ギルドとクエスト
ガルドと別れてから石とレンガ造りの家の立ち並ぶ街の中を2人で歩いていく。
「すごい人だね」
「まあ、初心者が集まる街だしな。それに平日夜だし。このゲームの人が一番いる時間は平日の夜と土日の夕方あたりだな」
「へぇ……岩礁って名前ついてたけどそれは? 見た感じなんか石造りで岩肌とかが多いのはわかるけど」
なんか思いの外色々聞いてくるな。いや、ゲームを楽しんで興味を持ってくれるのは嬉しいんだけど、普段の青葉を知ってるせいで違和感がまだ拭えない。
「このゴルドンから東に行くと最初の街に戻れるんだけど逆にさらに西にいくと、岩が不思議とサンゴ礁みたいな形になってるフィールドがあるんだよ。多分、そこを由来にしてるんじゃねえかな」
「そうなんだ……ふうん」
時たま目に入りやすい目立った装備の人とかとすれ違うと目を持っていかれているアオ。
その後も人混みに混じりながら少し進んでいき目的地が目に入ってきた。
「ほら、あれがギルドだ。ここ以外にも最初の街とか要所要所のでかいところにはこいつがあるぞ」
「そういえばなんか一回は目にしたかも」
でっかく両開き扉の入口の上に『冒険者ギルド』という看板が飾られている。これなら間違えようがないといつも思うけど、もう少し英語表記にするとかなかったのかなとも思う。
「でもここで何するの?」
「NPCから毎日ランダムで発行される依頼を受けたりプレイヤーが登録した依頼を受けたりその納品をしたりだな」
ゆっくりと歩いてギルドの中へと向かいながら説明を続ける。
「今回みたいな依頼は?」
「ギルドで受けられないこともないけど数日後の予定とかで受けるのって勇気がいるからな。護衛依頼は基本的に今はプレイヤーも多いしその場で集まったひとに頼む形式かリア友に頼む感じが多いと思う。逆に素材がほしいとかなら依頼を頼んでおいてログアウトしたり別の作業して依頼が達成されるか一定期間受けてもらえないと通知がきてギルドで納品してもらった素材か預けていた報酬分の金とかを受け取る」
「意外としっかりとシステムが作られてるんだ。でもプレイヤー間の依頼までできるのは予想外」
「まあそうだろうな。このゲーム以外だとあんまりやってるゲーム少ないし」
VRのゲームが作れるレベルの技術ができたと共にゲーム内のAIシステムや詰め込めるデータの容量が格段に増えたのも大きな理由の1つだろう。勝手な想像だから正しいとは限らないけど。
ある程度の説明が終わったところで受付にたどり着く。
「この受付のNPCさんに言えば報酬を受け取ったりできる。依頼はあっちにある依頼板だけど、正直見にくいからギルド内に入ってればメニュー開いて依頼見れるからそっちがオススメ」
「あ、ほんとだ。まあ依頼は今度」
「だな。つうことでガルドが預けていた報酬を受け取るとしようぜ」
俺も受付の美人なNPCに話しかけて報酬を受け取る。複数人依頼の時は分配とかもシステムがやってくれるからガルドは依頼はその場で受けてくれる人を探して、受注と報酬はギルド経由でという方法をよくとる。
ちなみにNPCのカウンター前だけは一時的に個人に割り振られたサーバーに変化しているのか細かい理由は知らないけど、並んで待たなければいけないようなことなくすぐに話しかけられるように空いた状態になってる。
「受け取れたか?」
「大丈夫。これで終わり?」
「まあ報酬の受け取りはこれで終わりだな。ゲーム自体はこのゲームクラス以外の自由度は高いしやりたいこと探すことから始めるのがいいと思うのだが……気づけばいい時間なんだよな。俺はちと課題やってから寝るから落ちる……ログアウトするけど、どうする?」
「じゃあ、あたしも今日はやめとく。おやすみ」
「おう、おやすみ」
ギルドを出てからそう挨拶を済ませて俺はアオに見送られながらログアウトした。
現実に戻ってきてひとまず風呂に入る。そしてこの日は苦手である古典の課題をどうにか日付が変わる前に終わらせて寝た。
明日は青葉にいろいろ教えてやるか。
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