第10話 憂鬱
「まさか今さら『やっぱりお願い』なんて言わないわよね? こっちは仕切り直してお文のやり取り始めたところなんだから。火種を放り込むような真似だけはしないでよ?」
恋心を認めて開き直った伊勢は、やけに陽気で積極的だった。
協力しないからねなんて言いながら、それでもいろいろ教えてくれる。
「書面の証拠力に違いがありすぎて、言い訳できないよ。整理令が出たら、あの荘園は間違いなく公収される。その事実を、先例を作りたいんじゃないかな、蘭台さまは。件の荘園、白布の産地として名高いらしいから……」
前関白さまに勝てば政治力を誇示できる。それは必死にもなるよね。
書類、誰に渡せば良いのかしら。
渡すべき相手・上つ方は、大きく言って3つに分かれてる。
最大勢力が摂関主流系。前関白さまのお子である右大臣さま、弟である現職の関白左大臣さま。宇治大納言さまに、そのお二人のご子息。ほか、公卿多数。
最小勢力が主上の与党。権大納言さまと、非名門の実務官僚たち。三事兼帯の蘭台さまもこの派閥。
もうひとつが、中間派。派閥と言うより「それ以外」が実態だけど。内大臣さまを中心とした源氏のご一族とか、摂関家の傍流とか。宰相中将さまもここに入る。
どなたにせよ、一介の
薄々理解はしていたんだけど、伊勢の仲介で蘭台さまに渡すってのが正しい選択肢だった。
でも「正しい選択肢」と「選ぶべき選択肢」と「選びたい選択肢」と「選べる選択肢」と。それら全てが同じってことなんて、滅多にないわけで。
その辺の機微を伊勢が分かってくれているのが救いかも。
書類に恋にと、話は尽きそうもないけれど、そろそろ出勤の時間だった。
新たな里内裏、二条第へは自宅から十五町(1.5km)、時間にすれば半時かかるところだけど。
遊びに行った伊勢の家からなら、その半分で済む。
……代わりに出勤時間を合わせなくちゃいけないけどね?
東豎子の輪番交替が昼時なのは、現業職だから。女官も含めて貴族の仕事はふつう寅の刻(午前三~四時)始まり。「慣れれば何でもない」って言うけど、慣れぬ私には厳しいのですよ。
連れ立って行くのは、そういう時間帯の問題もある。やっぱりちょっと怖いでしょう? でも大人数なら何かと安心ですもの。そんなわけで、馬が苦手な伊勢に付き合い、とぼとぼと。
「だいぶ冷えてきたね」
伊勢と話をしていると、自然に視線が下へと向かう。霜月も末、底冷えばかりが気にかかる。
「他に言うべきことあるでしょ。月が冴えてるとか、さ?」
背の高い私を見上げる伊勢には空が目に入る、これまたいつものこと。
冴え渡る月明かり、直接見るようなものではない。風雅の題材としてもやや強すぎるきらいがある。だけど夜道のしるべに良いことは確かで。
強い光、か。
「大嘗祭、無事に終わって良かったね」
東豎子のおつとめは、母さまと
私は体調がいまひとつだったし、小姫さんにはまだ任せられない。いえ、そもそも一世一代の大行事、先任ふたりの晴れ舞台ですもの。小娘どもの出番じゃない。
……これで宿禰さまは来年、従五位下への昇任が確実になった。
御世代わり、いろいろと改革の機運もあるらしいし、良い世の中になればいいなって思いはするけど。「良い世の中」って言葉、肝心のその中身が具体的に思いつかなくて。
「夜道も悪くないね」
そうね、伊勢。
小さなことに思いを馳せていられる、それは間違いなく良いことね。
なんて、そんな小さな納得やぬくもりすら、保つのは難しいみたい。
「そこの一党、止まれ!」
長い棒を持った柄の悪い男達、中心に弓を持った狩衣姿。
「夜行が厳に禁じられたことを知らぬか!」
狩衣のひと声に、棒を持った連中が私たちを包囲する。
これだから検非違使は嫌なのよ。放免を使わなくちゃ治安を維持できないわけ?
