第68話

ジョンはパレスの中庭で、信じられない光景を見た。


 祖母の死後、かたくなに外界との接触を絶っていた祖父が、麻貴と楽しそうに庭いじりをしているのだ。しかも時折、声をあげて笑ってさえいる。祖父が気づいてジョンを呼び込んだ。


「ミス・マキから聞いたよ。どうやらわしが仕込んだフェンシングが役に立ったようだな」

「ええ、そのようです。今更ですが、お礼を申し上げます。…ところで、外の日差しはお体に障りませんか?」

「いや、たまに麻貴さんに連れ出してもらうと、気分も明るくなるんでな」


 麻貴と祖父はお互いを見合いながら笑った。ジョンは、麻貴の側に近づき小声で囁く。

「どんな魔法を使ったのですか?」


 麻貴は笑ってとりあわなかった。


「ところで、ミス・マキ。写真の場所がわかりましたよ。しかも、写っている彼の居場所もわかりました」

「えっ、本当に!」

「彼は今、マラボン(Malabon)市警の留置所に居ます」

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