01-05 アンケート
『最後にこちらの──アンケートを行ってもらいましょう』
え゛っ、アンケート?
せめてそういうのって、もっと始めにやっておくもんじゃないのか?
……いや、広義的に言えば初期設定は最初なんだけどさ。
今までの流れから、俺のツッコミなど受け入れてもらえないことは百も承知。
口には何も出さず、そのまま聞き入れる。
『アンケートは基本参加自由ですが、回答結果によっては特典が貰えますので奮ってお答えください……やりますか?』
これで選ばない者は──本当に時間の無い奴か天邪鬼、そしてとっととゲームを始めたい真のゲーマーぐらいか。
いや、真のゲーマーなら最初の時点でしか手に入らない特典も入手しようとするか?
まっ、俺の答えは決まっている──
「はい、答えます」
やらなきゃ損々、やらずに後悔よりやって後悔じゃあ!
と、いうわけでさっそくスタートだ。
◆ □ ◆ □ ◆
『あなたがこのゲームを始めた理由は?』
「叶えたい、夢があるからです」
『その夢とは?』
・
・
・
「────です」
『あなたは人を救うために必要なものは、何だと思いますか?』
「善い行いです」
『あなたにとっての栄誉とは、何ですか?』
「人に感謝されることです」
◆ □ ◆ □ ◆
それから、結構な数の質問をされる。
一部わけの分からない質問──どうして粘液は人に愛されるか──などもあった。
しかし特典のためだと思い、俺が心の底から感じた回答を述べていった(笑……哂われた気がするが)。
──そして、長かったアンケートもそろそろ終盤となる。
『……では、最後の質問です』
おっ、ようやく終わりの時だ!
完全に意味不明な質問──誰かと行ったカラオケでどの辺りに座るか──などに答えてきた甲斐があるってもんだよ。
そして、ついに尋ねられる。
『この質問は、あなただけへの質問です──あなたが行った善行が、他者にとって望まぬことであったとします。そう直接間接問わず知らせれたとき……それでもあなたは、その善行を行い続けますか?』
……この質問の答えは決まっている。
それこそが、俺の夢でありこのゲームを始めた理由なんだから。
ジッとナビゲーターの目を見つめ、覚悟を決めて回答する。
「はい、続けます。望むのは善行じゃありません、偽善です。どれだけ好かれるかなんて関係ない、自分が人を救った自己満足に酔えればいいんですから。副次結果として幸せになってくれればそれはそれで嬉しいですが、一番大切なのは偽善を行うこと自体です」
『──はい、分かりました。以上でアンケートを終了となります。それでは、AFOの世界をお楽しみください』
「こちらこそ、ありがとうございました。ちなみに、特典の方なんですが……」
『はい、分かりました。以上でアンケートを終了となります。それでは、AFOの世界をお楽しみください』
……ん? あれ、バグったかな?
俺はただ、正当な報酬を貰おうとしただけなんだがな。
しかしそれを拒むように足元に幾何学な魔法陣が現れる。
それでも特典を諦めきれないので、必死に声を上げて質問する。
「あ、あの! 特典なんですけど……!」
『…………ああ、いつかお渡しします。それは今すぐではなく、あなたが条件を満たした時。いくつ手に入れられるのか……お楽しみください』
最後の部分がトリガーとなってついに魔法陣が本格的に作動する。
眩い光が俺を包み、ドットのナビゲーターの姿は俺の視界から消え失せる。
一周回って冷静な思考を取り戻し、誰に言うでもなくブツブツと思考を口に出す。
「いくつ手に入れられるのか? ……というか、複数貰えるんだ」
あっ、もしかしたらアイテムかな?
チュートリアルが終わってメール機能が解放されれば、そういうのが配布されるソシャゲがあったし。
……まあ、そういうことにしておこうか。
さぁ、それじゃあ行こうか──AFOに!
□ ◆ □ ◆ □
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ステータス
名前:メルス(男)
種族:(天使Lv1)
職業:(旅人Lv1)・(錬金士Lv1)
HP:150
MP:250
AP:150
ATK:19
VIT:19
AGI:19
DEX:29
LUC:29
BP:0
メイン
(空き)×10
武術
魔法
身体
技能
特殊
サブ
武術
(格闘術Lv2)(剣術Lv3)(盾術Lv1)
魔法
(回復魔法Lv2)(風魔法Lv2)(光魔法Lv4)(天使魔法Lv1)(闇魔法Lv1)
身体
(飛行Lv3)(体幹Lv1)(身体強化Lv1)(ATK向上補正Lv1)(VIT向上補正Lv1)(AGI向上補正Lv1)(DEX向上補正Lv1)(LUC向上補正Lv1)
技能
(錬金Lv2)(調合Lv1)(採取Lv1)(鑑定Lv1)(隠蔽Lv1)(言語理解Lv1)
特殊
(旅人の心得Lv1)(錬金の心得Lv1)(善なる心Lv1)(悪魔殺しLv1)(正なる心Lv1)
SP:20
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