第4話
ドナの家の前にタクシーが着く。
玄関の前では、先程から心配そうに叔母夫婦がドナを待っていた。タクシーからドナを抱きかかえて青年が出てきた。ブラウスの一部が裂けたドナの身なりを見て、叔母夫婦は驚き、そして青年を睨みつける。
叔父が奪うようにドナを受け取ると、何も言わずに家の中へ運んでいった。ノルミンダは青年の前に立ちはだかった。
「ドナの携帯電話に出たのはあなた?」
「…はい」
「あなたは誰?」
青年は下を向いて答えなかった。
「ドナに何があったの?」
青年はクラブハウスであった一部始終を話した。そして、ドナのブラウスの一部は裂けているが、それ以外は、朝に家を出てきた時と同じ彼女そのものであると言葉を締めくくる。
いきなりノルミンダは、青年の顔に平手打ちをくれた。
「ドナにお酒を飲ませてどうしようとしたの。ドナがフィリピーナだから、馬鹿にしているの」
ノルミンダは興奮してそう言い放つと、青年の鼻先で荒々しく玄関を閉めた。青年はひとり取り残され、しばらくは動けずにいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます