私を殺して
広日記『17時35分夕食が病棟に届いたアナウンス』
広日記『17時45分隔離室に夕食が運び込まれる。白米、豚肉のみぞれ煮、ほうれん草の煮浸し、さつまいもサラダ、お茶。昼過ぎに食べたせいか空腹ではない為に食欲が涌かない。』
広日記『18時19分夕食後の薬を配るアナウンス』
広日記『18時35分一応夕食完食。食べている時考え事していて食べるのが遅くなった。考えていたことは、主治医安東先生は7月3日の重要な話しの時にこんなことも言うのではと考えた。それは病院と医師の権限で、この隔離室を牢屋に変えて終身刑に処する気だ。いくら警察が今回の件から手を引いたとしても安東先生は殺されそうになったから、今度は私を殺そうとしているんだ。なんならいっそのことナースさんに殺してもらおう。ちょうどナースさんが夕食後の薬を持って来たから殺してもらうように頼もう』
ナース「お薬持って来ましたよ」
広は神妙な趣きで小声で返事をした
広「そんな事はどうでもいい。とにかく殺してくれ」
ナース「えっ…」
ナースは重たい扉の側から広の側に近寄った。ナース「どうしてそんな事言い出すの?」
広はナースの手を掴み、自分の首元に持っていって言った。「このまま首を絞めて殺してくれ」
ナース「なんでそんな事を…出来ません」
ナースは広の手をそっと振りほどいた。
広「安東先生の権限でこの隔離室を牢屋にして終身刑にする気なんだ!だから今日ここで殺されて死にたい!」
ナース「そんなこと無いよ。誰も殺したりしないから。とりあえずまた後で来るね」
広日記『18位52分ナースさんに殺してもらうように頼んだが断られた。そして「後で来る」と言う。今度こそ首を絞めてもらい殺してもらおう。』
広日記『19時15分それまで5回ナースコールで色んなナースに「殺して欲しい」と頼んだがナースコール越しで「出来ない」とまで言われた。』
広日記『お願いだから殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して』
広は殺して欲しくてたまらず暴れた。壁を殴り、蹴り、重たい扉もドーンドーンと蹴り続けた。そしてまくらを持ち、窓などガラスへも殴り掛かった。殺してくれという気持ちでいっぱいで暴れ、広は暴れている最中もナースコールでナースに「殺してくれ」と頼んだ。ナースは痺れを切らし「出来ない」から「それは出来ない!殺すのなんて出来ない!」と言った。これは死なせたくないというナースの愛情からの思いだった。広日記『19時55分面会終了まで5分前のアナウンスが流れる頃には私は暴れ疲れ果てグッタリしていた』
広日記『20時0分少し落ち着き、暴れたことを日記に書く。』数分後広はナースコールで弱り切った声で「疲れた」とナースに告げた。ナース「外で暴れたら周りの人ビックリしちゃうでしょ。明日成田先生と話すからゆっくりして」と言った。広は7月3日に話すんじゃなかっただろうかと疑問に思いながら明日は診察室に行くだろうから隔離室から出られると思った。しかし広は出られる事は良いが今日のこの事で入院が長引かなければ良いと思った。その事まで広は日記に書いておいた。広日記『数分後私はナースコールでナースさんに「疲れた」と告げた…』
広日記『20時30分寝る前の薬を配るアナウンス』
広日記『21時0分消灯だ。しかし私は今日夕食後の薬と寝る前の薬を飲んでいない。とりあえずナースさんを呼んで薬を持って来てもらおう。「すいませーんまだ夕食後の薬と寝る前の薬を飲んでいないんですけどー持って来てもらえますかー」ナースさん「いいよ今持っていく」数分後ナースさんが来てくれた。去年お世話になり信頼しているナースさんだった。信頼しているナースさんの顔を見てさっきのナースコール越しの「殺す事は出来ない」「ビックリされるよ」と言ってくれた声の主は、きっとこの信頼しているナースさんなんじゃないかと思った』
そして一日が終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます