5-3 Interpretation of English【英文解釈】
その夜から、僕は、復習として一冊目の文法の参考書の音読を適度にしつつも、英文解釈の勉強も始める。
英文解釈とは、文中の要素がそれぞれ、S(主語)とV(動詞)とO(目的語)C(補語)とのどれになるかを解釈することである。翔の説明にはなかったが、M(修飾語)も、それらに加えて解釈することになる。
M(修飾語)については文中の主な要素ではないから、ついでみたいな認識だ。例えば日本語で考えると、「今日野球を見た」という文章は、「今日」を省いて「野球を見た」だけでも文章としては成立するから、「今日」というのはMになる。
英語の文型というのは、基本的に五文型しかない。
それは、SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCの5つだ。
この中にMは含まれていないから翔も言及しなかったのかもしれない。
実際の英文では、SVOのOの中身がSVOの形をとっていたりして、SV[SVO]みたいな形になっていたりするのだが、どんなに複雑な英文であってもこれらを組み合わせた形にすぎない。
それが認識できれば英語というのはこの五つのピースしかない簡単なパズルみたいに思えてきた。大体、同じ人間が使い、しかも瞬時に理解できるものに、そんなに複雑なルールがあるはずもないのだ。
この簡単なルールを知れば、今まで曖昧にしか理解できなかったものがより鮮明に見えてくる。
例えば、動詞には、be動詞、一般動詞、自動詞、他動詞、その他いろいろがあり、僕はbe動詞は区別できるにしても、他の動詞はどれがどれだかこんがらがっていたわけだが、どれも基本的に、五文型のSの後にくるということは変わりがない。
英文法には不定詞とか動名詞とか関係詞とかいろいろと難しそうな規則があったが、これらも結局は、SVOC(M)の何かの要素になるか、その関係を示すものでしかない。
例えば不定詞というのには、名詞的用法と、形容詞的用法と、副詞的用法があるが、その内、名詞はSかOかCになる。形容詞はCかMになり、副詞はMになる。これがわかれば、不定詞どうこうはそこまで気にならなくなる。
僕は言葉として不定詞がこの三つの用法があることは知っていたが、それらが文中でどのように使われていくかは理解していなかった。文中でそういう風に生きていることを知って初めて理解可能なものになった。
英文解釈の具体的な手順としては、まず解説を見ないで自分なりに例文を英文解釈して、SVOCMを指摘してみる。この時点では、だいぶ間違いが多いのだが、英文には5つしか要素がないのだから、解説を読めばどれも100%とは言わないが大体は理解できる。
一度理解したらその英文を音読する。実際に英文を読むときを考えたら、じっくりと英文解釈をしているわけにはいかないから、この音読でその構造を頭に刷り込ませ、次に同じ英文が来たときに反射的に理解できるようにするのだ。
今までの僕は、こんなやり方を知らなかったから英語について全く分からなかったわけだが、この英文解釈から音読の繰り返しのループができてから、僕の英語力は加速度的に上がっていくことになる。
同時に、今までの僕の英語の一番の問題は、やり方を知らなかったことだったのだと思った。
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