよ」と私は言った。ナースさんは「みんなココに集まって来るんだね」と笑って言った。』

しばらくして広は眠りについていた。

広日記『15時15分気が付くと眠っていた。眠くて紙に日記を書く気にならなかったが一応こうして書き始めている。夢を見た。夢は架空の存在しないSNSだが夢の世界では存在しており、そのSNSが流行り、そのSNSで私は人とコミュニケーションを取っていた。しかしアカウントを乗っ取るアカウントがいるという情報がそのSNS上で流れている中、私は次々と人と仲良くなるという、いつ乗っ取られても、おかしくない状況で流行りの架空SNSをしていたという夢だ。我ながら夢でも危ないことをしているなと思ったのと早く何が何でもSNSをしたいんだと思った。』広は日記を書き終えるとお菓子を食べたりして過ごした。

広日記『16時ナースコールで気になったことがあったのでナースさんに聞いた。それは成田先生と話すのはどうなったのかだ。まだ成田先生と話していない。今日話す予定なら、そろそろ来ても良い頃だと思った。そうしたらナースさんに「まだ成田先生は帰ってないと思うから見掛けたら菊川さんと話すこと伝えておいておくね」と言われた。』

広日記『16時8分成田先生が来た。成田先生「ごめん今日はバタバタしていて忙しかったんだ。夕食後辺りでまた時間取って話そう」』

広日記『16時15分母面会。また外は暑いと言う。』

海里「暑い~!暑かったー。いつもの緑茶とお菓子ね。チョコも好きでしょ。今日は飴だけじゃなく買って持って来たよ。昨日波音から聞いたよ。病室から出られなかったみたいだね。でも今日はちゃんと家族付き添いなら病棟内出歩けるから早めに面会時間に来たんだ。着替えとかの荷物片づけたしさ行こうか」

広「うん」

広日記『昨日はナースさんやスタッフが少なかった為隔離室から出られなかった。今日は母が、つきそいなら出られるらしい。「出ようか」と誘ってくれたし出ることにした。』

広日記『16時29分病室を出る』

広達はナースステーションを囲む様に歩きながら会話をした。

広「実はね、昨日隔離室で暴れたんだ」

海里「どうして?」

広「それは入院が長引くんじゃないかと思ったのと安東先生や病院の権限で隔離室を牢屋にして終身刑にされるんじゃないかと不安になって「殺してくれ」って言いながら暴れた」

海里「大丈夫、誰もそんな一生隔離なんてことしないよ。病院は治療する為の所だから刑務所みたいに一生閉じ込めようとしないで、みんな広が良くなる為に頑張っているよ。それに安東先生も閉じ込めたりしないはず。明日安東先生からの重要な話しを聞いたあとに意見を言えば良いしお詫びをすれば良い。だから死にたいなんて言わないで。それに犯罪を犯した人も更生した後は、真面目に生きて犯罪を犯した事をわざわざ言っていないと思う。言えば逆に広が生きづらくなるだけ。言及されたら謝罪していきなさい。実際に広は犯罪者じゃないけど一歩実行して人を殺していたら犯罪者だった。だからもう少しで罪だった罪を償って行こう。それに広が殺されて良い理由なんて無いし、殺されて欲しくない。確かにあんな隔離室の中じゃママもずっと居たら死にたくなると思う。今はよく踏み留まった。辛抱していると思うけど、これかもまだ辛抱だね」

広「そう言えば成田先生と今日話す予定があるみたい」

海里「そうなんだ。良かったらママも立ち会いたいな。それでね、広が気になっているだろうと思って、広の殺害予告がネットニュースになってないか調べたんだよ」

広「そうしたら…」

海里「ニュースにはなって無かったよ。だから安心して。それに今日、警察の方に行って来たんだよ。実際に事件を起こしていないから警察は監視はしているみたいだけど保護対象として扱っているみたいだよ。だから犯罪者扱いしている訳じゃない。だから安心して。事は大きな事をしてしまったけど、ちゃんと更生して関わりのある人に頭下げて行こうね」

広「でもネットニュースにはなってなくても掲示板とかで殺害予告が拡散されているかも」

海里「それはそこまで行くとキリが無いし、心配しなくて良い」

広はまだ不安そうに「うん」と返事をした。

海里「SNSでまた悪い事をしようとしてないと発信していれば誰だって認めてくれる。謝罪したりするとまた今回よりも炎上するかも知れない。広の行いを知っている人から言及されたら謝れば事は大きくならないし、そこで終わると思う」そう言う海里の言葉を聞いても広は謝罪文の投稿をしたい気持ちがあったが、しかしやめた方が良いと言う大人2人が言っていた理由も理解し納得しつつあった。広の中で投稿するかしないか、また気持ちが揺らいだ

広日記『17時37分夕食が病棟に届いたアナウンスが流れた為隔離室に戻った。』

夕食が運び込まれるのを待っている間も会話は続いた。

海里「広はまだ社会で生きるチャンスが僅かに残っているんだよ」

広は思った。ならば懸命に生きねばと。

広「SNSが無きゃ社会で生きて行けない…そうだ!フォロワーだけでも海里の通信機器から確かめて教えてよ」

海里「通信機器の使用はダメって言われているけど、それぐらいなら先生も許してくれるでしょ。良いよ教えてあげる。82」

広(入院直後に確認出来た時の数から2人減ってる)「ありがとう」

広日記『17時46分夕食が隔離室に運び込まれる。白米、豚しゃぶ、サツマイモサラダ、野菜と油揚げの煮浸し、お茶。母も夕食を食べる為病院の1階のレストランへ。』

海里「ママもなにも食べずに来たからお腹ペコペコ。下のレストランでのんびりしているね。あ、でも成田先生と話ししたいから、すぐ戻って来るかも。行って来るね。ちゃんと食べるんだよ」

広日記『18時20分夕食後の薬を配るアナウンス。私は思った。殺害予告に使用した私のSNSのメインアカウントだけフォロワー数を知れたが、他の私のSNSアカウントは海里に教えてないからどうなっているのだろうと。他のアカウントも教えればよかった。とりあえず今度、機会があった時にでも教えよう』

広日記『19時夕食後に成田先生と話すことになっていた為、気になってナースコールを押してナースさんに今、成田先生がなにをしているか聞いた。ナースさんは「確認してみます」だけで返答は終わった。』

広日記『19時5分成田先生が今なにしているか確認してくれたナースさんが来た。成田先生はまだ忙しくらしく、消灯までには来てくれるらしい。しかし母も立ち会いたいと言っていた。面会時間が終わるまでにはなるべく来て欲しい。だが母と成田先生は一体何をしているのだろう。』

広日記『19時26分母やっと病棟に戻って来る。』

海里「遅くなってごめーん。駅の方の商店街まで買い物していた。それで成田先生はまだ?」

広「まだ来てない消灯頃だって」

海里「でも本当は今そこのナースステーションでナースさんに聞いたんだ。明日の打ち合わせするみたいだね。だからママがいなくても大丈夫でしょ。今日は。とりあえずまた歩こう。歩くことは心にも体にも良いんだよ」

広日記『そしてまたナースステーションを囲みながら2人で歩いて、たわいもない会話をした。』

広日記『20時面会終了まで5分のアナウンスもあり隔離室に戻った。母と別れ際握手する。実は毎回している。だから昨日も、それを知っている波姉とも握手して別れた。今日母はハグもしてくれた。母は帰り際に「警察は言っていたけど記者が情報を聞きつけて取材に本来なら来るけど今回はそんなことなかったから大事にはなってないって言っていたけど家族にとっては大事だよ。それと安東先生とカウンセリングセンターの担当の狭間田さんとセンターの人達にお詫びの手紙を書いておきなね」と言った。』

広は海里との面会中の会話なども日記に書いて、書き終えた。

広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』

広日記『20時40分ナースさんが寝る前の薬を持って来た』

広日記『20時52分成田先生が来て隔離室で話すことになった。私は書いてきた日記を成田先生に見せた。成田先生は「看護師が書く物に似ているな」と言った。そして成田先生も「病院は治療するところだから一生出られないことはないよ」と言ってくれた。暴れた理由を聞かれたので、暴れた理由を私は言うと、成田先生は「菊川さんは不安になったりすると破滅的な考えになりやすいでしょ」と言われたけど私は「分からない」と答えた。SNSについてどういう風に捉えているか聞かれ、私は一つの社会でお互いコミュニケーションが取れてその人の今を知れると伝えたが成田先生はSNSのイメージが少し私と違うみたいで私の意見に納得していなかった。』

広日記『21時24分成田先生との話し終了。成田先生はまだ夕食を食べていないらしい。私は「お疲れ様です」と言った。』

広日記『23時45分一人になった後少し寝ていたことに気づく。入院から一週間が経ち、8日目を迎えようとしているんだと思った。

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