第5話 許嫁

「お姉さん」

「何、春くん」

「水晶玉が、壊れた」

「壊れたね」

「どうするの?」

「もう元には戻らないね」

「落ち着いてるね、お姉さん」

「うん。想定内だったから」

「えっ」

どういうことだろう?


「君が、その願いをすることは、最初からわかってた」

「どうして?」

「漫画とか映画とかではあるでしょ?だから、間違いないなと」

「お姉さん、戻れるの?」

「元の世界に」

「それは、君次第」

どういうことだ?


「話は変わるけど、後のふたつの願い事は?」

「もう、無理だね」

「というと?」

「私が責任を取る」

「えっ」

「お嫁さんになってあげる」

「断る」

「あの、お姉さん、聞えなかった」

「お断りします」

「最近、耳が遠くて・・・」

この女・・・


「よろしくお願いします。お姉さん、いえトレアさん」

「はい。ふつつかものですが、よろしくお願いします。春雄くん」

頭を下げらる。


「あっ、でも・・・」

「でも何?春くん」

「僕まだ15歳で、法律上結婚できない。3年はかかる」

「うん。待ってる」

でも、疑問は残る。


「お姉さん、3年間はどうするの?」

「その点なら大丈夫」

「どうして?」

「もう許嫁として、処理してあるから・・・」


こうして、お姉さんとの生活が始まるのだが、

それを不幸とは思わなかった。


さてと、どうなりますことやら・・・


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