01-04 職業・スキル設定



『――続いて、職業の選択に移らせていただきます。まずは説明を行いましょう』


 AFOでは予め、6つの職業から1つを戦闘・生産職それぞれから選ぶことができる。


 どうして二つ就けるのか尋ねると──片方に就くだけ就いて、状況的に何もできないということに陥らないようにするためらしい。


 ……まあ、生産のアイテムが足らずに絶望するとか、戦闘職が無いからアイテムを自分で取りに行くことができない……みたいな事案も、昔のオンラインゲームにはあったらしいからしょうがないか。




 詳細はこんな感じだ――


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戦闘職

・戦士:ATKが高いが、この後のスキル選択で職業スキルとして魔法を選ぶことができない――前線で戦い敵の攻撃を防ぐ

HP+50・ATK+5


・魔法使い:VITが高いが、回復魔法を選択できない――主に攻撃魔法を駆使して戦う

MP+50・VIT+5


・僧侶:VITが高いが、光属性以外の攻撃魔法を選択できない――主に後方支援担当

MP+50・VIT+5


・闘士:ATKとAGIが高いが、魔法を選ぶことができない――前線で敵を直接殴る

ATK+5・AGI+5


・盗賊:AGIとDEXが高く、魔法も使えるが魔法職には及ばない――斥候役であり、犯罪者というわけではない(最初は)

AGI・DEX+5


・旅人:DEXとLUCが高く魔法も選択可能だが、魔法職には及ばない――非戦闘行動にお薦めらしい

DEX+5・LUC+5

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生産職

・鍛冶士:金属加工に高い適性を持つ

ATK+5・DEX+5


・木工士:木材加工に高い適性を持つ

VIT+5・DEX+5


・裁縫士:動植物加工に高い適性を持つ

AGI・DEX+5


・耕作士:植物生産に高い適性を持つ

HP+50・DEX+5


・調合士:薬剤に高い適性を持つ

AP+50・DEX+5


・錬金士:錬金加工に高い適性を持つ

MP+50・DEX+5

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 最初は自由じゃないんだ、とも思ったが気にしてはいられない。

 この選択を誤れば転職という、現実でも厳しいイベントを行わない限り職業を変更することができないらしいのだから。


 俺なりに纏めてみると、


 戦士・闘士――魔法使用不可

 魔法使い――回復魔法使用不可

 僧侶――攻撃魔法使用不可(光属性以外)

 盗賊・旅人――どっちつかず

 生産――現状では全てが不明


 このように纏められた。


 戦士や闘士を選べば、始めの内はレベル上げも簡単だろう。

 物理を上げて殴れば良い、コマンド選択があれば『こうげき』だけ選んでいれば勝利が手に入る。


 しかしそれでは、ロマンである魔法を使用できない──かと言って、それで魔法使いや僧侶を選択すれば魔法に制限が掛かる。


 残った選択肢は盗賊か旅人。

 素早さと器用さを選ぶか、運を選ぶか。

 生産は……本当になんとなくで決めよう。




 よし、これにしよう。

 俺は悩んだ末にこの二つを選択した。


 ピコン

《職業:『旅人』・『錬金士』が選択されました》


 ふむ、これでよしっと。


『――はい、こちらも完了しました。では、続いてスキルを選択しましょ……(ップ)』


 おいっ! また笑いやがったこいつ。

 好いじゃねえか旅人、なんか面白そうじゃねーか! ……たぶん。


 だいたい、極振りしなかったんだからこういう時じゃないと運を上げられないだろ。

 ……はい、未練がありました。




 俺の心のツッコミなど露知らず、ナビゲーターは説明を続けていく。


『これからスキルを設定してもらいますが、スキルはそれぞれ――武術・魔法・身体・技能・特殊・職業・種族で分かれています』


『職業と種族スキルは、前四つの中から厳選されたもの、また二つにしか存在しない限定スキルを纏めたものです』


『初期設定では、この中からSP(スキルポイント)でスキルを選び、メインスキル(限りのある枠)・サブスキル(メインに入らなかったスキルが溜まる場所)をそれぞれ選んでもらいます』


『なお、スキル枠に関して……サブスキルは無限ですが、メインスキルは条件を満たさなければ増えません。


『また、先程も説明した職業・種族スキルですが、職業や種族に応じて選択の幅が狭いリストの中からスキルを選んでもらいますこれはSPとは関係なく選べますし、初期ボーナスとして若干レベルが高くなっております』


『ですが職業・種族が変更された時、条件を満たしていない場合スキルレベルの低下、またスキルの消滅が発生しますのでご注意を』


『加えて、開始当初はそのようにスキルが分かれていますが──────』



 長っ! 説明長っ!

