第26話 深夜の廃モール

「任務の内容はは街中に忍び込んだメテオの討伐だ!」


 説明が短かいな。もっと詳しい物を聞きたい。先生も面倒くさがってはしょるのはこちらとして嫌なんだが。

 俺達がそのメテオを倒すワケだからそんな簡単に説明されても困りますよ。


「センセーそれじゃわかりませーん」

「もっと詳しい話しをしてください」


 月希と雹も俺と同じでこんな説明じゃ納得してないようだ。


「まー、詳しく話すとだな。街の中に忍び込んだと思われるメテオを倒せと上からのお達しだ」

「思われる?」

「そうだ。色々きな臭い話だが、上のお達しじゃやるしかない。けどよ街に忍び込んだって説明したが、街の中はメテオを感知するセンサーが溢れている。街の外にいたメテオが街の中に入ってきたらすぐにわかるはずなんだよ。なのにメテオは突然街の中に発生したような感じなんだ。どうも誰かが手引きしたか研究施設から逃げ出したみたいな状況なんでな。上は自分の不始末の可能性を払拭する為にお前達に白羽の矢が立った話だ。上はお前達については知らないが雅先輩がお前達でいいだろうと選んだ。別の奴らがこの件に付いて調べているようだがな」


 上のお達しなんて蹴っちまえよ。その尻拭いをやらされる俺らの気持ちを考えてさぁ。

 俺は先生が怖いから嫌ですって言えないけどヤンキーな一夜先生は上に簡単に言えそうだから言ってもらいたいよ。

 そんなこと俺の口から言えないけど。

 それよりも任務の説明だったはずなのに話が少しずつ脱線してきているのだが。


「納得できないこともありますがわかりました。私達が倒しに行きますので場所とメテオの写真か何かありますか?」

「ヤッホーイ、早く行こうよ。メテオなんてルイが蜂の巣にしちゃうよ」


 雹、俺は全部に全然納得してないよ。


「雪月花と海北。全部説明するからそう焦るな。場所は5年ほど前に廃モールなんだ。そこにメテオが逃げ込んだ。組織の調査員の話だと3日前に逃げ込んだ廃モールに住み付いたらしい。いや、もともと住み着いていたメテオと街の中に現れたメテオが合流したのだったか?」

「なんですか?その支離滅裂な説明は?説明するならちゃんと調べてからきてくださいよ。そもそもその調査員がメテオを倒せばいいんじゃないですか?」

「その調査員は適性がないんだ。そいつがモールに入ってもメテオのエサになるだけだ。最近は適性者の手が少なくてな、だから学生のお前達にこんな任務が来るんだ」


 調査員の人って普通の人?体にメテオの適性がないから戦えないのかよ。

 それって猫の手も借りたいてか。組織内のメテオと対抗できる人間が足りないから俺達みたいな学生でも使うしかないって状況に陥っているってことかよ。

 もっと人を育てようよ。学生の俺達がこんな危険な目にあわないように日本人は1億人以上いるんだからその中にいっぱい適性を持っているでしょ?それとも少ないのか?

 適性を持っている人ってめちゃくちゃレアなのか。

 その中でも超レアな魔法タイプの上に2属性持ちの俺ってすげーレアな存在なんじゃね?+男と女の二つの身体を持っている。奇跡の上に奇跡が両立している今の状態は世界で一人の存在じゃん。人間版のUMAみたいな存在になってしまった。

 先生達の上司に売り込みしたらお金貰えるかな?高確率で人体実験の被験体にされそうだけど。

 金が欲しいなら爪先とかの身体の一部を金に変えて売れば数百円ぐらいにはなりそうだけど俺の精神的になんかいやだわ。


 先生が言った言葉に違和感があったぞ。もともと住み着いていたメテオと合流した?

 一匹だけじゃないのか?


