第58話

 マムが運ばれた集中治療室のドアの外で、ドナは小さく震える肩を佑麻にだかれながら待った。やがて、ドアが開きドクターが出てくると、彼女に告げる。


「大丈夫ですよ。心肺は安定しました。後遺症もないようです」


 その言葉を受けて緊張が解けたのか、ドナは佑麻の腕の中で泣きじゃくる。佑麻も笑顔のドクターから状況を察して安堵のため息をついた。

 ドクターは言葉を続ける。


「汗に濡れた服で、急に強い冷気を浴びたので低体温症になったのでしょう。一般的に、心肺停止から1分ごとに救命率が約10パーセント低下すると言います。6分後には、救命率が30パーセント代になり、命を救うことが難しくなる。その点、今回の場合は、迅速な救命措置が功を奏したようですね。1週間ほど入院して安静にしていれば、家に帰れるでしょう」


 泣きじゃくりながらも、ドナは何度もドクターにお礼を言った。

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