謝罪投稿への気持ちの揺らぎ

広はナースに呼ばれ脳波検査に行ったことを日記に書いた。『13時20分ナースさんに呼ばれて私は脳波検査に行った。そしてナースさんと2人で脳波検査に向かっている最中ナースさんに「眠そうだね」と言われた。私は「2時起きー!」と答えるとナースさんは「そんな早くから起きていたの!?」と驚いていた』

広日記『13時30分検査開始14時30分検査終了』

広日記『14時40分精神科病棟に戻って1212号室の隔離室に戻った。』

広日記『私は検査中考えていた。それは一つはこの入院中これからは日記を書いていこうと。SNSが出来ないし、その時の出来事の今を発信出来なくても記録は出来る上に良いヒマ潰しになると思った。そうやって退院までは日記を書くという楽しみを見つけた。そしてもう一つは、やはり自責の念に苛まれていた。私は殺害予告をして未遂だが人を殺めようとし、暴れようとしたんだ。』広は日記を書き終え昨日の27日の海里との話しを思いだした。(そう言えば海里が「ナースさんが言っていたけど、ナースさんに頼んで売店にナースさんが行く事は可能みたいだよ。だから買い物して行ってもらっても良い許可が出たから、いくらかお金置いておくから自分で頼んで行ってもらいな」なんて言われてたな。気分転換にでも頼んで行ってもらおう)そうして広はナースコールでナースに売店までの買い物を頼んだ。「すいませーんお菓子とか買いに行ってもらいたいんで来て下さーい」

ナースコール越しでナース「分かりました。少々お待ち下さい」しばらくしてナースが隔離室に来た。そしてナース「なにを買ってくればいいですか?」

広「ペットボトルの緑茶3本とたくさんの種類が入っているフルーツ味の飴の袋を一袋をお願いします」

ナース「分かりましたメモするね。よしじゃあ行ってきます。本当にこれだけでいいの?」

広「大丈夫」

そうしてナースは買い物に行った。しばらくしてナースは買い物が終わり戻って来た。

ナース「菊川さん買って来ましたよ」

広「あ、ありがとうございます。そこに置いておいてもらいますか」

ナース「はい分かりました」そしてナースは隔離室から出て行った。

広日記『16時20分私は気分転換にでもと思いナースコールでナースさんを呼びナースさんに飲み物3本とアメを一袋買いに行ってもらうように頼んだ。私は用事が無い限り1212号室の隔離室からは今のところ出ることが許されない。だから親族かナースさんに買いに行ってもらうしか自分の欲しい物は手に入らない。16時33分ナースさんが頼んだ品を買って来てくれた』

しばらくしてナースコールアナウンスで夕食が病棟に届いたと流れる。

広日記『17時40分精神科病棟に夕食が届いたアナウンスが流れる』

広日記『17時50分夕食が私の居る1212号室の隔離室に運び込まれる』

広がナースも病室から出て夕食を食べようとしていた頃にちょうど海里が面会に来た。

海里「来たよー。あれ?また食べて無いじゃない。そろそろ飲み物も無くなってきてたから買って持って来たよ」

広「ちょうど持って来てもらったところだよ。それに今日ナースさんに頼んで買いに行ってもらったんだ」

海里「そうなんだなるほどね。それにやるじゃん」

広日記『17時53分母が面会に来た。これは謝罪文を投稿する好機だ』

私は食事するより先に「あのさ海里謝罪文を今日こそは投稿させて欲しい」

海里「謝罪したい気持ちを持つ事は大事だし広の心の中にあるだけで良いよ」と言いSNSに謝罪文を投稿することを海里は断った。

広日記『今日も母にSNSに謝罪文を投稿させてもらうよう頼んだが「謝罪したい気持ちを持つ事は大事だし広の心にあるだけでいい」と言われ断られてしまった。でもその言葉で謝罪したい焦燥感みたいな気持ちは和らいだが払拭された訳ではない。退院したらSNSも通信機器も使える。退院までの辛抱だ。しかしせめて一刻でも謝罪したかった』

この時広は7月3日の退院予定日に期待をしていた。そしてもう母海里に謝罪文を投稿させて欲しいと頼まなくなった。

広日記『18時20分病棟内に夕食後の薬を配るアナウンスが流れる』

海里「それより晩ご飯ちゃんと食べなさい」

広「食べる気しなかったけど仕方ないな」

広日記『18時25分私は今日も夕食は食べないつもりだったが母に「ちゃんと食べなさい」と言われ私は母に食べさせられた思いで渋々食べた。食事中昨日の母の言っていた、「警察は今回の件から離れ逮捕することは無い。しかし監視は続けていく」という言葉に安心していたなぜならこれ以上危険人物ではないと証明出来ると思ったからだ』

広日記『18時57分なんだかんだ今日初めて食事して完食をした。ちょうどナースさんも来て夕食後の薬を飲んだ。』

海里「本当に広が捕まらなくて良かった。犯罪者にならなくて良かった。それだけは毎日思うよ。それでも一つ提案というかお願いなんだけど、これからはSNSに投稿する際投稿内容を確認させて。これは強制になるかもだけどお願いね」

広「う...うん」広は渋々うなずいた。

しばらくして海里「じゃあそろそろ帰るね。また明日ね」

広「分かった。またね」

広日記『19時30分母帰宅の為面会終了』しばらくしてアナウンス「面会終了まで残り5分となりました。入院中の患者様にご迷惑になりますのでご帰宅の方お願い致します」

広日記『19時55分面会終了時間まで残り5分前のアナウンスが流れる』

広日記『20時35分寝る前の薬を配るアナウンスが流れる』

広日記『20時40分ナースさんが薬を持って来る』

ナース「菊川さんお薬持って来ましたよ。なに書いてるんですか?」

広「日記みたいな物」広は日記を書いていることを知らないナースに毎度日記を書いていることを説明しなければと思った。しかし後日からは、ナースの中でも広が日記を書いていることが認知され始め知れ渡り、「なに書いているの?」と質問してくるナースは減って行った。

広日記『21時20分(ちょうど21時が消灯なのに、いつまでも電気つけていつになったら明かり消しに来るんだろう。コチラからは照明や空調の調節が出来ないのに)と思いながら過ごしていたら、ナースさんが来て「9時周ったんで電気の明かり消しますね」と言って明かりを消して去って行った。』広は暗い病室の中、隔離室のトイレの明かりを頼りにまた日記を書き始めた。『21時35分隔離室に居るせいか思うことがある。隔離室から出る用事があり隔離室の外に出る時や母が面会に来て隔離室の重たい扉が開く時は解放感を感じる』広日記『重たい扉と同じだがもう一枚ある手動で開けて自動で勝手に閉まる半自動扉がある。その半自動扉は重たい扉の先にあってその扉が開いた状態だと病棟の景色も僅かながら見ることが出来て閉鎖空間から解き放たられる感覚がある。だけど用も無く半自動扉の外の病棟内に出てしまうとナースさんに注意されそうだ。だから二重扉の狭間の空間に出る止まりにしている。そして今のところは重い扉を出て二重扉の狭間の空間に長く留まれるのも母との面会時だけ許されることだろう。』そうして思いを日記に書き終えてしばらくすると、ナースが重い扉を開けて入って来た。

ナース「寝た?眠れなかったら薬あるよ」

広「大丈夫」

ナース「そう。なにかあったらナースコールで話し掛けてね」

ナースは隔離室から出て行った。そして広は日記にこのやり取りも書いた。広日記『23時35分ナースさんが…』日記も書き終え、1日が終わった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る