「あの~、メテオって一匹だけじゃないのでしょうか?数が多いなら私達だけじゃ無理なんじゃ」

「八代が言いたいのはわかる。正直なところモールの中に何匹巣くっているのか状況がわからない」

「そんなところ生徒に行かせるのは問題ですよね?状況がろくにわかっていないんじゃ。俺達なんかより場馴れした先輩方の方がいいかと思いますよ」

「そうですよ。私達みたいな素人なんかよりも先輩達に依頼した方が」


 口ごもる一夜先生に危険な場所に行きたくない俺と周が先輩の方がいいですと一押しするが首を縦に振らない一夜先生は俺を一睨みした。


 えーなんで俺だけ。


「水泡、男なら腹をくくれ。今回の件については多少現場に馴れている二、三年は出せない。今回の件はとりあえず隠すとのことだが、組織の人間に目をつけられている二、三年を今回の件に駆り出すと今回の件の話がどこで漏れるかわからない。だからお前達なんだ。私達教師が管理している一年の中で秘匿しているお前らが適任なんだ」


 上司が隠したい事件の対応を先生達が存在を隠している俺達にやらせようなんて無謀なんじゃね?

 その上司に俺達のこと話してないよな?大人の事情なんてものは知らんけど大丈夫なのか?それ?


「心配するな。今回は私も行く。不測な事態に備えてな」


「えっ?先生もついて来るんですか?それは百人力じゃないですか。俺は必要無いですよね?俺は寝て待ってますね」

「私も雪さんと一緒に待ってます」

「ダメだろ。八代はともかく、水泡お前がいないと海北と雪月花は戦えないだろ」

「そうだよ。こんな機会逃すのはもったいないよ。楽しい狩りの時間なんだよ。ハンティングタイムなんだよ」


 ルイの独特な言い回しに少しイラっときたが俺にとって嫌なハンティングタイムに先生も参加するならよしとしよう。


「よし準備はできたな?今から現場に行くぞ。間近でイレギュラー達を見れるのは好都合だしな」

「えっ?先生今何か言いましたか?」

「こっちの話だ。気にするな」

「そうですか」


 先生のボソっと喋ったのが少し気になったけど先生も先生で事情とか愚痴とかあるだろう。今回のことでも不服に思っている部分もあるからこれ以上触れんとこ。


「センセー、今から行くとこってモールの中ですか?」

「直接モールの中にテレポートしたら奴らの餌食になるだろう。普通に考えて近くて駐車場、無難な調査員が使用していた著点だ」


 月希がボケをかまして一夜先生をイライラさせつつ、今夜の任務の説明を聞いていた。


「細かい説明はこれくらいだ。何か質問あるか?」

「いえ、私はないです」

「俺も先生がついてくれるならこれ以上はいならないと思いますよ。月希と周もそうだよな?」

「はい、いいと思います」

「そんなことより早く行こうよ」

「そういうことなので行きましょう。早く済ませて帰りましょう。明日も学校ありますので早く休みたいですから」


 明日も学校があるからやるならやるで早く済ませて休みたい。

 遅くなってメシを抜くにしても風呂は入ってから休みたい。そうしないと疲れが溜まる感じがしてモチベーションが上がらない。不機嫌みたいな感じになるからな。


「わかった。お前らもっと近寄れ、近くじゃないと全員テレポートできないだろう?」

「ユッちゃんに!ボディータッチ!」

「オイコラ、月希!先生は近寄れって言ったが俺の胸を揉むことはないだろう」

「ムフー、これは柔らかい感触癖になりますな」


 先生のそばで説明を聞いていた俺に月希が飛びかかってきやがった。それで思う存分俺の胸を揉むの揉むのでうざかしかった。

 お前はテレポートするには俺の胸を触らなくちゃいけないのかよ。

 うわっ、後ろから手がって、雹もかよ。いきなり後ろから手を出して抱き締めるのはやめろ。そしてちゃっかり右手を握る周もだが、暑苦しいぞ。

 本当に俺に触ってないとテレポートできないのか?