「これなるは内裏に出仕する女史と東豎子です。お通し願いたく」
「知らんな。我ら検非違使、左衛門権佐さまの命を奉ずるのみ」
ああ、ここにもその名が顔を出す。上司が上司なら部下も部下、仕事熱心で融通が利かない。
どうせ偉い人は素通りさせるんでしょ? 止め立てしたって随身に蹴散らされるだけだもの。
つまり何か? 非番で休みをもらっても、日の沈む前に出勤を済ませておけって? 下っ端がゆったり過ごすことなど許されぬって?
何か言おうとする前に、袖を引かれた。
「我ら、
伊勢の言葉に、狩衣がためらいの表情を見せる。
権柄づくの物言いって、気分の良いもんじゃないけど。実際効果的なのがまた何とも。
「禁令は重々承知しておりますが……」
さらに続く伊勢の口上。
遮るようにして、放免が口を開いた。
「長、またひとりそこの角を通りがかりました! 年に見合わぬ
世間ずれした放免連中には上役の、カタブツ役人の顔色窺いなんてお手の物。
救われたように背を向けた狩衣の男。
「盗みをせむとや歩きける」
そして彼方にて包囲された男、ぎょっとするようなことを口走っていたけれど。
顔は見えずともこちらまで力強く通るその声は聞きなずんだもので。
「どこに行っても左衛門権佐(検非違使庁次官)の名を聞かぬ日は無い。主上の寵臣、めでたきことだ。それに引き換え別当(長官)のやつばら、よほど影が薄いと見える」
放免連中、上役に逃げ道を作ってやったつもりで、死地に追いやっていた。
ざまあと言ってやりたいけど、さすがに少しかわいそうかしら。
「独り歩きはお慎みください! 盗みなどと、お戯れでもさような……」
狩衣もなかなか頑張っていた。職務に対するその意気は買う。
ただ、それは悪手だ。
「戯れではない。笛の名手から芸を盗まんと、築地塀の脇に屈んできた帰りだ」
宰相中将(検非違使別当)さまが、独り歩きなどされるわけもない。
放免連中に取り囲まれた時には、見え隠れに警護していた随身たちが逆包囲の環を結び終えていた。
その随身、あるいは侍、馬舎人。どう言っても良いけれど、貴人の側に仕える男たちは気が荒い。あるじの権威を高めるために(その傘の下にある己の「えらさ」を誇示すべく)大暴れする。身が無位無官にあろうとも、相手が六位ぐらいなら、殺傷沙汰すらためらわない。
月光に煌く刀身。青褪める放免。
彼方から眺めれば、つい三月前の自分がどれほど危ない橋を渡っていたものかと。小さな震えが背を這った。
「月が雲に隠れたゆえ、宰相中将さまのお姿を見誤ったものでしょう。検非違使の衆は我ら女官の身を案じ送り届けてくれていたところ、どうかお許しを願います」
そうだったね、伊勢。私たちは職務を果たさなくちゃいけない。そのために身を保つ必要がある。
だからお互いに、それぞれに、そっとかばい合うのも仕事のうち。
ならば宰相中将さまの随身たち、顔見知りの面々に目配せするのが私の仕事。
「夜歩きもできぬ世になったか」
下僚たちのお膳立てに乗るしかない中将さま、愉快そうに苦笑されていた。伊勢に向けて。
「夜間の外出禁止令、また厳格な摘発により、夜盗の跋扈が収まり治安が大幅に改善したことも事実です」
伊勢あなた! 宰相中将さまからお声をかけてもらえるなんて! しかも口答え!?
そりゃあね、伊勢は女史ですよ? 女蔵人の予備軍で、ギリギリ「女房」の端っこに連なる立場とも言えるでしょうよ。言葉を交わす資格がある。
でも何だこの悔しさは!やっとあなたの気持ちが分かったけど。分かりたくなかった、こんな気分!
「そちらは紀朝臣か。何を迷う?」
京の街を歩くからには、たとえ夜でも市女笠に虫の垂衣。
顔を現していないのに見分けられた、その喜びに飛び上がりそうになったけど。
ちょっと伊勢、何よその上目遣い……ああ、見上げてるのか。
そりゃそうだこんな大女、他にいないもの。見間違うはずもない。
って、現実に引き戻すのはやめてよ!
「聞き覚えある足音のはずが、妙に乱れていた。日ごろは侍が如くずっしり定まっているものが、今はさながら夜盗の如し。それも熟練の大盗にあらず、良心に苛まれる駆け出しに似る」
人の足音を聞き分けられるって、普通に考えれば驚異的なんだけど。
宰相中将さまは音曲、ことに笙に優れた腕をお持ちで。その音感は日の本でも随一であろうと噂されているところ。
自覚できずにいた不安感、すとんと納得させてくださったことには感謝申し上げますけれど。あんまりではありませんこと?
「いや、戯れが過ぎた。足取りが定まらぬのはむしろ私かもな」
再び視線を落としていた、伊勢に向けて。
「我が母の父は宇治大納言さま、祖父の母は高松殿(藤原道長の第二夫人)。父の母に至っては、帥内大臣(藤原伊周)さまの息女と来ている」
摂関家主流派と、主上与党の出身母体と、それどころか御堂関白さまのライバルだった方と。
宰相中将さまのお父さまも権大納言をお勤めで。だけど聞こえてくるのは、美声と管絃のお噂ばかり。
誰も彼もが、
寄る辺の無さに苦しむ伊勢、官職の位置付けのせいで宙ぶらりんな私。
権勢を誇る数多の親類縁者に囲まれておいでならば幸せかと思いきや、縦横に縛られ身動きとれない宰相中将さま。
「いまの私にできるのは、検非違使をたしなめるぐらいのところ。左衛門権佐の肩を持つでも、その行いを咎めるでもなく」
引かれていた、すんなりと鋭角的なおとがい。小さく上を向いた。
長い睫毛の下にある瞳が、こちらを正視していた。
俯かなくちゃいけないのに、下を向けなかった。向きたくなかった。
満月を背になお光るそのまなざし、吸い込まれそうだったけれど。
「頼り甲斐無き公卿だが。……捨てざるを得なくなった時には、声をかけよ」
その響きの悲しさに、宰相中将さまが何を伝えたかったか理解できた。
書類の話、少しずつ漏れ始めているんだ。
……どうすれば良い? 身を、職を保つためには?
「気に病むことはない。それで摂関家が滅びるものでもなかろう? 長年首座にあった前関白さまが隠居された今、強引な手を取れる者はない」
そうだ、この人は高祖母さまを知っているのだった。
たかが女官の身にありながら暗躍、いえ活躍していたご先祖の働きぶりを。
「ええ、いざともなれば職を辞するまで」
大見得に返って来た小さな笑顔は、天を見上げていて。
「では、これにて。私はもう少し月を楽しむとしよう」
北門の前で脚を止め、そのまま背を翻された。
南の門からお入りになるおつもりなんだと思う、公卿らしく。
そして派閥とは、およそ人の世のどこにでも存在するもので。
出仕するや典侍さまのお局に呼ばれ、少納言内侍さまから決め付けられる。
「阿閉宿禰、また紀朝臣。七日後、あなた方は非番でしたわね?」
私たちは後宮における典侍さま閥に取り込まれつつある。
いえ、そもそも内侍司の女官である以上、尚侍――典侍――内侍と連なる指揮系統に属してその中で働くのが「本筋」ではあるけれど。
「太皇太后さま……来春には陽明門院さまと称されることになりますが」
主上のお母さまが、名実ともに国母におなりあそばすらしい。
「年の内に、上東門院さまのもとへ伺われます。私どももお供しますが、随員を務めますよう」
隣で下がる先輩の頭に、そのどこまでも涼しい顔に、思わず視線を奪われた。