 それでもどうにか訊き続け、いくつかの質問を重ねてやっとこさ理解した。


 要するに──SPを使った全てから選ぶものとSPを使わないが制限がある初期ボーナススキルを選ぶ。


 職業や種族は後から変更可能だが、条件を満たしていない場合消滅もあり得る(ただし再びその種族or職業に戻れば、一部のスキルは復活する)。


 職業・種族スキルはこの初期設定だけでしか選ぶことはできず、ゲーム開始以降はその職業・種族限定スキルとやらのみしか就いても手に入れることはできない。




 ……ふむふむ、これは選択にかなり時間が掛かりそうだな。

 試しにスキルリストを見せてもらったのだが──あまりにスキルが多すぎて眼球が痛くなっ(た気がし)た。


 職業・種族スキルについては納得したがまだ四つのスキルが残っている。

 そちらについても聞いてみたが……こっちは上手く纏まらなかった。




 まず武術、これは魔法以外でダメージを相手に与えるスキルすべてが該当している。

 剣や弓、拳はもちろん気とやらを使う戦い方や魔力を武器に付与して戦うのも武術に含まれるんだとか。


 複数の武器に関するスキルを習得していないと表示されないスキルや、特定の種族でなければ絶対に表示されない武術なんかもあるらしい……お腹いっぱいです。




 魔法は基本属性と呼ばれる属性を選べると言っていた。

 だが、いろいろと質問をすると誤魔化されることが多かったので謎が多い。


 魔術は無いのか、基本属性は全部で何個存在するんだ、基本があるなら応用もあるのかなどなど。訊けないことも多かったが、必要となる情報も聞きだせたので問題なし。




 身体は本当に身体、という意味と器という意味があるらしい。

 能力値の補正スキルや身体強化スキル、魔力操作スキル、飛行スキルが全部ここに存在する。


 器と言われてもよく分からなかったが、それ以上の質問には答えてくれなかったので諦めた。




 技能に関しては……たとえを聞かされた。

 技能はあくまで免許であり、いちおうは無くても行うことができるものが多いと。

 持っていなければできないこともあるが、だいたいは補助でしかないとも。


 例えば(水泳)というスキルがある。

 それが無くとも泳ぐことはできるが水中での行動にペナルティがかかるらしい。


 例えば(鑑定)というスキルがある。

 それが無ければ自分の目で見た情報しか知ることはできず、有ることでようやく情報を知ることができるらしい。


 プレイヤーの場合は[インベントリ]と呼ばれる収納空間に入れることで、最低限の情報は知れるとも言っていた……しかも、最後にどれも条件を満たせば後天的に習得できると言いやがった。


 悩ませるぐらいなら、最初に言えよ!




 特殊は……うん、いろいろだ。

 種族に対する特攻補正をするスキルや職業に関する能力を補正するスキル、運が良くなるスキルなどもここにあった。


 これは特殊ユニーク……というよりその他エトセトラらしい。

 これまでの四つに分類できなかったスキルが全部、ここに集まるとのことだ。




 質問をすべて終えると、ナビゲーターは次の段階へ進めていく。


『──では、職業・種族スキルを見てもらいましょう。リストをご覧ください』


 すると、目の前に何度も見せられたUIでできたボードが表示される──


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『職業:旅人・錬金士』

武術

(○術Lv2)←剣・盾・棍・扇・格闘

魔法

(◯魔法Lv2)(○魔法Lv2)←水・風・回復

技能

(錬金Lv2)

特殊

(旅人の心得Lv1)(錬金の心得Lv1)


『種族:天使』

武術

(○術Lv3)←剣・盾・槍・弓

魔法

(光魔法Lv4)(天使魔法Lv1)

身体

(飛行Lv3)(天使翼生成Lv1)

特殊

(善なる心Lv1)(悪魔殺しLv1)


SP:120

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 職業は戦い方が中途半端なためか、選べるスキルもあまり多くはない。




 実際戦士などを選ぶと、自由民(NPCのことらしい)が条件を満たさなければ習得できないスキルも、始めから選べるとのこと。


 魔法の方も、魔法使いならば選べる基本属性六つの内、二つと回復(基本六つには入っていないらしい)しか選べない。




 種族の方なんてもう武術しか選べない。

 ……いや、まあ別に良いんだけどさ。

 欲しいのはあくまで特殊スキルだけだし。


『SPのボタンをタッチしていただければ、通常のスキル選択画面に切り替わります。重複はできませんので、片方にあるスキルを選択した際は切り替えられませんのでご注意してください。では、スキル選択をお楽しみください』


 なるほど、つまりこの120で取りたいものを取りまくればいいというわけか。

 ちなみに120の内訳は──100(初期ポイント)+20(種族ボーナス)だぞ。




 さて、取り終わった。

 見よ! これが俺のスキルだ──!!


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武術

(格闘術Lv2:職業)(剣術Lv3:種族)(盾術Lv1:5)


魔法

(回復魔法Lv2:職業)(風魔法Lv2:職業)(光魔法Lv4:種族)(天使魔法Lv1:種族)(闇魔法Lv1:10)


身体

(飛行Lv3:種族)(天使翼生成Lv1:種族)(体幹Lv1:10)(身体強化Lv1:10)(ATK向上補正Lv1:5)(VIT向上補正Lv1:5)(AGI向上補正Lv1:5)(DEX向上補正Lv1:5)(LUC向上補正Lv1:5)


技能

(錬金Lv2:職業)(調合Lv1:5)(採取Lv1:5)

(鑑定Lv1:5)(隠蔽Lv1:5)(言語理解Lv1:10)


特殊

(旅人の心得Lv1:職業)(錬金の心得Lv1:職業)(善なる心Lv1:種族)(悪魔殺しLv1:種族)(正なる心Lv1:10)


SP:20

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 ――こんな感じだ。

 理由はまあ、別の機会に。


 20P残したのはあとでスキルを派生させるため。

 スキルはレベルを上げれば成長させることができるらしいので、すぐにレベリングして次のスキルに派生させてやる。




『――はい、スキルの選択も終わりました。次が最後となります』


 おお、やっと最後だ。


 そろそろ始まるゲームへの期待感に胸を躍らせ、話を聞く体勢になる。


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