第3話:情報=価値
しばらく、私とエルドが森林の中を彷徨っていると茶色の生物が白い物体を引き、それを人族の男が操縦する、ものが近づいてきた。
『エルド、あれは何だ?』
『あれは馬車と言って人が移動する時や物を運ぶ時なんかに使うものなの。』
『理解した。つくづく、人族という種族は非力で不便な種族であるな。』
『アルカナタス、私の前では言ってもいいけど村や町では言わないでね。』
『心得た。以後、気をつけよう。』
馬車というものが近づくとエルドが両手を掲げ、止まるように促した。そして、私とエルドは駆け足で馬車が止まった場所へ行き、人族の男に声を掛けた。
『すみません。少しお聞きしたいことがあるのですが。』
『どうかされましたかな、旅のお二人方。』
『この付近で一番近い村を教えて頂けないでしょうか?』
『私が行商の為に立ち寄った、マルクという小さな村が一番近いと思われます。』
『そのマルクという村はどのように進めばよいのでしょうか?』
『私がここへ来る為に使った、この整備された道なりをずっと進み森林を抜けた所にマルクがあります。』
『どうもご親切にありがとうございます。これはせめてもの情報料です。』
エルドは自身の布着の中から茶色の光沢を輝かせるものを取り出すと人族の男に手渡した。
『これは、これはどうも有り難く頂戴致します。』
そうエルドに言うと再び馬車を稼働させ、人族の男は軽い会釈をして去っていった。
『先程、エルドが布着の中から取り出した、茶色の光沢を輝かせるものは何だ?』
『あれはソルと言って人が物や情報などを売買するときに使う通貨と言われるものよ。』
情報に価値を見出すとは理解し難いが、それもまた人族の魅力の一部であることに変わりないな。
『さあ! 商人の方から情報も得たことだし先を進みましょう!!』
『うむ!!』
私とエルドは商人と言われる者の情報を元に整備された道なりを真っ直ぐに歩んでいったのだった……。
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