 先生も鬱陶しそうに俺らを見ているぞ。たぶん人選をミスったとか今夜大丈夫かって思ってるぞ。


 視界がおかしくなって、気づいたら夜空の真下。ところどころ欠けたアスファルトの上に散乱する投げ捨てられたペットボトル。

 例の廃モールの駐車場のようだ。


「ついたからいい加減離れろ!こんなにくっついて暑苦しいくて堪らないぞ」

「え~なんで?こんなに楽しいのに」

「いいから離れろ」


 周はすぐに手を離してくれたが前と後ろから抱きついている月希と雹を引き離すのは大変だった。人の胸を揉むの頭の匂いを嗅ぐので、こいつらはこんな時くらい真面目にできないのか?


「まったく遊びに来ているわけではないのにお前らは」


 月希と雹、お前らの悪ふざけに先生も飽きられてるぞ。


「これが例のモールですな。とこんなところに逃げ込んだメテオは袋のネズミ。全部撃ち抜いてしまっていいのかな?」

「ふざけてないで真面目にやりなさい」

「ヒョウちゃんこれはネタと言うものなんだよ~。ちゃんといいぞとかできるのか?ってネタはネタで返して返して欲しいよ。ユッちゃんはわかってくれるよね?」

「ハイハイ、そのアニメの台詞は古いから俺にはわかりませんから返せない」

「ユッちゃんが辛辣だよ~」


 胸を揉まれたことでイライラしていた俺は昔放送していたアニメの台詞を口にしていた月希を無視していたが雹に注意されて話を俺に振ってきたが、本当にネタというかそのアニメが古かったから返しがわからなかった。


「遊んでないで行くぞ。今は任務中だ。次にふざけたらメテオの囮にするからな」

「はーい」

「はい」


 俺全然ふざけていないのに月希がいつまでも俺に纏わりついていたから俺まで先生に怒られたよ。

 先生の雰囲気がガラリと変わった。さっきまではけだるそうにしていたのに今の先生は映画でよく見る戦場にいる兵士の顔をしていてピリピリしている。

 先生にとってここはもう命のやり取りをする

 場所のようだ。俺達はメテオの討伐を目的にここにいるわけだ。気を抜いていたら命を落とすかもしれない。

 これからモールの中に入るからシリアスでいかないとダメなのだろう。


 今までの人生で命のやり取りを感じることなく人生を平凡な一般人として偉い人が見せたく無い物を隠していた日本で平和に過ごしてきた。まるで壁に風景がかかれて決まった物がある箱の世界の中で暮らしていたような感じだ。

 箱の中は全てで箱の中の学校に行って箱の中の娯楽を楽しんでいた。偉い人が何かを隠しているのかを知らずに。

 それが今や隠していた物を倒すべく駆り出されている。実感がわからないし、まだ二回しかメテオと戦ってない。

 どちらも人間が手を加えたメテオだ。今回は野生のメテオだ。地球外生命体に野生をつけていいのかわからないが人間がコントロールしていないからどんな行動をするのかわからない。

 一つの判断ミスで命を落としかねない。一番は先生の指示に従って行動することか。


 俺達はモールの端の自動ドアから侵入した。自動ドアと言っても電気が通てないから開かないし、メテオがモールの中に入り込むためなのか自動ドアも割られている。

 見るからに廃墟といったところだ。廃モールだからそうなんだろうけどたったの5年で廃墟感がするなんてびっくりだ。

 外の駐車場のアスファルトはヒビがはいってそこから雑草が生えているし、劣化がすごい。外の壁になんてラクガキなんかもある。

 普通の男子なら廃墟に入るならテンションが上がるのにメテオ退治に来ている俺の心境は上がらない。


「暗くて何も見えないですね、それにお化けが出てきそうです」

「そうだね。こんなことなら懐中電灯を持ってくれば良かったよ」


 モールの中が暗すぎて周や月希からボソッと不安が出た。

 夜な上に電気が通ってないモールの中は暗い。窓がある入り口付近は外の街灯や月の光でなんとか見えるが奥は見えない。

 暗すぎて前が見えない。中は遮蔽物が多くメテオにとって隠れる場所がありすぎる。元フードコートのレジやキッチンとか小さいメテオなら簡単に隠れられるし、俺達が通った後に後ろから簡単に襲うことができるし、メテオに見つかれば瞬間移動的な能力で死角から狙われるから対策できないしな。


