01-02 初ログイン前
「よっしゃー! ついにきたぜ開始時間──ひゃっほーい!!」
俺は今、猛烈に興奮している。
理由はもちろん──今日がAFOの正式な開始日だからだ。
このときのためだけに、俺は生まれてきたといっても過言ではないだろうか。
「……うん、やっぱ違うわ。さすがにそこまでではないな」
ひゃっほーい、という割にそこまでやる気ではない……まあ、気にするな。
AFOとは、とある会社より発売された新しいVRMMOのゲームである。
──その名が示すように、すべてが可能な世界である。
舞台は魔法が存在する異世界という設定。
全プレイヤーが好き勝手に手番を動かし、それぞれの目的を果たすために動く。
いちおうグランドクエストというものもあるらしいが、未公開らしいのでプレイヤーは誰もその情報を知らない。
異世界の名前や神の名前、ありとあらゆるAFOの世界に関する設定など、プレイヤーが行う最低限の情報以外、すべて未公開……謎だらけなのだ。
とあるインタビューで開発スタッフの一人がそのことに関してこう答えたらしい。
『……知りたければ自分で調べると良い、AFOはすべてが可能なのだから』と。
まあ、俺もいつか余裕ができたら調べてみようと思っている。
軽い小説や電子網の小説でも、そういった情報は大切だと学んだしな。
実際、自由と言ってもどこまでが自由なのかは分からない。
倫理に引っ掛かるならそもそもゲームとして世に出てないだろうし、R18な展開はグロもエロも無いんだろうな。
ドキドキとワクワク、子供の頃から胸に秘めた期待感。
かつて望んだ小さな夢、今思う現実的な希望、未来に誓う大きな願い。
赤子も子供も大人も老人も、いつも何かを思って生きている。
何かをしたいと思っていても、それでもできないときがある。
──AFOはそれを可能にしてくれるのだろうか……かつて破れ、今諦め、未来でも捨てられた、小さくて大きな夢すらも。
「下準備は終わってるし、あとはその瞬間を待つだけだな」
AFOの機体はかなりデカく、酸素カプセルのような物をイメージしてくれ。
体をスッポリと包まれ機体の中に入っているゴーグルを付けて仮想空間に突入する。
ちなみに、面倒臭い身体スキャンやら何やらの初期設定は予め全部済ませていた。
あっ、ちなみにこのゲームは性別の変更は無理だからネカマはいないらしい(……男の娘はどうなんだろう)。
スキャンで体を読み込まれたわけだけど、後でアバターって弄れるのかな?
せっかくのゲームなんだから、いろいろと調整したくなるんだよな。
そして、その瞬間がやってきた。
残り時間は数十秒、そろそろ起動しておいた方が良さそうだ。
「それじゃあ、いきますか」
さっさとVRゴーグルを装着っと。
合言葉(指定)を叫ぶだけ──
「……3.2.1──インベーション!」
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