第2話 突然の再会

ジリリリリ


目覚まし時計に起こされる。

「もう、朝か・・・」

今日から、高校生となる。

新しい生活が始まる。


「懐かしい夢を見ていたな」

あの水晶玉は、使う事なく今日まで来た。


頼ることなく、自力で乗り越えてきた。

実際に、そのようになった。


まあ、つまんないとも取れるが・・・


「あの水晶玉は、どこへやったかな」

そう思い、押し入れを開けてみた。

その中に、小さめの箱があった。


汚い字で、「開けるな」と書いてあった。

子供の頃に、僕が書いたのか・・・


開けてみた。

「ひどいじゃない。10年も閉じ込めて」

びっくりして、箱を落としかけるが、危うい所でキャッチする。


「お・・・お姉さん?」

「そうよ。覚えていてくれた」

水晶玉の中には、あの時の女神さまがいた。


「それにしても、大きくなったわね」

「お姉さんは、変わらないね」

「私は、精霊だからね、ところで・・・」

「何?」

「どうして、10年もほっておいたの?

すぐに願いを言うと思って待ってたのに」

「そのセリフ、恋人が照れ隠しで、ツンツンしている感じで頼む」

「それ願い?」

「違う」

なんか、性格変わってない?


「もしかして、お姉さん、ずっと水晶玉の中にいたの?」

「そうよ」

「よく退屈しなかったね」

「中は広いんだよ。来る?」

「遠慮しておく」

何だか、調子狂う。

僕がおとなになったと、とらえよう。


「話は戻るけど、願い事はある」

「いや、まだ決めてない」

「優柔不断だね。もてないよ」

「慎重と言ってくれ」

長所と短所は、隣合わせだ。


「早いとこ願い事を言ってくれないと、困るんだけど」

「使い方がわからん」

「教えてなかった?」

「ああ」

確かに聞いていない。


ただ、大切な物を失うとは言っていた。


「わかったわ。教えてあげる。よく聞いてね」

「ああ」

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