これほどの感動作を、見ずにいるのはもったいない。末期癌に侵された主人公は、病室から電話をかけ続ける。不要な電話ばかりだった。しかし中には、助けを求める人と繋がる時もあった。その時、主人公には電話の相手の苦悩が脳裏に浮かぶ。激痛を伴って。それでも、主人公は電話の相手に優しく語りかける。
「もう大丈夫だよ」
電話の相手にとって、それは神様からの電話だった。辛いことに対する解決策を教えてもらい、プレゼントを示唆される。
主人公の電話に、人々は救われる。しかしそれは、主人公の命を削っていく行為に等しかった。主人公に面会に訪れていた彼女は、主人公の電話の秘密を知ってしまう。主人公の人生。人生観。生死感。自分の命を人のために使わせてほしいと言う主人公に彼女がとった行動とは?
そしてやがて訪れる、主人公へのプレゼントとは?
涙もろい人は、ハンカチを準備して下さい。
ところで、主人公が無作為に電話をかける相手。様々なところに電話をかけるので、色々な人々が電話口に出る。その色々な人々の書き分けにも注目していただきたい。人によって、こんなに言葉や声質、口調が違ってくるのだと、正直、驚かされた。きっと作者様の力量が、この微妙な書き分けを可能にしているのだ。驚きと感動。そして、意外性。
是非、是非、ご一読ください‼