第3話 条件

「まずね」

「その前に質問」

「何?」

「お姉さんは、そこから出れないの?」

「出れたら、とっくに出てるわよ」

「どうして出ないの?」

「話せば長くなるよ」

「どのくらい?」

「結婚式の時の、おえらいさんのスピーチくらい」

「知らなくていい」

1時間じゃすまないな。


「で、条件だけどね」

「うん」

「まずは、過去を変えたいていうのはだめ」

「例えば?」

「過去のプロ野球チームである、近○バファローズや、○急ブレーブス、○海ホークス、

○鉄ライオンズなどを、復活させてくれは、だめなの」

「パ・リーグばかりだね、しかも鉄道会社」

「気付いた?」

「お姉さん、鉄オタ?」

「世間ではそう言われてるね」

わかる気がしていきた。

ならセ・リーグの、国○スワローズも入れておいてくれ・・・


「真面目に言うと、歴史は変えてはいけないということ」

「わかったよ」

確かに、過去を変えれば、存在がなくなるからな。


「次に願い方だけどね」

「うん」

肝心なのを訊いていなかった。


「普通の使い方と同じ。水晶にそのまま願い事を言えばいいわ」

「わかったよ。で、代償があることを覚えているけど、それは何?」

「願いと同等のこと」

「例えば」

「もし、君が100円欲しいと願うよね?」

「うん」

「そしたら、100円は手に入るけど、手持ちの100円の物を失うってこと」

「わかったよ。大きな願い事はしない」

確かに、何かを得るには出血が必要だ。


「あと、願い事を増やしてほしいとか、代償を無くして欲しいは、ルール違反だからね」

「OK」


「ところで、まだ君の名前きいてなかったね」

「女神さまなら、わかるかなと・・・」

「わからない。教えて。私は、トレア。お姉さんて呼んでね。」

「僕は、佐久良春雄だよ」

「春くんね」

「いきなり、愛称ですか?]

「だめ?」

お姉さんは、泣きだした。

まあ、あからさまな泣きまねだが、ここは騙されよう。


「いいよ、お姉さん」

「ありがとう。よろしくね。春くん」

こうして、同居生活(にはならんが)が始まった。


始まったが・・・


高校は遅刻した。

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