01-03 ステータス・種族選択



 いつの間にか瞑っていた目を開くと、辺り一面真っ白な世界が広がっていた。

 白以外の色はそこにいっさい存在せず、俺という異物が色濃く目立つ。


「ウワーキレイダナー(棒読み)」


 ……コンナスバラシイケシキヲミタラ、ソウオモッテモイイヨネ。


 そんなことを考えている、後ろから何かが現れる音がした。

 もしかしたら、ゲームでも王道美人なナビゲーターが……そんなことを思いつつ後ろを振り返ってみると──


「って、ドット絵じゃねーかー!」


 そこにはファ三コンなどでお馴染み、ドット絵が立っていた……ついツッコんでしまったが、別に良いだろう。

 ──俺の期待を返してくれ。


『ようこそAFOへ』


 そんなことを考えているとドット絵が話し始めた……自動再生なんだろうか。


『私の名前は、ドット・ファミ。AFOの初期設定の担当者です』


 ドットが名前だった……まあ、ユニークさが売りのAIもあるんだろう。


「はじめまして。俺の名前は、メルスです」


 とりあえず、最初に設定しておいた名前で挨拶しておく。

 さっき自動再生とかツッコんでおいてなんだが、誰もいないんだから問題はあるまい。


『………ップ。はい、メルスさん。さっそくですが、ステータスの初期設定を始めましょうか』


 ……おい、こいつ今笑ったぞ。

 俺が寝ずに考えた名前を。


 自動再生でないことが分かったし、とりあえずこれも許してやるんだが。




 とりあえず、まずはステータスの設定だ。

 説明を聞かされたのでだいたい理解した。


 初期ステータスはこうなっている――


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:メルス (男)


 HP:0

 MP:0

 AP:0


ATK:0

VIT:0

AGI:0

DEX:0

LUC:0

 BP:100


---------------------------------------------------------


 HP~APを身力値、STR~LUCを能力値と呼ぶらしい。

 これにBP(ボディポイント)を振る。


 ちなみに、身力値はそれぞれ――


・HP:ヒットポイント 生命力を司る

・MP:マジックポイント 魔力を司る

・AP:アーツポイント 精神力を司る


 を司っている。

 設定を変えれば、『/』で現在の量と最大量の両方を表示できるらしい。


 対して能力値は――


・ATK:力強さ――攻撃力

・VIT:頑丈さ――防御力

・AGI:素早さ――速度

・DEX:器用さ――手先

・LUC:幸運度――運命


 で表される……らしい。

 具体的な内容を訊いてもそれ以上は教えてくれなかった。 




 初期ポイントは60程貰えて、プレイヤーはそれをほぼ自由に割り振れる。

 身力値は1P振れば10上がり、能力値は1振れば1増える。


 ただし、HPには最低1振らないとやり直しになる……死んでしまうしな。

 LUCもまた、プレイヤーにしか選ぶことのできない能力値らしい。


 LUCの存在自体は知られているが、職業による補正以外で上げることができない、と説明された。


 プレイヤーだけに与えられた特権……物凄く心に響く言葉だな。




 そして、俺のチョイスはこんな感じだ。


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:メルス(男)


 HP:100

 MP:100

 AP:100


ATK:14

VIT:14

AGI:14

DEX:14

LUC:14

 BP:0


---------------------------------------------------------


 はっはっは見たかね、この私の振り方を。

 ……えっ、何? 振り方がチキン?


 なんとでも言いたまえ、私は極振りより安定を好むのだよ。




『――はい、振り終わったようですね。続いては、種族選択に移ります』


 淡々と設定を行っていくナビゲーター。

 再び説明を確認し、情報を纏める。




 初期に選べるものは、これらだそうだ――


普人フーマン族:すべてが平均した種族。器用貧乏

獣人アンスロ族:獣の耳と尾が生えた種族。魔法の適正値は低いが身体能力が高い

森人エルフ族:尖がった耳が特徴の種族。魔力の扱いに長けている

山人ドワーフ族:背が低いのが特徴の種族。とても器用

魔人デモニア族:様々な身体的特徴を持つ種族。その身体的特徴によって適性が変わる

竜人ドラコニア族:竜の鱗が生えている種族。能力は高いが成長し辛い

・ランダム:何が起こるかわからな――ハ°ルフ°ンテ!


 とりあえず、ハ°ルフ°ンテについてツッコミたい気持ちはあるが……まあ、これも置いておこう。

 これらの中で、獣人族と魔人族はさらにどの動物or魔物の特性を持つ存在になるかを選ぶらしいが……俺には関係ない。


「なぜなら俺は──ランダムを選択するからでござる」


 だって、そっちのほうが面白そうじゃん。

 というわけで、ランダムをポチッとな!




 パンパカパーン

≪種族:『天使エンジェル』が選ばれました≫


 おっと、何か良いのが出たんじゃないの?

 そう思いさっそく、天使について情報を尋ねてみる。


 すると、このような説明文を表示してくれた――


---------------------------------------------------------

種族:天使

説明:神の使いとも考えられる種族

背中から生えている白い翼が特徴

清き魂を持ち、光属性の扱いに長けている

人々から感謝されることで能力を上げることができるが、罪の力を持つとステータスが低下したうえで堕天する

罪を浄化することによって戻ることが可能


 HP:+50

 MP:+100

 AP:+50


ATK:+5

VIT:+5

AGI:+5

DEX:+5

LUC:+10

---------------------------------------------------------


 おー! これこそまさに、俺の求めていた種族だよ。

 言ってなかったが俺、善い行動するのが好きなんだ。


 ――情けは人の為ならずって言うからな。




 さてさて、お次は職業とスキルの設定といきましょうか。


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