第16話

「Mahal(マハル), 最近ドナの様子が変じゃない」


ノルミンダは、キウイの皮を剥きながら、ソファで本を読む夫に話しかけた。


「帰ってくる時間も不規則だし、大学でパーティーがあるから、背中の開いた服を貸してくれなんて急に言い出すし」

「もう日本に来てだいぶ日にちが経つから、友達も増えて付き合いも多くなったんじゃないか」

「それに、急に熱を入れて日本語を勉強するようになったのも変だわ」

「結構なことじゃないか。」

「この前、いきなりどこで覚えたのか『オレノオンナ』ってどういう意味かなんて聞くものだから、なんでそんなことを聞くのかと問い詰めたら答えも聞かずに逃げちゃったのよ」

「…あの夜以来、しばらく元気が無くて心配だったけど、最近は明るく楽しそうにしているじゃないか。もう少し様子を見てみようよ」


 夫の言葉にうなずきながら、ノルミンダはカットしたキウイを皿の上に盛り付けた。

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