「そこで絶句しますか。女官としては不幸なことかもしれませんわね紀朝臣」
大失態。さすがに宿禰さまも助け舟を出しようが無い。
「まさか、お加減が?」
上東門院さまの権力は強い。
後の政の「ボス」であることは誰もが認めるところ。
のみならず、表の政治においても前関白さま・現関白さまご兄弟の姉君にあたるお方だから、ご両人すら「頭が上がらない」と言われるほどで。
しかし御年八十を越え、寒さ厳しい折に向かうとあれば。
「上東門院さまのご健勝を祈念する、その心は分かりますよ紀朝臣」
重なる失態に、ひたすら頭を下げる。
「お加減が心配です」、そんなひと言が政治的意味を持ってしまう存在。
「病気なんですね? 弱っているんですね? チャンスでは?」……そう言っているものと、痛くも無い腹を探られかねない。
しかし典侍さまのご一党はそんな私の「失言」を咎めようとしない。
これはどうやら、陽明門院さまに「擦り寄る」意図をお持ちかと。
発見に動揺を収めようもなくて、小さく肩をすぼめたところでもう遅い。いえ、もともと私の体格では小さくなりようがないけれど。
それでも慎み深く畏まったところに。重なる几帳の向こうから懐かしきお声。
「私は主上より賜った和子を亡くしております。新たに御子さまを望む年も過ぎたことですし、そろそろ典侍のお仕事に専念しようかと」
更衣・女御の宣下を諦め、「おきさきさま」としての立場を引退されるおつもりらしい。
主上はご即位されたばかり、これから先ご寵姫も増えてゆくであろう。後宮の政治も複雑さを増す。
だからこそ。女の争いから一歩引き、女官……「女性官僚」として、中立の地歩を築くことで地位の安定を図るおつもりで。
「後宮の有職故実に詳しい女官の衆、頼みにしております」
勾当内侍さま、その周囲を固める五位のベテラン女官衆、女史や東豎子のような特殊職・技能職を引き付けて。
そのために私や阿閉宿禰さま、また伊勢あたりまでにお声をかけての意思表明。
大嘗祭が終わったばかりなのに、院号の話。そしてこの宣言。
思っていたより、ずっと速い。政局、世相の流れは。
そして行われたご挨拶、あるいはご機嫌伺い。
案外すんなり行ったのは、意外と言えば意外であったけど、当然と言えば当然でもあった。もとを正せば陽明門院さま、上東門院さまの庇護のもとお育ちであったのだから。
陽明門院さまと前関白さまとの関係は最悪ですけれど、ね。ご自身が中宮を務めておいでであった時に、姫君を時の主上に入内させた前関白さまに中宮位を取り上げられ皇后位に棚上げされておいでだから。
ともかくご挨拶は無事終わり、ほっとひと息ついたところで。
随員を務めた女官たちが、慰労の体で勾当内侍さまのお部屋に集められた。
「権限の委譲は円滑に行われました。今後は陽明門院さまが後宮の政治を総攬されます。……無論、上東門院さまのご意向を汲みながら」
権力者が「私は隠居だよ」と言っているときには、(隠居したとは言ってない)という注釈がつく。
前関白さまも侍も商人も、およそ日の本の権力構造ってそういうもの。
「平たく申さば。おふたかたの連絡係に、内侍司を掌握した典侍さまが任ぜられたと言うわけです。我ら内侍と、五位の女官たちを引き連れた姿を見せたことにより」
意欲的な中堅は、排除するより取り込むほうが面倒が無い。
上東門院さまは無理な力押しを嫌うお方だと、これは有名なところだけど。
「尚侍さまの頭越し、ですよね」
遠慮の足りない私の言葉に、勾当内侍さまは笑顔を浮かべておいでであった。
「あけすけで真っ直ぐなところはお母様譲りですね、紀朝臣どの。ええ、私の前では遠慮はご無用」