「確かに暗くては何も見えないな。水泡懐中電灯になれ」

「はい?」

「だからお前が懐中電灯の代わりをやるんだよ。それと3人がいつでも戦えるように準備はしとけ」


 なるほど、俺の手を光に変えてそれを懐中電灯の代わりにしようってことか。やってもいいけどそうすると俺が目立っていい的になりませんか?暗い中で襲われるよりはマシですがね。先生の指示だから従いますけど。

 なぜかは不明な話しだが、3人のウェポンは俺の体の一部が光と金に変えないと月希の銃から弾が出ないし、雹の刀には刃がない。周の拳を覆うガントレットもない。

 その状態だとまともに戦うことができない。視界が暗くて不利な上に3人が戦えないのはきついので先生の言う通りに手を光を変えることにした。


 今はまだ意識して手を変えることはコントロールすることは少し難しいがなんとか左手を透き通る白い光に帰ることができた。おまけに右手も金に変わったけど。


 光の玉を三つ生成して俺達の周囲に漂わせる。


「オオー、明るい。ポワポワ浮いて面白い」

「明るいわね。触れられないわ。これどうなっているの?」

「そう言われても出してる俺だってわからないんだよ。この玉いろいろ不思議なことがあって左手だと触れるのにそれ以外の部位だと触れられないんだよ」


 光だから触れないのは当たり前だけど光に変えた手で触れるとツルッとしたガラス玉みたいな感触なんだよな。

 月希の弾丸や雹の刃、周のガントレットは光なのにメテオにダメージがあるし、メテオ以外に触れられるのって不思議だよな。


「前が見えるようになったから行くぞ」


 先生の一声で俺達はモールの奥に進む。

 一つ一つのテナントだった店舗をメテオがいないか調べている。

 テナントの棚は廃墟だから商品も置いてなく、空っぽな棚が並ぶ。時々、ペッドボトルが落ちている。撤退する時とかに業者やモール関係者がポイ捨てしたとかそんなもんだろう。肝試し感覚で来た人達が捨てた線もあるな。

 こんな頻繁に落ちているものか考えてしまうけど。埃が被っているからここ最近の物じゃなくて長い間そこに落ちているような感じだから例にあげたどれかだろう。


 何年か前の人の痕跡はあるが、メテオの痕跡は未だ見つかってない。本当にここに逃げ込んだのか?

 しかし、廃墟って思っていたより何もないな。撤退した企業の看板が残っているだけで他は何もない。あってもゴミぐらいしかない。

 商品が残っていたらそれはそれで不味いのか?モールや企業の関係者じゃないからわかならないが、モールの倉庫に置きっぱなしの在庫品があったりして。そこに女物の服とかあったら着てみようかな?

 いや、廃墟でもお店の物を勝手に着るのはそれはそれで犯罪なのではないのだろうか?既に不法侵入(?)している身で何を気にしているのか自分でもわからなくなるな。


「あり?ユッちゃんあそこに何かいたよ。照らしてみて」

「あそこか?わかったが先生に報告しなくていいのか?怒られても知らないぞ?」

「いいよ。あっちに行ってるけど何かあれば来るって。怒られたら一緒に怒られようよ。みんな一緒に怒られれば怖くないよ」


 元某有名フライドチキン店のテナントで2、2、1で別れて行動していた。俺と月希ペアは奥の厨房を、雹と周ペアはレジ回りとテーブル席を、先生はさらに奥の食材をしまう大きい業務用冷蔵庫がある裏の倉庫を調べている。

 雹達が調べているレジ回りとテーブル席には2個光の玉を漂わせている。俺から離れていて雹達がどこを見るかもわからないから漂わせているだけでむやみに動かしていない。奥へ行った先生は光の玉はいらないそうで真っ暗な中で調べている。

 暗いのに見えるのだろうか?


 看板だけ残されたテナントでチラッと見た限りレジ回りや厨房には食材や用具はない。五年前の食材が残っていたとしても忍び込んだ動物が食べるだろう。

 月希が何かを見つけたようだ。

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