第11話 ファーストバトル
「森の方が荒れてるみたいなんだ。だから注意しにきた。お前んところは村でも外れだし、子供もできたばかりで心配だからな。」
「じーじさん。ありがとうございます。」
「ところで、その、じーじさん。ってのは何だ?」
「あー。子供がいろいろな呼ばれ方している人は覚えずらいかと思いまして。」
「なるほどの。良いじゃねーか。じーじって呼ばれるのを楽しみにしてらー。そんじゃ、俺は森を見回るから注意だけは忘れるなよ。」
「はい。」
もう、既にじーじって呼んでるんだよなー。
「う。(
「そうだねー。平野なら森から離れてるし。良いかな。」
「ばぶ。(マーマは良く寝るのー。)」
そりゃあ、あんだけお乳を飲めばねー。二人のお乳のために、ママは何倍も食事を食べてるんだよ?でも、気づかなくていいんだ。のびのびと育ってほしいから。
「ばぶ!(さぁ!出かけるのじゃ!)」
そよ風の吹く初夏の穏やかな日中。
まだ膝丈ほどの草が目一杯伸びようと陽光に手を伸ばしている。
平野にぽつんと立つ大きな木の木陰にシートを敷き子供たちを寝かせる。
空は青く、雲はまばらに漂っている。
「のどかだねー。」
グルルルルッ…
空気が一変する。背筋が凍り付き、べっとりとする禍々しい気配が辺りを包む。油断なんてしていなかった。ここは森からも遠く、今までにこんな気配を漂わせる魔物なんてここに現れたことはなかった。
振り返ると俺の2倍の背丈はありそうな巨大な魔物がいた。頭には四つの角のようなものがピクピクと動いている。
「あわわわわ…。」
「久々の
ぐわぁぁぁぁっ!!!
死ぬ?!いやだ!絶対に駄目だ!!!俺が!俺が!子供を守るんだ!がばっと寝ている子供を抱いて、飛びかかってくる魔物からすんでのところで回避する。
「寝すぎて、体がうまく動かなかったかのだぞ。まぁ、いい。次は喰らう。」
俺のスキルは、【家族の絆】。細かいことはよくわからないけど、家族の言葉の本質を見抜く力。たとえそれが!魔法でもだ!
「ワン・
俺の指から放たれた一本の光が魔物の額に突き刺さった。いや、額の表面をチリッと焼いた。
「小物よ?気が済んだか?ならば、
ははは…。俺の魔力じゃこんなモノか。ママ…。子供たちのことは頼んだよ。俺のすべての魔力をつぎ込めばメガ…いや、キロフレアーならいける!うぉぉぉぉっ!!!!
ズシーン!
巨大な魔物が、ネラが放つ波動によって地面に押し付けられる。
がるぅ?!?!
「ばぶー!(うるさいのじゃ!眠れないのじゃ!)」
集まっていた俺の魔力がすーーーと安定する。
「う?(
アイが俺の魔力を操作して安定させてくれたようだ。
「いや。ごめん。魔物に襲われちゃってて。」
「ばぶ…。(む?敷物がビリビリなのじゃ。こっちの
「う…。(
「「スヤスヤ。」」
そこに残るのは、魔物の上で寝る双子。それを起こしてはいけないとおびえる魔物。どうしたらいいのか解らないパパ。
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