そりゃそうよね。
左衛門権佐さまみたいな「腹に一物」タイプを部下に持ちたくはない。
「尚侍さまが長患いで、二十年ご静養されていらっしゃることは知っているでしょう? ご実家……前関白さまのお邸にて」
尚侍さまは摂関家に近すぎる、陽明門院さまから見れば敵、か。
逆にそれ以外の勢力は味方にひきつけておきたいところでしょうね。
尚侍さまをあえて無視したことも含めて、示威行為とは言わないけれど、典侍さまの目論見はうまく嵌った……のかな。
私たち女官はダシに使われたわけだけど、勾当内侍さまはそれを良しとしている。
後宮の実務官僚が一丸となれば、ひとつの力として他所に認めてもらえるから。
「お勤めを初めて七年でしたか、末頼もしさが増して」
これまでの私なら、「ふーん、ご静養中なんだ」ってアホ面をさらしていた。
「お大事にお過ごしいただきたいものです」なんて、心底の言葉をぶつけていた。
今の私は難しい顔を悟られまいと、扇の陰に顔を深く沈めてしまう。
「いえ、伊勢……源博士さまから、いろいろと教えていただいたおかげです」
意地張ることもなく、謙遜もせず、すなおに感謝できるようになった。
自分の力不足がよーく分かるようになった。
つもり、だったんですけどね?
「ご苦労でありました、紀朝臣どの」
改めて典侍さまのお局に呼び立てられて、さて何事かと身構えたところが。
こちらは本当に慰労の会で。位の高い方から順に、ささやかながら禄の下賜があったところで。
私には何も与えられず、かわりに典侍さまから直接のお声がかりがあった。
「陽明門院さまが宣命を出すそうです。『新しき御世のご到来、すがすがしき心で迎えたいもの。神仏を敬い、過差を控え、暴戻なる振舞いは厳に慎むように』と」
最後の一句が何より貴き無形の
典侍さま、心配してくださっていたんだ。宇治大納言家、もじゃ鬚右少将さまから更なる復讐があるんじゃないかって。陽明門院さまに働きかけてくれたんだ。
感謝しなくちゃいけない……んだよね。
でもさ。
それじゃ私たち、何のために存在してるの?
木っ端役人でも意地張って。殴られようとも職分は譲るまい、己の力でカタつけようって歯を食いしばってるのに。
お礼を申し上げなくちゃいけないのに、言葉が出て来ない。
言わなくちゃいけないのに、言いたくない。
暴行を受けて、あばらに罅が入っても耐えられた。
幼き日やわらかい心に受けた傷を思い出しても、踏ん張れた。
だけど。優しい典侍さまのお心配りが、どうしてこんなにつらいんだろう。
視界まで霞んできた。涙を流しているんだろう、私。
その視界も黒一色に覆われてゆく。
「あの気丈な紀朝臣が、典侍さまへの感謝に胸ふさがり気を失ったとか」
渡せないよ、書類。
前関白様に好感情を抱いていない陽明門院さまに渡せば、大喜びで受けていただけるはず。私はご褒美を貰えるんでしょうね。財か、地位か。
だけど、そんな真似……絶対にしたくない。えらい人にただ縋るような真似はしたくない。
それならお仕事頑張らなくちゃいけないのに、体調不良がぶり返して。阿閉宿禰さまに輪番を代わってもらう日が増えて。
「怪我をしたところに物怪に憑かれたのですから、ご無理はなさらぬこと。私も小姫を授かった時など、皆さまには何ヶ月もご迷惑をおかけしたものですよ」
私にそんな時が来るのかしら。
「難しい顔をなさって。もうひと月もすれば新年ですよ? 寒さを過ぎれば、体調も本復に向かわれます」
そう、もうひと月もすれば新年、新たな御世。
明るく過ごせれば良いんだけど。
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