警視庁捜査一課の切れ者

第3話 警視庁捜査一課警視・月城才児

 8時00分

 警視庁捜査一課に連絡が舞い込んできた。

 東京某所の高級高層マンション最上階にて惨殺死体が発見されたということだった。


「惨殺死体……。また奴か?」


「ああそんな感じするよな?」


「……警視、どう思いますか?」


 多くのベテラン刑事の顔が一人のイケメン茶髪刑事に向いた。


「そうでしょうね。すぐに現場に向かうべきでしょう。黛警部、行きますよ」


「はい」


 僕は名を呼ばれてすぐに椅子にかけていたスーツを手に取ると警視について現場へと急いだ。




「黛君、運転お願いします」


 廊下を早足で歩いていると警視からいつものように言われた。僕は少し反論したくなったので嫌味っぽく


「警視の方が運転うまいじゃないですか?」


 と言った。すると警視もまた嫌味っぽく言う。


「どうも日本の右座席ハンドルというのは気持ちが悪い。やはり左座席がハンドルでなければ……」


「あ〜そうですね。警視は外車しか乗ったことなかったんでしたね」


「……わかりました。僕が運転しましょう」


「急にどうしたんですか?」


「いえ、自分で言っていて嫌味っぽいなと思いましたので」


 警視は僕のいる左側に手を差し出した。


「律儀ですねぇ〜」


 僕はポケットから取り出したパトカーの鍵を手渡した。


「29才という若さで警視まで登りつめたエリート中のエリートであり、難事件を数々解決してきた警視庁捜査一課きっての切れ者、月城才児ともあろうお方なら、もうちょっと偉そうにしてもいいと思いますよ?」


「……やっぱり君が運転してください」


「なんでですか!?」


「偉そうにしてもいいのでしょう?それに君の方が僕より若干年下で階級も下だ」


 警視はにこやかな笑みを浮かべて鍵を僕に突き返した。


「そ、それはそうで……!?若干年下ってなんですか!?同級生だし、誕生日は1ヶ月しか違わないじゃないですか!?」


「細かい事を気にしてはいけません。……さあ行きましょう!さあさあ!」


 結局、僕の運転するパトカーで現場へと向かうことになってしまった。


「……言わなきゃ良かった」


「何か言いましたか?」


「いいえ?何も?あー早く行かないとですよね!はい行きましょう行きましょう!」


 8時5分。

 僕達は現場へ向かった。


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