第5話

 ――またか。


 小虎ことらはまた、そのドキュメンタリーみたいな夢を見ていた。

 彼のその続きみたいだ。




 彼はピンチに陥っていた。

 彼の隊は孤立し、周りは敵に包囲されている。


 敵は彼の叔父おじ、親戚だ。

 意見の対立から起こった合戦。


 しかし、その合戦を止め彼を救うものが現れる。

 叔父の妹にして、彼の母。


 彼女は天下の流れをよく読めと二人に説教をかました。

 双方とも退く理由ができたことに内心喜んでいた。


 彼は母に救われたのだ。




 彼は迷っていた。


 なににか。


 力にくっするか。プライドを守るか。

 この選択が彼の人生を決めるのは明白だった。

 彼の家臣団も意見が半分に割れ、彼の地域の意見も半分に割れていた。


 結局、彼は力に屈することを選んだ。




 力に向かう前、彼は母から呼び出しを受けた。

 そこに向かう彼をねぎらいたいそうだ。


 しかし、そこで事件は起こった。

 なにかは分からない。しかし、確実になにかが起こったのだ。


 それにより彼は弟を失った。

 彼は父に次いで、弟まで失うことになった。

 さらに、その事件がきっかけで母が実家に帰ってしまった。


 彼は肉親も弟も失った。




 しかし、彼はそれでも気丈きじょうにふるまわなければならない。

 それが人の上に立つものだから、だから彼はその力に向かっていく。


 だが、決断をするのが遅すぎた。

 それに力との因縁いんねんが彼にはある。

 このまま普通に行ったら斬首ざんしゅされるだけ。


 だから、彼はその状況をくつがえす策を練った。




 彼は何もかもを失いつつも、いまだに生きようとする。


 それは何のためか。

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