第9話 ガラガラ

 ガラガラ!ガラガラ!


 「ばぶ?!(なんじゃ?!この騒音装置は?!)」

 「ガラガラだよー。」

 「う。(この音は宇宙のきしむ音よりヒドイです。)」

 「いやいや。これ赤ちゃん用のおもちゃだよ?」


 「ばぶ!(とっととやめるのじゃ!何千年ぶりにゆったり寝てるのを邪魔するでないのじゃ!)」

 「いや?!昨日も爆睡してたよね?!」

 「う。(メロディーがないから騒音なのです。メロディーにるように改造します。)」


 アイから魔力線が広がり、手長エビの手のような魔力線がガラガラに伸びていく。バチバチ、ビリビリ、バリバリ。円柱に棒が刺さったようなガラガラだったが、あれよあれよという間に円柱部分に幾何学模様が彫り込まれ、自動で回転してメロディーを奏でる魔道具へと変化した。


 ガ~ラガラ♪ガ~ラガラ♪


 うちの子。規格外すぎだよ!

 「…うん。いい音だよ。でも、ひと前では魔道具とか勝手に作っちゃだめだよ。悪魔扱いされて村八分にされちゃうからね…。」


 「ばぶ。(音が軽いのじゃ。もっと深見がほしいのじゃ。)」


 ネラから魔力線が広がり、黒くメラメラと燃えるような魔力が飛び出してガラガラにまとわりつく。バイオリンの音色に近かった音が、パイプオルガンを奏でるような荘厳な音へと変化した。


 ガーラガガー♪ガーララガー♪


 うちの子!これダメな奴だよ!呪いじゃないよね?!常識を教えないと本当にいろいろとダメだよ!

 「いい音だけど、このへばりつく魔力もひと前ではめようね。」


 「あら?パパ。新しいガラガラ買ったの?」

 「う、うん。実は…。」


 かくかく、しかじか。


 「そんなこと気にしちゃ駄目よ。子供の個性は伸ばしてあげなくちゃ!」

 「でもさ。村の人たちが怖がったら、この村にいれなくなっちゃうだろ。」

 「そしたら、おばーちゃんたよるもの。気にしちゃダメよ。」

 「ママは強いね。」


 ぐぃーっとママがパパのほっぺたを引っ張り、唇をとがらせていう。

 「パパが強くなってね!ママはか弱い女の子なんだから!」

 「…はい。」

 「しっかりと返事!」

 「ハイ!」


 フフフ

 ハハハ


 「「スヤスヤ。」」

 「あら、寝ちゃったわ。」

 「そうだね。」


 ガーラガガー♪ガーララガー♪


 ところで、このガラガラどうしたら止まるんだぁ???

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