第4話 ショタ好き変態女との出会い3
その剣はあまりにも異質であった。
刀身は薄く細い今までに見たことのない形状をしており、その色はこの世の何よりも黒く、どこか禍々しさを感じる。
一目見てその剣は普通ではないことがわかる。
そして、
その剣を振るうこの女も普通ではないことがわかった。
「きっ、貴様!?何をする!!」
周りにいた兵士たちが一斉に剣を抜き、臨戦態勢をとる。
その中で唯一デルバルトだけが落ち着いて状況を見ていた。
(あの剣・・・確か東の小国が作っている『刀』とかいう代物か・・・だが問題はそこではない)
デルバルトは先ほど女に斬られ、地面に伏している部下を見る。
「がっ・・・はぁっ・・・」
呼吸は荒く、体がビクビクと痙攣しているがどうやら部下は生きているようだ。
大きな傷もなく、大量に血が出ているわけではない。
あるとしても手に付けられた傷だけだ。
だが、何かされたのは明白だ。
(この状況から察するに奴は・・・)
「お前ら、落ち着け」
デルバルトは冷静さを失った部下たちに声をかける。
その声に部下たちはビクッ、と体を震わせ次の瞬間には若干ではあるが冷静さを取り戻していた。
「た、隊長・・・」
「そいつはおそらく剣に毒を塗っている。女らしい小細工をする・・・やられたダラスも油断して手を少し斬られただけだ。落ち着いて対処すれば何の問題もない。やれるな?」
「「「「「はっ!」」」」」
兵士たちは声をそろえて返事をする。
「あらら~早速ばれちゃったか~困ったねぇ~」
ドクは困り顔で笑いながら片手に剣を持ち、相手に対して半身の体制をとる。
その構えには無駄な力が一切入っておらず、まさしく自然体そのものであった。
「フン・・・やはりただの娘ではなかったか・・・」
初めて剣を持った女が兵士に囲まれた状況で、ここまで脱力をした構えをとることなどできない。
幾多の洗浄を潜り抜けた手練れでさえ難しいだろう。
ここでようやくデルバルトは目の前の女を敵と認識した。
「よし・・・かか」
兵士へ突撃の命令を出すその瞬間
「ま、待って!!!」
少年の声が森の中で響いた。
「・・・」
デルバルトは言葉を止め、声の主の方を見る。
「お、お願いです!その女の人は何も関係ないんです!困っていた僕を助け・・・てくれたわけじゃないですけど、でも優しくしてくれたのは本当なんです!だからその人に傷をつけるようなことはしないでください!」
一瞬言葉に詰まったが、ショタは涙目で必死になりながら訴える。
「お姉さんも!僕のことはもういいから!これ以上僕のために自分の身を危険に晒すのはやめて!」
少年の両目からはポロポロと涙が零れ落ちる。
自身も何か大きな事情を抱えているにも関わらず、会って間もない相手にここまでの優しさを見せられる少年はそうはいないだろう。
そんな優しい少年の献身的な自己犠牲によってこの場が収められ
「え?嫌よ」
なかった。
「「「「「えっ?」」」」
その場に
いた全員が固まる。
ショタの必死の説得も空しく、剣は鞘に収まらなかった。
「いや・・・アタシは別に正義感に駆られてキミを助けたいわけじゃないの、君が助けを拒もうが関係ない」
ドクはまっすぐな瞳でショタを見つめて言う。
「アタシはね・・・アタシの意思でキミを助けて・・・そして・・・
そのお礼としてアタシといやらしいこといぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッぱいしてもらいうのよ!!そのためならどんな障害だって切り裂いてみせるわ!!」
「「「「・・・・」」」」
その場にいた全員が、あのデルバルトでさえ絶句した。
それもそうだ、こんな変態的な理由で命を懸ける人間などいない。
だが、それができてしまう人間が幸か不幸かこの場にいてしまったのだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・楽しみだわぁ・・・最初に何をしてもらおうかしら・・・たっぷり全身を嘗め回すように見ようかしら・・・それとも耳をハムハムしようかしら・・・かわいい乳首を嘗め回そうかしら・・・それとも・・・ぐへへへへへ・・・」
ドクの暴走は止まらない、先ほどまでのシリアス顔はどこへいったのか、今はとても人には見せられないひどい顔をしている。
欲望に満ち溢れた、鼻水とよだれが流れっぱなしのひどい顔だ。
「ぐへへへへ・・・もちろん・・・優しいショタ君はぁ・・・命の恩人に何もお礼をしないなんて失礼な子じゃあないよねぇ・・・グフフフフフフ・・・」
「ヒィッ!」
ドクの顔からこぼれる邪悪な笑みにショタは思わず恐怖の声を上げてしまう。
ショタの両目からは先ほどまでとは違う別の涙が流れ出てきた。
「お、おい・・・は、早くこの変態をどうにかしなきゃやばいんじゃないか・・・?」
「ああ・・・この変態を町に行かせちゃだめだ・・・」
「糞っ!下の街には俺の9歳になる息子がいるんだ!絶対にこの場で捕まえて憲兵に差し出してやる!」
ドクの異常性が伝わったためか、先ほどとは違う正義のための連帯感が兵士たちの間に生まれてきた。
兵士たちは剣を構えじりじりとドクへと近づいていく。
「・・・ッ!そ、それでもダメだ!僕のためにお姉さんが傷ついたら・・・!」
先ほどの恐怖が残っていたが、優しいショタ少年はそれでもドクを助けるための言葉を放つ。
そんな純粋なショタの言葉にドクは笑顔で答えた。
「じゃあ・・・傷一つかずに倒せればペロペロしてもいいのね・・・わかったわ」
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